Febri TALK 2021.05.12 │ 12:02

齋藤将嗣 デザイナー

②作画を意識するきっかけになった
『攻殻機動隊』シリーズ

魅力的な美少女とメカを多々生み出し続けるデザイナー、齋藤将嗣のアニメ原体験を聞くインタビュー。第2回は『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』に端を発し、映画・原作・TVアニメ・ゲームを跨いだ『攻殻機動隊』へのダイブ。

取材・文/前田 久

この頃から、アニメを作画で見るようになった

――2本目の作品は『攻殻機動隊』。これはシリーズとして挙げていただいていますが、最初に触れたのはどの作品でしたか?
齋藤 最初は押井守監督の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊(以下、GHOST IN THE SHELL)』です。高校生のときでした。

――3本目に『機動警察パトレイバー2 the Movie』を挙げていますが、押井監督の作品に触れるのは『GHOST IN THE SHELL』のほうが先ですか?
齋藤 いえ、小学生のときに見た『機動警察パトレイバー』のTVシリーズが初めての押井作品です。その流れで『機動警察パトレイバー2 the Movie』を見て、そこから『GHOST IN THE SHELL』ですね。レンタルビデオで見たんですけど、何回も借りて見まくりました。そのあと、アルバイトを始めてお金ができてからはDVDを買って、いつでも見られるようにしたんです。

――当時のDVDは今よりも手が出しにくい値段でしたし、よっぽどですね。何がそこまで齋藤さんの琴線に触れたのでしょう?
齋藤 僕は押井監督作品が好きで、ほとんど見ています。でも、『GHOST IN THE SHELL』に関しては作画でしたね。黄瀬和哉さんの作画。

――リアル系作画の最高峰のひとつですね。
齋藤 神山健治監督の『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(以下、攻殻SAC)』もそうで、最初は作画の綺麗さに惹かれました。この頃になるとProduction I.Gの名前も知っていたので「やっぱりI.Gのクオリティはすげえな~」なんてことを友達と話していたのをおぼえています。『攻殻SAC』のとくにファーストシーズン、「笑い男」のエピソードは、今でもたまに見返すくらい大好きですね。

――ところで、原作コミックも読んでいたのでしょうか?
齋藤 士郎正宗先生の原作コミックも大好きです。欄外に書いてあるうんちくを全部読んで「何が書いてあるのかわからないけど、とりあえず何かすごい!」みたいな気持ちになったりもしましたが(笑)、原作もやっぱり絵の魅力が大きかったですね。士郎正宗先生はメカも魅力的ですが、キャラクターをとてもかわいく、カッコよく、綺麗に描かれるので、読んでいて勉強になりました。『攻殻機動隊』シリーズすべてで絵の要素……キャラクターと、メカのデザインの魅力に惹かれた部分が大きいです。

アニメからも、マンガからも

全然知らない知識……哲学や

コンピューターに関する知識を

勉強させてもらいました

――アニメとマンガ、どちらのキャラの感じも好きだったんですね。もう少し具体的なところをうかがうと、絵のどのあたりがツボだったのでしょう?
齋藤 たとえば、「自律型の思考AIが入った多脚戦車」って、もうわけわかんないくらいギミックが詰め込まれている、とんでもない設定じゃないですか。それだけでもすごいのに『攻殻SAC』のタチコマも、原作のフチコマも、どっちもかわいいんですよ。戦車なのに、キャラクターとして立っている。

――なるほど。つまり、世界観とセットで、メカやキャラクターの造形について『攻殻機動隊』からまるっと影響を受けた?
齋藤 そうですね。アニメからも、マンガからも、全然知らない知識……哲学やコンピューターに関する知識を、だいぶ勉強させてもらいましたし、そういうことなんだと思います。ちょっとズレた話題になりますけど、ゲームのアニメもすごかったなあ。

――なかば伝説になっている、プレイステーション用ゲーム『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』のオープニング・ムービーですね。
齋藤 それです。『攻殻機動隊』のゲームが出ると知って、やっぱりファンとしては買わないとな……くらいの軽い気持ちで購入したら、オープニング・ムービーが度肝を抜かれる出来だった。士郎先生の原作の絵に近いキャラクターデザインで、フルデジタルで制作されていて、当時はまだ珍しかった3DCGが、手描きのアニメーションと合成してある。ゲームなので予算があったんでしょうけど、すごすぎました。今でもどうやって作ったのかよくわからないところがあって、あれと『サクラ大戦3』のオープニング・ムービーはオーパーツみたいなアニメだと思っています。ふたつとも、今のアニメと比べても遜色ないんですよね。どっちもアニメーターの吉成鋼さんが原画で関わっていて……なんてことを話していて、あらためて感じましたけど、この頃からアニメを作画で見るようになったんでしょうね。『カウボーイビバップ』は『GHOST IN THE SHELL』よりあとの作品ですけど、まだそこまで作画を意識せず見ていた気がするんです。『GHOST IN THE SHELL』あたりで興味が湧いて、ちょっとずつ意識するようになって、『攻殻SAC』の頃には作画をしっかり意識して見るようになっていた。そんな気がします。

――なるほど。当時のI.Gの充実したリアル系作画を誇る作品からの影響が大きかったのかもしれませんね。ところで、その後『攻殻SAC』の神山監督とは、仕事もご一緒していますよね。
齋藤 そうなんです。Twitter経由で直接仕事のオファーが来て、そこから『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』でキャラクターデザインに抜擢していただいて、『ひるね姫』でもちょっとだけ関わらせていただきました。学生時代に憧れていた監督が、まさかこんなに身近な存在になるとは思わなかったので、なんだか今でも夢のような気持ちです。endmark

KATARIBE Profile

齋藤将嗣

齋藤将嗣

デザイナー

さいとうまさつぐ。北海道出身。主な仕事に『楽園追放 -Expelled from Paradise-』(キャラクター・メカデザイン)、『CYBORG009 CALL OF JUSTICE』(キャラクターデザイン)『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』(デザインワークス)など。

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