TOPICS 2023.04.07 │ 12:00

『ひろがるスカイ!プリキュア』
村瀬 歩に聞く、キュアウィングへのアプローチ①

『プリキュア』シリーズ最新作『ひろがるスカイ!プリキュア』に、キュアウィング/夕凪ツバサ役として出演する村瀬 歩。これまでにも数多くの作品で主要キャラクターを演じてきた村瀬が「男子プリキュア」にどのようにアプローチしたのかを尋ねるインタビュー。ツバサというキャラクターが持っている魅力など、存分に語ってもらった。

取材・文/宮 昌太朗

どんな世代でも楽しめるのが『プリキュア』のすごさ

――村瀬さんはキュアウィング/夕凪ツバサ役として出演しているわけですが、これ以前に『プリキュア』シリーズを見たことはありましたか?
村瀬 『ふたりはプリキュア』が放送されたときは高校生になっていたので、リアルタイムでは見ていなくて。ただ、2015年に『Go!プリンセスプリキュア(以下、ゴープリ)』にゲストで出演することがあったんです。

――第47話「花のように…! つよくやさしく美しく!」に登場した王子役ですね。
村瀬 そのときに見たのが初めてですね。当時はあくまで仕事としてというか、作品の空気感だったり、あるいはどういう感じで作っているのか、そういう部分に着目しながら見ていたのですが、じつは今回、『ひろがるスカイ!プリキュア(以下、ひろプリ)』のオーディションのときに『ゴープリ』を見直す機会があって。そうしたら、めちゃくちゃ得るものが多かったんです。純粋にストーリーが面白いというのもあるんですが、『ゴープリ』が「夢」をテーマにした作品だったというのも大きくて。僕ら自身、見ている人に夢を与える職業でもあるし、同時に夢を追う側の職業でもある。そういうところで『ゴープリ』のテーマがすごく刺さったんですね。『プリキュア』はあくまで子供たちに向けた作品ですけど、一緒に見ている大人にも刺さるような作りになっている。きっとどんな世代でもちゃんと楽しめる、そこは本当にすごいなと思いました。

――オーディションでは、役にどのようにアプローチしたのでしょうか?
村瀬 テープオーディションとスタジオオーディションがあったのですが、最初はキャラクターの名前と「普段は鳥の姿なんだけど、人間にも変身できます」という設定をいただきました。ビジュアルがまだなかったのでイマジネーション勝負というか、あまり細かく決め込まず、思った通り素直に演じました。そのあとスタジオオーディションに進んだときに「テープオーディションがよかったので、あの感じでお願いします」とおっしゃってもらったので、そのまま演じたところ、役をいただけました。

大人びた一面と、12歳の少年らしさを持つツバサの魅力

――最初のイメージのままでいけたわけですね。村瀬さんから見た、ツバサの魅力やチャームポイントはどこになるでしょうか?
村瀬 やっぱり「空を飛びたい」という自分の夢を追い求めているところ、夢に真剣に向き合っているところだと思います。ツバサは性格も真面目で、おそらく頭もいいんです。ただ、彼には大人びた一面があって、自分の夢がどれだけ難しいことなのか、冷静に把握できてしまう。そのせいで「仕方ないですよね」「どうせ笑われますよね」と、ちょっと腐っていたところがある。だけどソラ(・ハレワタール)が「カッコいい」と言ってくれたことで、人の温かさを知ったと思うんです。

――ソラとの出会いがツバサに変化をもたらした。
村瀬 ツバサは普段はちょっと内気な感じで、あまり前に出られない印象があるんですけど、内側にはちゃんと熱を持っている。そこがすごく魅力的だなと最初に思いました。それがソラや(虹ヶ丘)ましろ、(聖)あげはと関わっていくなかで、だんだんと外交的になっていって。ツッコミを入れることもあるし、自分がボケに回ったり、あるいはエルちゃんのことでは前のめりになったりする。12歳の少年らしいところを見せてくれるようになるんですよね。エネルギーにあふれていて、しかもそのエネルギーを受け入れてくれる人たちのことを信じている。その温かさは、すごく魅力的だなと思います。

――ツバサは第8話からの登場でしたが、それまでのエピソードはどのように見ていましたか?
村瀬 絵が完全に入る前のものですが、アフレコの音声が入った映像を毎回送っていただいていたので、作品の空気感――役者の持っているエネルギーだったり、会話でもストレートにガンと出すやり取りの気持ちよさは伝わってきました。とくに印象的だったのは、ソラ役の関根(明良)ちゃんのお芝居ですね。スコーンとミットのど真ん中に入ってくる気持ちよさがあって、アフレコ現場でも毎回すごいなと思いながら見ています。

「ヒーロー」と聞いて思い浮かべる人は……?

――『ひろプリ』は「ヒーロー」がキーワードになっていますが、村瀬さんが「ヒーロー」と聞いて最初に思い浮かべるのは?
村瀬 スーパーマンですかね。あるいはダークヒーローだったら、バットマンとか。育ちが育ちなので、そういう感じになっちゃいます(笑)。もしかすると、ヒーローは超人的な力を持っている、というイメージがあるのかもしれないです。それこそ「プリキュアに変身して戦う」のもヒーローらしいなと思うし。……あ、でも大谷(翔平)選手はヒーローですよね。

――あはは、なるほど。
村瀬 膝をつきながらバットを振って、それがホームランになるとか。「何これ!?」って思うじゃないですか。ある意味、人間離れしているというか。大谷さんはヒーローなんじゃないかと思います。endmark

村瀬 歩
むらせあゆむ 12月14日生まれ、アメリカ合衆国出身。ヴィムス所属。最近の主な出演作に『大雪海のカイナ』(ヤオナ役)、『うちの師匠はしっぽがない』(作次郎役)、『王様ランキング』(カゲ役)、『魔入りました!入間くん』(鈴木入間役)、『雨を告げる漂流団地』(のっぽ役)など。
作品情報


『ひろがるスカイ!プリキュア』
ABCテレビ・テレビ朝日系列にて毎週日曜08時30分より放送中!

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