Febri TALK 2021.08.16 │ 12:00

小林靖子 脚本家

①『科学忍者隊ガッチャマン』で感じた
「カッコいい」を再現したい

2020年年末に放送されて話題を呼んだTVドラマ『岸辺露伴は動かない』をはじめ、数多くのドラマ・アニメを手がける脚本家・小林靖子。連載インタビューの第1回は、小学生のときに夢中になったという『科学忍者隊ガッチャマン』について。

取材・文/宮 昌太朗

白鳥のジュンの格好で買い物する夢を見ました

――今日は小林さんのアニメ遍歴を伺えればと思うのですが、子供の頃はアニメや特撮を見ていましたか?
小林 世代的に子供がたくさんいたので、アニメや特撮――当時は「特撮」という言葉を使っていたかわからないですけど、『仮面ライダー』や『ウルトラマン』のような、いわゆる変身ヒーローもの――は、好きでよく見ていました。なんとなく印象に残っているのは『スカイヤーズ5』。トランプをモチーフにしたキャラクターが出てきた記憶があるんですけど、内容はおぼえていないですね(笑)。最初に夢中になったのは、それこそ『おはよう!こどもショー』みたいな子供番組で、『ひょっこりひょうたん島』も見ていたと思います。

――最初にタイトルが挙がったのが、『科学忍者隊ガッチャマン(以下、ガッチャマン)』ですが、これはいつ頃見ていたのでしょうか?
小林 幼稚園か小学校の低学年だと思います。それまではどの番組も「面白いな」と思って見ていたのが、『ガッチャマン』からははっきりと「カッコいいな」と思ったんです。私が憧れていたのは、白鳥のジュン。ジュンが乗っていたバイクがスマートですごくカッコよくて。小さな超合金みたいなものを買ってもらいました。もちろん、『魔法使いサリー』や『ひみつのアッコちゃん』も見ていたし、アッコちゃんのコンパクトも持っていたんですけど、憧れていたのはジュンだったかもしれないです。

――劇中のエピソードやシーンで、おぼえているものはありますか?
小林 最後に5人でピラミッドを組んで、竜巻ファイターを出すっていうのはおぼえているんですけど、お話はひとつもおぼえていないです(苦笑)。たぶん、出撃するときに、あのコスチュームになるのがカッコよかったんだと思います。マントもそうだし、ヘルメットの鍔(つば)の部分がくちばしみたいになっているのが本当に好きで。自分がジュンの格好をして、買い物している夢を見たんですよ(笑)。それはすごくおぼえています。

――夢に出てくるほどハマっていたわけですね。当時、ほかにハマっていた作品というと……。
小林 小学校の3~4年生になると、今度は時代劇にハマったんですよね。当時、時代劇がすごく盛んで、『水戸黄門』とか『遠山の金さん』とか、あとは『銭形平次』とか……。それこそ杉良太郎さんがいろいろな番組で主役をやられていて、初めて買ったレコードが、杉良太郎さんの『すきま風』だったりとか(笑)。あと、同じ頃に宝塚(歌劇団)で上演された『ベルサイユのばら』にもハマって、親に頼んで学校を休んで見に行ったこともありました。

子供の頃に「カッコいいな」と

思ったもの

そこに依って

仕事をしている感じはあります

――アニメよりもドラマや演劇に興味が向いていたんでしょうか?
小林 うーん、とくに区別をしていたわけではなくて、好きなものに興味が向いていたということだと思います。実際、中学校に入ってから『サイボーグ009』が好きになって、それから『銀河鉄道999』も好きでしたし、あとはもちろん『宇宙戦艦ヤマト』とか。『アニメージュ』だったり、アニメ雑誌も買っていたんじゃないかな。……ただ、部活がバスケット部だったので、そういう話をする友達がいなかったんです。漫研みたいな部があって、そこに入っているアニメ好きの友達とは話したことがありましたけど、本当にそれくらいで。家でひとりで見て、ハマっていた感じなんですよね。

――なるほど。
小林 それからしばらくして、テレビで『ルパン三世 カリオストロの城(以下、カリオストロ)』を見たんです。

――劇場ではなく、テレビだったんですね。
小林 というのも、最初はルパンの顔がかわいく感じて、あとジャケットの色も緑だったじゃないですか。自分が知っているのは赤いジャケットのルパンだったので、なんか違うなと思って、そのままになっていたんです。ところが、テレビで見たら、もう最高に面白くて。

――どこにそんなにハマったんでしょう?
小林 なにより「面白かった」というのが最初にあるんですけど、あとは音楽がよかったです。オープニングが今までのヒーローものの主題歌とは全然違うテイストで。しっとりした曲の使い方もカッコよかったですし、演出もすごくオシャレなんですよね。大人になってからも何度か見ているんですけど、とにかくエンターテインメント映画として完成度が高い。すべてが――悔しいくらいにキチンと出来上がっている作品だなあ、と。すごく憧れました。

――当時見たものは、今の仕事に反映していると思いますか?
小林 そうですね。アニメや特撮に限らず、時代劇も含めて、子供の頃に「カッコいいな」と思ったもの。そこに依って仕事をしている感じはあります。『ガッチャマン』とか『カリオストロ』みたいな作品が作りたい!ではなくて、それを見たときに感じた「カッコいい」という感覚。それを再現したい、みたいな感じなんです。endmark

KATARIBE Profile

小林靖子

小林靖子

脚本家

こばやしやすこ 1965年生まれ、東京都出身。『特捜ロボ ジャンパーソン』で脚本家としてデビュー。以降、『仮面ライダー龍騎』などの特撮・アニメで活躍。高橋一生が主演を務めたドラマ『岸辺露伴は動かない』も大きな反響を呼んだ。2021年12月には『岸辺露伴は動かない』の新作となる3エピソードが放送決定。