TOPICS 2023.09.24 │ 12:00

『SYNDUALITY Noir』
青山なぎさが語る歌姫シエルのステージと役作り②

荒廃した近未来を舞台に、たくましく生きる主人公たちの姿を描くTVアニメ『SYNDUALITY Noir』。その作中で歌姫として登場するシエル役・青山なぎさへの全3回のインタビュー。第2回は、シエルの役作りや印象的なシーンについて尋ねた。

取材・文/岡本大介 撮影/松本祐亮

特殊なメイガスゆえに悩んだ役作り

――『SYNDUALITY Noir』という作品について、世界観に対しての第一印象はいかがでしたか?
青山 近未来でAIが登場する作品と伺っていたので、感情に乏しい、いわゆるロボット的なAIが人間のサポートをしながら生活する感じなのかなと最初は想像していたんですけど、台本を読んでみると、メイガスたちが予想以上に人間っぽくて、まずそれに驚きました。あとはストーリーにも謎がたくさん散りばめられていて、物語全体の背景を把握するのが大変でした。新しい台本が届くたびに、少しずつ理解しながら進んでいった感じです。

――シエルの役作りはどのように進めていきましたか?
青山 シエルはマスターがいないメイガスなので、そこがいちばん悩みましたね。メイガスって、その人にとって最高のパートナーになれるように、マスターに合わせて最適化されて人格が出来上がっていくじゃないですか。なので、マスターがいないメイガスは本来なら人格的なものはないと思うんですよね。でも、シエルの場合はそれともちょっと違っているので、どこまで人間味を出すべきかは迷いました。最初はわりと人間っぽい芝居で入ったので、音響監督の明田川(仁)さんから「ここはもっと淡々と」ってディレクションをもらうこともありました。

――シエルの場合、カナタと出会い、やがて自分の感情に気づくという大きな変化が起こりますよね。
青山 そうですね。だから序盤は感情を出さない方向で、カナタとの仲が深まってからは感情を少しずつ豊かに出していくようになったと思います。性格的にも、より優しく変化したというか。

カナタに対する優しいお姉さん感は「お芝居」?

――シエルはカナタに対してちょっと茶目っ気のあるお姉さんっぽく振る舞いますよね。これは、シエルが意図的にそう振舞っているんですか?
青山 私はそうだと思っています。カナタは優しいお姉さん系に弱いので(笑)。それを見越しての振る舞いで、素のシエルとはまた少し違う気もします。カナタはシエルのマスターというわけではありませんが、マスターが心地よいと感じる人格に最適化されていくメイガスならではかもしれませんね。

――しかもシエルは第7話で謎の組織のスパイだということも明らかになります。お芝居としてはさらに難しかったのではないですか?
青山 そうですね。しかもスパイと言いつつも、どんなスパイなのかはまだわかっていないんですよね。

――実際、第7話のラストシーンではカナタ側になっていましたね。
青山 でも、まだ組織と完全に対立したわけではないんですよね。現時点でカナタの味方なのは間違いないですけど、もしかしたらこれから先、カナタたちの前に敵として立ちはだかる可能性もゼロではないかもしれないですし。シエルの過去も謎に包まれているので、私自身、まだまだ彼女の正体を理解できていないんです。

お芝居以上に緊張したアフレコ現場の雰囲気

――シエルの登場シーンで、とくに印象深いところはどこですか?
青山 先ほど話題に出た第7話はどこも印象深いです。Aパートでは、優しいお姉さんの雰囲気を出しつつも、裏では何を考えているのかわからない、どこか怖さも感じるようなお芝居をしていたんです。それが大きく変わったのは、カナタがシエルを連れて車(キャリア)で移動している際、シエルが初めて自分の胸の内を明かしたシーンです。

――カナタのためを思って、電撃で失神させようとするシーンですね。
青山 そうです。目的のためなら手段を選ばない冷酷無比なスパイというわけではなくて、まず第一にカナタのことを考えているところが素敵で、誰かのことをちゃんと思いやれるキャラクターなんだなと、彼女のことがより好きになりました。

――さらにその後は、カナタに対する愛情らしき感情も芽生えています。
青山 すごい成長ですよね。カナタに対しては完全に心を開くようになって、ここからのシエルは声色もさらに柔らかくなったなと思います。

――アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?
青山 私にとって、TVアニメのアフレコ現場は今作でふたつめなんです。大先輩だらけの現場に、ド新人が飛び込んでいくことになるので、皆さんにご迷惑をかけないだろうかと最初はすごく緊張していましたね。お芝居のこと以前に、むしろそっちが不安で(笑)。そんななか、カナタ役の大塚(剛央)さんはすごく落ち着いた方で、自分自身の芝居に集中できる環境を作ってくださって、それがすごく助けになりました。

――その大塚さんとの掛け合いはいかがでしたか?
青山 大塚さんご本人の人柄とカナタとのギャップにとても驚いたんですけど、マイク前では紛れもなくカナタでいてくださったので、私としても感情が乗せやすかったです。やっぱり家で練習するのと、こうして生で掛け合うのってまったく違うんだなということをあらためて実感しました。endmark

青山なぎさ
あおやまなぎさ 5月16日生まれ。東京都出身。Apollo Bay所属。『ラブライブ!スーパースター!!』一般公募オーディションを経て、葉月 恋役で声優としてデビューを果たす。趣味はミュージカル鑑賞・小鳥と戯れること。特技はクラシックバレエ。
作品情報

『SYNDUALITY Noir』
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