TOPICS 2021.08.24 │ 12:00

上田麗奈 ニュー・アルバム『Nebula』
フォト&インタビュー 後編

8月18日にニュー・アルバム『Nebula』をリリースした上田麗奈。アルバム制作の過程を追った前編に続き、後編では本人による全曲解説をお届けする。心の動きを一本の映画のように紡いだ本作を「ネタバレあり」インタビューで場面ごとに振り返ってもらった。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/矢澤睦美(Sweets) スタイリング/下田 翼(ant.)

曲を聞いて涙が出たのは初めてでした

7.「プランクトン」

――上田さんの作詞曲ですね。作詞に関しては「ずっと悩んでいる」と以前に話していましたけど、今回はどうでしたか?
上田 やっぱり悩みました。これまでの作詞と比べていちばん難しかったですね。前作で詞を書いた「Campanula」や「花の雨」は人に贈る歌だったし、テーマもしっかりあったので言葉がスルスルと出てきたんです。でも「プランクトン」は自分自身の過去を思い返しながら、そのときの状態をどんな言葉で言いあらわせばいいのか、いろいろ考えてみてもぜんぜん浮かんでこなくて。いまだにこれでよかったのかな……と不安があります。

――この曲は、どういう経緯で作詞をすることになったのですか?
上田 各曲、担当していただく方が決まった段階で「ほとんどみなさん作詞もできますね」となったんです。ただ、広川さんは基本的にご自身で作詞をされないので、ここは誰かにお願いしなきゃ……じゃあ上田さんやりましょうか、という流れですね。

――『Empathy』で広川さんが手がけた「ティーカップ」は、軽快でおしゃれな曲がだんだん不安定になっていく展開が印象的でしたが、「プランクトン」は逆に落ち着いていく感じです。
上田 希望に変わっていくんですよね。アウトロがすごく長く入っているんですが、そこでどんどん希望がつのっていって、次の「anemone」につながると「転んで立ち上がる」印象が強まるかなと思ったんです。ここもイメージ通りだったので、広川さんにお願いしてよかったなと思いました。

8.「anemone」

――サビのあたりの弾む歌い方とか、いつになく明るい感じで「曲があがってきたときにうれしかった」と言っていた通りなんだろうなと思いました。
上田 すごくうれしかっです。聞いたときに本当に涙が止まらなくて。曲を聞いて泣いちゃったのは初めてでした。前半でお話しした、コロナ禍のスランプを味わっている最中だったので、こんなふうに自分のことを認めてもらえたら明日もがんばれるって、しみじみ思っちゃったんです。

――この曲はMVにもなっていますが、曲を聞いて決めたのでしょうか?
上田 そうですね。もう聞いた瞬間に「これ!」と思いました。今まではギリギリまで考えてMVにする曲を決めていたんですけど、「anemone」に関しては聞いた瞬間に決まりました。

怒っている自分に「ありがとう」と言ってあげたかった

9.「わたしのままで」

――映画でいえば、ラストシーンに流れる曲でしょうか。
上田 これで本編を締めくくる感じですね。ここまでの全部を振り返りながら、自分を認める作業をしている、そんな曲です。

――今回、8~9曲目をsiraphのメンバーの方が担当していますが、どちらも明るめ曲調だったのが意外でした。
上田 最後は明るいイメージで終わりたいと考えていたのですが、やっぱり自分自身の性格がネガティブで、ずっと「ハッピー」と言い続けられる人間じゃないので、等身大の「ほの暗さ」がほしいなと思って。そのバランスがきっと絶妙だったんだと思うんですよね。広川さんもそうですけど、明るい曲を書いても明るくなりすぎないんじゃないかな、と思って。

10.「wall」

――『Empathy』にもなかった明るい曲調にまず驚きました。それでいて、自分をもうひとりの自分が見つめている、客観的な視点の曲でもあるのかなと。
上田 「わたしのままで」できれいに終わってもよかったんですけど、つまづいて、立ち直って、その次の姿勢みたいものを最後に提示できたら、より未来に希望が持てるかな、と思ったんです。自分がくぐり抜けてきたものを総括して、自分に語りかける。なんだかお母さんになったような目線の曲ですね。

――見守ってあげているようなイメージはたしかに感じました。
上田 自分の中に怒りの感情とかが湧き出してきたとき、私、ちゃんと怒っている自分に対して「怒ってくれてありがとう」って言ってあげてきたかなと思ったんです。その怒りは自分を守ろうとしてくれているのに「そんなことしちゃダメ」って思ってばっかりだったんじゃないかって。だから、「守ってくれてありがとう、今までゴメンね」と言ってあげたい。この曲を聞いているとそう感じます。

聞いてくれる人の経験に響く作品になっていたらうれしい

――気の早い話ではあるんですが、『RefRain』=冬、『Empathy』=春、『Nebula』=夏、ときたら次は「秋」なのかな、とやはり考えてしまうのですが。
上田 今までは『リテラチュア』の間に『Nebula』のことだとか、作業の間に次の作品について考えていたんですけど、『Nebula』に関しては取りかかっている間に次のことをまったく考えられなかったんです。もう少し時間をかけて、1年後……に出せるかどうかわからないですけど、その頃に「秋」をイメージしたものを出せたらいいな、くらいの気持ちでいます。

――作業中に『Nebula』の曲をライブで歌うことは想像しましたか?
上田 ぜんぜんしていなかったですね。もし、2ndライブをやるとしたら本当どうするんだろう……? やるとしたらセットリストもこの曲順のままじゃないといけないと思いますし……大変です、やばいです(笑)。

――それだけ今の自分自身を注ぎ込んで作ったのが『Nebula』ということですね。
上田 そうですね。そうして作ったアルバムをひと通り聞いたあとに「なんだかいいものを見たな」と思ってもらえたら、少しは癒しというか、ハッピーを届けられるのかな。そんなふうに誰かの心に響いていたらうれしいです。上田麗奈の経験としてじゃなくて、聞いてくださる方が過去の体験を思い起こしながら何かを感じられる作品になっていたらいいなと思いますね。endmark

上田麗奈
うえだれいな。富山県出身。81プロデュース所属。2014年にTVアニメ『ハナヤマタ』の関谷なる役で初主演。他に『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』ギギ・アンダルシア役、『ポケットモンスター サン&ムーン』マオ役、『SSSS.GRIDMAN』新条アカネ役、『私に天使が舞い降りた!』星野みやこ役など。2016年にソロデビューを果たし、今年の3月には1stライブ『上田麗奈 1st LIVE Imagination Colors』を開催した。
作品情報

上田麗奈『Nebula』
品番/LACA-15884
価格/3,300円(税込)
発売日/2021年08月18日

〈収録曲〉
01.うつくしいひと
作詞・作曲・編曲/rionos

02.白昼夢
作詞・作曲/ChouCho 編曲/村山☆潤

03.Poeme en prose
作曲・編曲/TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND

04.scapesheep
作詞・作曲・編曲/TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND

05.アリアドネ
作詞・作曲/山田かすみ 編曲/Saku

06.デスコロール
作詞/良原リエ 作曲・編曲/Babi

07.プランクトン
作詞/上田麗奈 作曲・編曲/広川恵一(MONACA)

08.anemone
作詞/Annabel(siraph) 作曲・編曲/蓮尾理之(siraph)

09.わたしのままで
作詞/Annabel(siraph) 作曲・編曲/照井順政(siraph)

10.wall
作詞・作曲・編曲/コトリンゴ