――『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』は、声優として初のレギュラー作品になりますね。
小日向　放送が始まる前はすごくワクワクしていて、心の中がお祭り騒ぎみたいな感じでした（笑）。放送が始まって、初めて役を担当した女の子が動く姿を全国の皆さんに見ていただいていることを実感してからは、込み上げてくる感情が本当に多くて。お家にいるふとした瞬間にも、涙が出てしまうくらいでした。

――視聴者からの反響で、印象に残っているものを教えてください。
小日向　私が担当する長崎そよちゃんは、MyGO!!!!!のストーリーの中で核になるような悩みを抱えている女の子なのですが、当初はそこをあまり悟られすぎないように気をつけていました。ただ、それでも抱えている気持ちが、どうしても動きや、私自身も声に乗ってしまって。そよちゃんのそういう部分に気づいてくれている視聴者の方もいて、それはうれしかったですね。私がセリフに込めた、そよちゃんの心の奥にある感情に気づいてくれたんだなって。

――そよは「母親のような優しさを持っている」といった紹介をされるので、だからこそ、それ以外の部分とのギャップが際立つきらいはありますよね。
小日向　急に怒鳴るシーンもありますからね（笑）。台本をいただいて、私自身もびっくりしました。こんなに感情をさらけ出して、爆発させることができる女の子なんだって。物語の後半では自分の思いを素直に話す場面も増えてくるので、そこをちゃんと表現してあげないと、そよちゃんの人間性が見えなくなっちゃうと思いました。なので「この言葉はこういう意図で話しているんじゃないかな？」って、つねに台本に書き込んで、監督さんに「こういう意図で合っていますか？」と確認しつつアフレコに臨んでいました。そして物語が進むうちに、思っていた以上に5人の中でいちばん等身大の女の子だなと思いました。メッセージを未読スルーしたりするところもリアルだったり（笑）。そういう意味でも、リアリティのある女の子になるように心がけました。あと、そよちゃんはいろいろな過去があったからこそ、どこか猫をかぶっているというか、本音を見せないでみんなに好かれるような性格を演じているところがあるんですね。きっと自分の居場所を守るためだったんじゃないかなと思うのですが、私自身も、まわりに嫌われたくないと思って行動してしまう部分もあるので、そういう点はすごく共感できました。

――アニメ放送の1年以上前からライブや楽曲リリースといった音楽活動をともにしてきたMyGO!!!!!のメンバーですが、活動当初から印象が変わったメンバーはいますか？
小日向　いちばん印象が変化したのは、立石 凛ちゃんです。最初はクールな印象で口数も少なかったんですけど、最近はメンバーに甘えることが増えたんですよ（笑）。バンド練習でも「ねぇねぇ、これってどうやってやるの？」とか（笑）。以前より笑顔も多くなったし、自分から好きなものの話をしてくれたり、どんどんみんなに気を許してきている感じがします。

――これまでのMyGO!!!!!のライブで、とくに思い出深いシーンを挙げると？
小日向　まず、1st LIVEで「迷星叫」を全員で演奏できた瞬間です。その日は鼓子ちゃんがライブ後半からの参加だったんですけど、「迷星叫」で鼓子ちゃんも揃った5人で演奏できたとき、無敵な感じがしたんですよ。この5人ならどこまででも行けると思ったし、全員が揃ったときの安心感と信頼感、そしてパワーが格別だなと感じました。もうひとつは4th LIVEで紗幕（しゃまく）が下りた瞬間です。

――MyGO!!!!!は、1st LIVEからずっとメンバーの顔を明かさない状態で活動をしていましたからね。
小日向　4th LIVEの「壱雫空」の演奏時に初めて顔を出しました。それは、MyGO!!!!!にとって新たな一歩になったと思います。みんなすごく緊張していたけど、それでもみんなで顔を見合わせて、笑顔で演奏できたことは、生涯忘れることのない思い出です。ここまで活動してきてよかったな、ここからさらに違うステージにいけるな、みんなでもっと羽ばたいていけるなと思った瞬間でもありました。MyGO!!!!!のメンバーになってからは、うれし涙を流すことが増えました。そんな機会がたくさんあることは、私の人生においてすごく幸せなことです。昔は悔しかったり、悲しくて涙を流すことのほうが多かったですから。

――第9話までのストーリーで、とくに印象に残っているシーンを教えてください。
小日向　第8話の最後で祥子（さきこ）ちゃんとお話しをするシーンです。今までは思っていることを隠して生きてきたそよちゃんだけど、そのシーンでは胸に秘めていた言葉が素直に、取り繕うことができずに口に出てしまう。そんな感情の変化と爆発を表現して伝えるためには、心の底からの本気で思いを乗せなければいけないと思いました。そう思ってアフレコでシーンに挑んだら、涙があふれてきてしまって。泣きながら口にしたセリフだったので、滑舌がよくない部分もあったんですけど、監督さんは「すごく思いが伝わってきたので、今のテイクを使いたい」と言ってくださいました。そのときに、私はそよちゃんの感情をちゃんと理解して、彼女とひとつになれていたんだなと思えました。自分が声優として活動していくうえで、大切なものが少し見えたシーンです。

――第9話ではまた大変な展開が訪れましたが、第10話以降の見どころはどういったところになりますか？
小日向　第9話でバラバラになってしまったMyGO!!!!!が、そこからどうやってまたひとつになろうとしていくのか。その過程に思いを込めたキャスト全員が涙しました。皆さんにとっても「この作品を見ていてよかった！」と思える展開が待っているので、ぜひ楽しみにしてほしいです！

――最後に、今の長崎そよに、小日向さんから何か言葉をかけるとしたら、どんな言葉になりますか？
小日向　「自分らしくいられる居場所が見つかるから、大丈夫だよ」って言ってあげたい……あ、また泣きそうになってます（笑）。