――本にまつわる作品やキャラクターで思い浮かぶものはありますか？
ペイトン　アニメだと『ひなこのーと』に出てくる夏川くいなちゃんが印象的でした。主人公のひな子の同級生で、古本屋で働いている本好きの女の子なんですけど、最初に登場したときは静かに本を読んでいるタイプなのかなって思ったんです。でも、本が好きすぎて気持ちが抑えきれなくなって、たまに本の紙を食べちゃうんですよ（笑）。「ダメだよ！　食べものじゃないよ！」と思うんですけど、すごくかわいくて好きでした。アニメならではのキャラクターだし、アニメだから表現できるかわいさだなと思いました。古本を食べちゃうなんて、現実にいたらヤバいじゃないですか（笑）。

――たしかに（笑）。
ペイトン　他に本にまつわるアニメでは、『氷菓』が気になっています。まだ見られていないんですけど、ずっと見たいなと思っていて。古典部が舞台なんですよね。古典部とは違いますけど、私は高校時代に文芸部に所属していたので、気になります。

――今回のテーマとも近いと思いますし、文芸部時代のエピソードを教えてもらってもいいですか？
ペイトン　もともとは、文芸部という部活があることも知らなかったんです。高校に入って部活紹介を見て、最初は「入るなら演劇部かな」と思ったんですけど、すでに芸能活動をしていたので、もしかするとじっくり打ち込めないかなと思って。そんなとき、私の前に「文芸部です！」とひとりの先輩があらわれて。「文芸部って何だろう？」と興味が湧いてきたんです。それで、クラスでいちばん仲がよくて本好きだった子を連れて、一緒に入部しました。今思うとすごく強引で「ホントごめん」と思うんですけど（笑）。でも、その子も楽しそうにしていたから、結果的にはよかったのかな。

――文芸部では、どんな活動をしていたんですか?
ペイトン　文芸部と聞いて皆さんが思い浮かべるのは、きっとみんなで小説や詩を書いて、それをときどき本にまとめる、みたいなイメージだと思います。私が通っていた高校の文芸部では、文章を書く作業はみんな自宅でやります。たまに集まることもあるんですけど、夏休みの部活旅行くらいでした。日帰り旅行なんですけど、秋葉原に行ったこともありましたね。最初は鎌倉に行く予定だったんですけど、顧問の先生の引率もなかったので、学校の最寄り駅にみんなで集合したときに先輩が「鎌倉じゃなくて、秋葉原に行こうよ！」と言い出したんです。最初はびっくりしたんですけど、本当に先生には内緒で秋葉原に行くことになって（笑）。ずっと内緒のままだったから、ここで言っちゃうと先生にバレちゃうかもしれないですけど、きっと今なら笑って許してくれると思います（笑）。

――文芸部の部活旅行で鎌倉はしっくりきますけど、秋葉原はすぐに結び付かないイメージです。
ペイトン　部員がみんなオタクでしたから（笑）。私は人生初の秋葉原で、電気街に初音ミクさんのポスターがドーン！とあって「もう、ここは天国かな!?」と思ったくらい楽しかったです。

――文芸部では文章を家で書いていたということでしたが、ペイトンさんが書いていたのは小説ですか？　それとも全然違うジャンルの文章ですか？
ペイトン　そこは部員によってそれぞれで、もちろん小説を書く人もいるのですが、先輩の中には部誌の表紙用の絵を描く人もいましたし、私と一緒に入部した子は、短めの詩を書きながらイラストも描いていました。私は、３万字くらいの小説を書いたんです。タイトルは「アイドル」です。当時、私がアイドルを辞めたばかりのときに書いたんですよ。高校1年のときにアイドルとして活動していたんですけど、メンバー全員がグループを卒業するかたちで活動が終了して。小説の主人公は19歳の女の子で、CDがなかなか売れなかったり、ステージでもあまりうまくいかなくて葛藤していて。でも、マネージャーさんだったり、同期のアイドルの子たちに支えられながら成長して、ハッピーエンドを迎えるお話でした。

――その小説を読んでみたいファンは多いと思います。
ペイトン　1話だけファンクラブのブログに載せたんです。でも、その先は自分でも恥ずかしいなと思って出していなくて。

――加筆修正して、将来的に世に出す可能性はありますか？
ペイトン　えー!?　誰も読まないですよ（笑）。 小説家さんの文章を読んでいると、私が書いた文章なんてアリンコみたいだなと思います。だから、私の書いた小説はアリンコ小説です（笑）。

――でも、小説を書き上げるのってすごいことですから。ちなみに小説家で気になっている人はいますか？
ペイトン　『ココロ』シリーズや『秘密警察』シリーズといったボカロ小説をたくさん書いている石沢克宜さんという方がいらっしゃるのですが、まだ全部の作品を読みきれていなくて。今まで読んだものはどれも面白かったので、他の作品も絶対に面白いと思っています。主人公の女の子たちの心の機微や葛藤が丁寧に表現されていて、私もこの子と同い年ぐらいのときはこんな感じだったなって、スッと入ってくるんです。