――TVアニメ2期の放送から時間が少し経ちましたが、開始前はどんな気持ちでしたか？
大熊　小学生の頃から「声優になりたい」という夢を持っていたので、その夢がかなった瞬間でした。ただ、夢がかなったら、もっとはしゃいだり、「うわー！　キャー！」と声をあげて喜ぶんだろうなと当時は思っていたのですが、いざそのときを迎えてみると意外と冷静な気持ちというか。「あ、これから始まるんだな」と、落ち着いた感じで放送を待っていましたね。

――大熊さんがラブライブ！シリーズと出会ったのはどういうきっかけだったのですか？
大熊　中学の同級生に熱狂的なファンの子がいて、μ’sさんのメンバーのキャッチフレーズを教室内で言いながらウロウロしていたんですよね。

――なんというか……ユニークな同級生ですね（笑）。
大熊　はい（笑）。でも、面白い子だったので、クラスでも人気者だったんですよ。それを見て「なんだろう？」と思って調べてみたら『ラブライブ！』が出てきて「これのことなんだ」と。でも、そのときはまだ作品の存在を知ったくらいだったので、オーディションで再会したような感じですね。

――そのシリーズの作品に後々出演することになるというのは、不思議な縁ですね。
大熊　決まったときにはびっくりしましたね。もともと、声優の仕事には顔を出さずにお芝居ができるところにも魅力があると感じていたので、まさか最初の出演作でステージに立って歌って踊ることになるなんて大丈夫かな、という気持ちもありました。その予測のつかなさがかえって放送前の自分を冷静にさせていたのかもしれないですね。

――劇中の四季の出番でいうと、やはり第4話がクローズアップされるのかなと思うのですが、心に残っているシーンやセリフはありますか？
大熊　四季ちゃんが中学時代を回想するシーンで「もともと私はいつもひとり。それで全然平気だった」と言うんですが、そこでふいに涙腺がゆるんだというか、「ああ、そうだったんだ」と腑に落ちる感覚がありました。ひとりぼっちでいるのが日常になってしまっている、それが本人にとって半ば無自覚な「当たり前」になっている姿には心がちょっと痛くなって、寄り添ってあげたい気持ちが強くなりました。私も集団行動が苦手で、いつの間にか先生たちからも「変わった子」と思われたりしていたので。

――集団の中で「変わった子」ポジションに入ってしまうと、そこにいることの気楽さに慣れてしまうことがありますよね。
大熊　そうなんですよね。自分から変えていこうとあまりしなくなるというか。自分は自分のペースで好きにやるから、みんなも好きにしてよ、という気持ちが大きくなっていって。そこは自分とも重なるところがあって、だからあのセリフが響いたのかもしれないです。

――第1話から第12話までを通して、いちばん四季が変わったなと思う部分はどこですか？
大熊　変わっているといえば、最初から変わった子でしたけどね（笑）。変化したという意味では、ライブシーンを見ていくとよくわかるかもしれないです。四季が最初にステージに立つのは「ビタミンSUMMER！」（第6話）だったんですけど、このときはまだちょっとぎこちない笑顔なんです。それが「Sing！Shine！Smile！」（第10話）では屈託のない笑顔になっていて、「え、こんな笑顔ができるんだ!?」と。本当にかわいいなと思いながら、見ていてすごくうれしかったです。もう親のような気持ちでした（笑）。

――なるほど。本編で描かれているシーンはもちろん、それ以外でもいろいろなメンバーとのやりとりやその積み重ねがあったんだろうなと想像できますね。
大熊　そうですね。ライブ以外でも、みんなと会話しているとけっこういろいろな表情が出る子なんですよね。あと、先輩・後輩の壁もあまり気にしていない様子だし、意外と物怖じせずにみんなに話しかけるタイプなんだなと思いながら見ていました。

――四季以外のメンバーのセリフやシーンで気に入っているものはありますか？
大熊　第3話、スクールアイドルフェスできな子ちゃんが初めてステージに立つんですけど、マルガレーテちゃんに負けて、先輩たちと歩道橋の上で話しているシーンがありますよね。そこで可可（クゥクゥ）ちゃんが「失敗は成功の準備運動！」ってきな子ちゃんを励ますのを聞いて「うわ～、そう言ってくれるんだ」と思いました。（Liella!のデビュー曲の）「始まりは君の空」の歌詞でもあるんですが、それがこのシーンで使われることに、とにかく感激しました。

――制作が決まっているTVアニメ3期では、四季のどんな活躍を見てみたいですか？
大熊　やっぱり後輩ができると思うので、どんな先輩面をするのかが楽しみです（笑）。私にもちょっと想像ができないんですよね。あとは新たな発明品を見たいです。できれば、Liella!の活動にも役立つものがいいな……。TVアニメ2期に出てきたものは全体的に怪しいものが多かったので（笑）。

――ちなみに大熊さんが思う「先輩」はどんなイメージですか？
大熊　やっぱり背中で語るというか、あんまり圧をかけずに見守る立場というか。私自身、上下関係が強いのはあまり好きではないので、フラットな立場で連帯しつつも、お互い敬意を持って接し会える先輩後輩になれたらいいですね。

――四季はなんとなく背中で語る先輩になりそうな気がします。
大熊　ホントですか？　たしかに普段はもの静かなので、そうかもしれないですね。じゃあ背中で語る四季ちゃん、期待していてください（笑）。