夢のようで現実感がなさすぎたアニメ化
――10月から『先輩がうざい後輩の話』のTVアニメがスタートしました。本作のアニメ化について最初に聞いたときの印象はどのようなものでしたか?
しろまんた 最初に担当編集さんから「アニメ化が決まった」と聞かされたときは、びっくりしすぎてまったく実感がわかなくて。実際にアニメの制作がスタートしてもまだピンとこなくて、どこか他人事のような夢の中のような感覚が今も続いています。編集さんと一緒にご飯を食べながら「アニメ化するなら、桜井さんは早見沙織さんがいいよね」なんて妄想話をしていたのが、まさか現実になるとは……。
――先生はアニメの制作にはどのような形で関わっているのでしょうか?
しろまんた 原作者として、脚本会議やアフレコには毎回参加させていただいています。でも、制作スタッフはスキルがとても高い方ばかりなので、僕があれこれいう必要がほとんどなくて。途中から「これでどうでしょうか?」と意見を求められても「大丈夫です!」としか言わなくなっていました。安心しておまかせしていれば、いいものを作っていただけるという信頼感がありましたね。あとはキャラクターデザインについて少しだけご相談させていただいて、こちらの希望に沿って細かい部分を調整していただいたくらいです。自分としては『先輩がうざい後輩の話』の絵は、アニメに落とし込みやすい絵だと思っていたんですよ。でも、かなりデフォルメしているせいか、実際に他の方が似せて描こうとすると意外とバランスが難しいらしく、最初にいただいたキャラクターデザインやキービジュアルのバランスが僕の絵と比べて若干のズレがあったんです。それも少しすり合わせをしたら、すぐにイメージどおりのものに調整していただけたので、すばらしいなと思いました。
深夜テンションで書いたポエムを読み上げられるような恥ずかしさ
――アフレコで、自分のキャラクターに声をあてられているのを見る気持ちはどのようなものでしたか?
しろまんた いやもう、恥ずかしいことこの上ないです。4年くらい前に深夜の変なテンションで描いた第1話のセリフを、人気声優の方々に読まれるんですよ。中学生時代に描いたポエムを読み上げられるようなものです(笑)。企画が動き出した当初、オーディションの音声データをいただいたときも、冷静な気持ちで聞けるようになるまで時間がかかりました。それどころか、完成した『先輩がうざい後輩の話』のアニメを見るのも恥ずかしくて。すでに何話か完成しているのですが、第1話しか見ることができていません。
――なんとか見ることのできた第1話はいかがでしたか?
しろまんた いやもう、すごすぎました。もとは1話あたり4ページのショートコミックなのに、それを何本かつなげることで30分尺のドラマに仕上がっていたんです。原作の内容にはそれほど手を加えていないのに、あんな感じに再構成すると全然違って見えるんだなと驚かされました。
――アニメ化が発表されたとき、5~10分のショートアニメかと思っていたので、30分枠だと聞いて驚きました。
しろまんた 僕もそう思いました。原作を知っている方はみんな30分アニメだと聞いて驚かれると思いますよ。シリーズ構成の成田良美さんによる物語の組み立てが非常に巧みなんです。脚本会議でもみんなが煮詰まっているとき、成田さんが「ここはこうしたほうがいいかも」と一発で正解にたどり着くという。数々の作品を手がけてきた経験が成せる業(わざ)だと思いました。
――この記事が掲載される頃にはアニメも放送され、反響も先生のもとに届いているかと思います。アニメを楽しみにしているファンに向けて、先生からメッセージをお願いします。
しろまんた アニメ化が実現したのは、僕がTwitterに投稿した『先輩がうざい後輩の話』を拡散してくださった方々、そして連載が始まってからもずっと応援し続けてくださっているみなさんのおかげです。これだけ長期間、カラーでTwitterマンガを続けていられるのも、みなさんの応援があってこそです。本当にありがとうございます。アニメの出来も非常に素晴らしいので、原作同様に愛していただけるとうれしいです。
- しろまんた
- Webマンガを中心に活動しているクリエイター。代表作である『先輩がうざい後輩の話』以外に、『かとうちゃん』シリーズをWeb上で発表している。他にも『尊い。4Pショート・ストーリーズ』や『ゲッサン』に掲載された『ことことこい』でショートコミックを発表したり、『イジらないで、長瀞さん』第2巻の特装版や『私に天使が舞い降りた!』第5巻特装版へイラストを寄稿するなど、精力的に活動している。