私、人魚姫の素質があるのかもしれない(笑)
――今回は「人魚姫」、それも「和の人魚」というテーマだったのですが、テーマを聞いたときにどのように受け止めましたか?
ペイトン 第1回がチャイナ服の魔法少女で、第2回はジブリ映画『風立ちぬ』のヒロインをモチーフにした撮影だったので、「人魚姫」と聞いて「ついに王道のヒロインだ!」と思ったんですけど、すぐに「和の人魚姫?」って(笑)。「人魚姫」と聞くとやはり海外の作品が頭をよぎるので、「和」のイメージが湧かなくて。でも、どういう感じに仕上がるのか想像がつかないぶん、逆にすごくワクワクして撮影に臨みました。
――撮影場所が「アク和リウム」という「日本の雅(みやび)をアクアリウムで表現する」というコンセプトだったので、テーマにも「和」を加えたのですが、撮影を追えての感想はいかがですか?
ペイトン まず、人魚姫といえば「下半身が魚」という先入観があったので、足が見えている状態でどう人魚姫を表現しようかなと思っていました。実際に撮影場所に足を踏み入れてみると、幻想的な雰囲気もあるし、お魚がたくさん泳いでいて。みんな賢いというか、近づくと寄って来てくれるんですよね。すごく人懐っこくて、すぐに愛着が湧いちゃいました。なので、途中からは自分が人魚姫になろうとしなくても、もともと私はお魚さんたちと友達だったんじゃないかなと思うくらい自然体でいられました。厳かな雰囲気のお姫様とはまた違った、みんなと仲のいい、フレンドリーなお姫様が演出できたんじゃないかないかと思います。
――考えてみると魚たちが仲よくしてくれるのって、人魚姫にとっては大事な要素かもしれませんね。
ペイトン 私、ちょっと素質があるのかもしれない(笑)。人魚姫になれるかもしれないです。
――とくに気になった魚はいますか?
ペイトン 白と赤の模様で身体がちょっと大きめの子がいたんですけど、何回も顔を近づけてくれて、しゃべっているように見えるんですね。口をパクパクって動かして。たぶん、ご飯が欲しいんだと思うんですけど、見ていると「ごめんね。ご飯は持ってないの」って伝えてあげたくなっちゃって(笑)。その子と意思疎通がとれないかなって、撮ってもらっている間もずっと考えていました。
やはり悲しいお話のイメージがある『人魚姫』
――「人魚姫」というテーマに対して、撮影される立場としてはどのようにアプローチしましたか?
ペイトン 私が知っている『人魚姫』は――たぶん多くの人がおぼえているあらすじと同じだと思うんですけど、声と引き換えに足をもらって、初恋の王子様の元へ向かって行くけど、最後は泡になってしまう物語。泡になってでも王子様に会いたい気持ちを思うと、それだけ海の外の世界への憧れが強くあったんだと思います。当然ですけど、私は陸で生まれて育っているので(笑)、そのまま共感するのは難しいと思いつつ、きっと人魚姫はずっと陸を見上げていたんじゃないかと想像しながら、撮影の間は上を向く仕草を意識しました。天井には装飾もたっぷりあって自然と見上げたくなっちゃうんですけど、それとは別に、上には陸があって、太陽があって、人々が行き交う道があって……みたいなことを考えながら手を伸ばしてみたり、上を向いてみたりしました。恋の気持ちを表現するのは私にとってすごく難しいことなので、誰かに会いたいというよりも、自分の足で地面を歩いてみたいっていう気持ち、陸に上がった人魚姫になりきって歩いてみたいっていう気持ちを表現したいなと思いました。
――人魚姫という存在や物語に抱いているのはやはり切ないイメージですか?
ペイトン 人魚姫がモチーフになっている作品はいっぱいありますけど、やっぱりちょっと悲しいお話だなという印象です。私は絵本の読み聞かせで初めて触れたんですけど、最後に泡になって消えちゃうっていうのが、子供ながらにすごく残酷だなと思った記憶があって、ずっとその印象ですね。ディズニー映画(『リトル・マーメイド』)だとハッピーエンドになりますけど、そちらのストーリーの印象はあまりないですね。
自分が人魚だったら、すぐにお友達になろうとすると思う
――他に『人魚姫』の物語でとくに印象的に感じるのはどんな部分ですか?
ペイトン 海が荒れて海に落ちてしまった王子様を助けて、そこで話しかければいいのに、自分が人魚であることを知られてはいけないという理由で、見つからないように身を隠すところ。私だったらもう、絶対「見て! 私、人魚なの!」って、そこでお友達になるんですけど(笑)。でも、そこでお友達にならずに、ずっと遠くから眺めているだけなのがすごく乙女だなーって思うし、その距離感に素敵な恋愛観を感じます。遠くから眺めているだけだけど、「大恋愛」ってこんな感じなのかなーって。
――それにしても、子供の頃に読み聞かせてもらう昔話や童話って、ちょっと切なかったり、悲しかったり、残酷だったりするのが多いですよね。
ペイトン 子供の頃の感情って、大まかに「うれしい、楽しい、怒り、悲しい」の4つくらいしかない気がするんですけど、誰かに読み聞かせをしてもらうことで「自分はこんな気持ち、知らない!?」みたいな感情になったのをすごくおぼえているんです。だから切なかったり悲しかったり、残酷な物語でも、子供の頃に読み聞かせてくれる人が身近にいてよかったなと思います。
アク和リウムGA☆KYO
<住所>
東京都港区台場1丁目7-1 アクアシティお台場
<営業時間>
11:00時~20:00時(平日)
11:00時~21:00時(土曜、日曜、祝日)
※最終受付は閉店時間30分前までとなっています
※時期やイベント内容により、臨時休業や営業時間の変更がある場合があります