――まず、『マッシュル-MASHLE-』の原作を読んでの印象を教えてください。
石川　魔法の力がものをいう世界で、魔法の力を持たないものが世の中を席巻していくというテーマに「自分は自分のままでいいんだ」という勇気をもらえた気がしています。微笑ましくなるようなギャグシーンや手に汗を握るようなシリアスシーンの緩急で、のめり込むように原作を読み進めました。物語が進むごとにマッシュが周囲に認められていくのを見て胸が熱くなりましたし、もっと応援したくなりました。

――演じる立場として「ランスのここが魅力的」と思うポイントはどこですか？
石川　最初の登場シーンからは想像もつかないほど優しく仲間思いな面があるところは、演じていても魅力的だと感じています。妹への愛情からも読み取れる通り、自分が大事だと感じたものを守るという意志の強さも魅力のひとつになっていると思います。

――その妹・アンナを溺愛する一方、強いな魔力を持ち、さらにイケメンで成績優秀なランスですが、共感できる部分や、逆に自分とは違うな、と思う部分はありますか？
石川　ドットやレモンが言っているように、人としてほぼ完璧な彼に共感できるものは自分にはあまりないかもしれません。シスコンも、言い方を変えれば家族を愛する素敵な青年ということになります。どうすればあれだけの才能を持ちながら、常に上を目指し続けられるのかを教えてほしいです。

――ランスを演じるうえで注意している点や、アフレコ中に受けたディレクションで印象に残っていることはありますか？
石川　実際のところ、現場でキャラクターに関するディレクションはあまりありませんでした。なので、かなり自由に演じさせていただいています。唯一あったのは、妹への愛を語るシーンで「もっとやっちゃってください」というディレクションを4回ほどいただいたので、収録ではかなりやりきりました。オンエアではいい塩梅のものを使っていただけていたので安心しましたが、もっと振りきったテイクもありました。

――ランスの本格的な登場回となった第4話では、マッシュとの対決とともに、ランスの過去も掘り下げられていましたが、とくに印象的だったシーンやセリフはありますか？
石川　アンナがあまりにもかわいすぎて、回想シーンは何度も見返してしまいました。かわいく聡明で心優しいあの子が、神様のいたずらで床に臥（ふ）せってしまったのなら、ランスがあんな野心にとらわれてしまうのも納得で、お芝居にも力が入りました。

――ランスやアンナ以外に気になっているキャラクターはいますか？
石川　フィン君はずっと気になっているキャラクターです。彼がいなければマッシュの周辺に集まっている人たちはたちまち険悪になっていたと思いますし、彼が橋渡し役になることでマッシュの交友関係も広がっているので、本当に大事なキャラクターだと思います。あと、フィン君の全力ツッコミもドン引きツッコミも好きで、家で密かに真似したりするのですが、まったくできないので見ていて勉強になります。

――収録や休憩中、他のキャストの皆さんとのやりとりで印象深かった出来事はありますか？
石川　たびたびネタになっているのでこの場でも言ってしまうのですが、自分はあまり皆さんと一緒にアフレコができませんでした。とはいえ、まったくできなかったわけではなく、一緒に収録できたときには「いるじゃん！」と言ってもらえて、現場に温かく迎え入れていただけたので本当に感謝しています。最高のチームです。

――石川さんといえば「筋トレ声優」のイメージを持っている読者も多いと思うのですが、最近の筋トレ事情を教えてください。
石川　とんでもなくトレーニングにハマっていた時期が数年間あったのですが、今ではさっぱりで少し身体を動かしただけでバキバキになってしまいます。筋トレをしていた時期は物事を前向きに考えられましたし、日々を精力的に活動できて充実感に満たされていたように思います。なので、筋トレはやったほうがいいですし、やるべきだと毎日自分に言い聞かせていますが……帰ったらいつも寝てしまうので、もうダメかもしれません。