――茅野さんは『プリキュア』シリーズ初出演ですが、本シリーズにはどんな印象がありましたか？
茅野　私が高校生になってから始まったシリーズなので、夢中になって見るといったことはなかったのですが、子どもがいる友人から「『プリキュア』に出てほしい」と言われることがあったんです。自分が子どもの頃も日曜日の朝といえばアニメを見ていたので、今の子どもたちも日曜日の朝は『プリキュア』を楽しみしているんだなと実感しました。あと、放送が始まってからは、役者仲間でお子さんがいらっしゃる方から「家で『ブンドル、ブンドル～！』ってやってるよ」と聞いたりもしましたね。すごくうれしいんですけど、本当は「ぶん盗る」のはいけないことじゃないですか。そこはちょっと複雑な気持ちもありましたね（笑）。

――茅野さんが演じるあまねは主人公のゆいたちが通う中学校の生徒会長であり、同時に怪盗ブンドル団の一員・ジェントルーでもあったわけですが、あまねはどのようなキャラクターだと受け止めていますか？
茅野　成績も優秀だし、それでいてお兄ちゃんのゆあんとトレーニングをやっているシーンもあったりして、基礎体力もあるようです。性格は素直でピュアなところもありますが、しっかりしていて本当に大人です。現在はもう少し先の話数を収録していますが、演じれば演じるほど、彼女が大人で才能にあふれている子だと感じるんです。最初はそんなところをブンドル団に目をつけられて心を操られてしまったのかなと思っていたんですが、まさか理由が「土地勘」だったとは……。

――第13話でブンドル団のナルシストルーが「ジェントルーは土地勘があるから利用していただけ」と衝撃的な理由を話していましたね。
茅野　けっこうびっくりでした。もうちょっと違うところで選んでほしかった（笑）。本当は土地勘だけじゃなかったと信じたいです。

――ジェントルーを演じるにあたって、とくに気をつけたことはありましたか？
茅野　オーディションを受けたときに、ジェントルーのセリフのテストもありました。その際にシリーズディレクターの深澤（敏則）さんから丁寧な説明があって、「ジェントルーはブンドル団に心を操られているあまねで、自分の本当の心と葛藤することがある。だから、感情面のお芝居を細やかにしてほしい」と要望をいただいたので、期待に応えられるように頑張らなきゃと気を引き締めました。

――エピソードによって心を操作されてしまう度合いが変わったりもしましたよね。
茅野　深澤さんからはいつも収録前に「今回は心は操られていなくて大丈夫です」「ちょっと強めに心を操られているように」といったディレクションがありました。私はお話の内容を確認して、まずお芝居を準備し、説明を受けて微調整していきました。現場にお話全体を見渡して演技の方向性を指揮してくださる方がいらっしゃるので、疑問があったら確認ができるという安心感がありましたね。

――ジェントルー以外のブンドル団のキャラクターにはどのような印象を持っていますか？
茅野　なんだか楽しそうですよね。「ゴーダッツ様は何々がお好きです」とか、いつもごはんの話ばっかりしていますし。

――たしかにごはんの話をするときは楽しそうにしているようにも見えます。
茅野　ただ、心配なこともあって。ジェントルーは「ブンドルー」（レシピッピの捕獲）できなかったときに自分でゴーダッツ様のためにごはんを買って帰ったと思うんですが、お小遣いは足りていたのかな……？と。もし、経費が出なかったら、あまねちゃんはまだ中学生だから、全額お小遣いからの持ち出しで大変なことになっているのでは……と気になっています（笑）。

――ブンドル団もそこまでブラックではないと信じたいですね。最近のアフレコではグループに分かれて収録することが多いですが、茅野さんはブンドル団チームで収録していたのでしょうか？
茅野　そうですね。分散して収録しているので、基本的にプリキュアを演じる3人と一緒に収録することはなかったです。でも、『デパプリ』の現場では差し入れのお菓子に、あとの収録グループに宛てた手紙を添えてくれるんです。ブンドル団チームの収録は最後に行うことが多くていつも返事ができないので、ある日の収録後にそのお菓子を抱えて「ブンドルーしたぜ！」という写真をプリキュアチームに送ったことがありました。

――この記事が掲載される直前のエピソード（第17話）では、ジェントルーだったことを悔いて生徒会長を辞めようとしたりと、心に迷いのあるあまねの姿が描かれました。
茅野　第17話の最後でプリキュアになることを断っていますが、モヤモヤしますよね。今はあまねちゃんにとって、心を操作されていたときのことをおぼえているというかわいそうな状況になっています。でも、ゆいちゃんがあまねちゃんにすごく素敵な言葉をかけてくれるんです。それを受けてあまねちゃんがどんな決断をくだすのか、見届けてあげてください。