TOPICS 2022.11.30 │ 12:00

伊達さゆりの「手さぐりの旅」
第2回 学校生活を思い出して自己投影してしまうSHISHAMOさんの「中庭の少女たち」(後編)

第2回のお気に入りとしてSHISHAMOの「中庭の少女たち」を挙げてくれた伊達さゆりフォト&インタビュー連載。後編は、学校生活をともにした友達との約束や、今なお憧れているというバンド活動、そして20歳を迎えての近況を語ってもらった。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水

学校生活でやり残したことは……?

――中学や高校時代のお友達と、卒業してから「いつかこんなことをしよう」と約束していることはありますか?
伊達 ひとつ約束しているのは「(東京の)私の家に泊まりに来て」ということです。これは本当に達成したいなと思っていて。去年、一度だけ東京で地元の友達と会えたのですが、普段は学校に通っているのでなかなかスケジュールが合わないんですよね。次に会えたときには思いっきりはしゃいでやろうと思っています。なので、早くおうちに呼びたいです。

――東京に友達が遊びに来たとき、連れていきたい場所はありますか?
伊達 もし、私が地元から東京に遊びに行く立場だったら、まず渋谷とか新宿に行きたいんじゃないかと思うんです。でも、駅で迷っちゃうんじゃないかなって。そこを、カッコよく案内してあげたい願望があります。ただ、私自身が今でも迷いがちなんですが(笑)。

――学校生活で、「これだけはやっておきたかった」と思うことはありましたか?
伊達 もっと欠席せずに学校に行っておけばよかったな、とは思います。体調が少し悪くなったら自然に「今日は休みたいな」と思っていたのですが、今振り返ると、その時間すらもったいなかったな、と。その時間があったら友達ともっと仲よくなれていたのかな、とか、思い出が増えていたのかな、と考えてしまいます。

――大学生や社会人になると「体育の時間が運動不足を補ってくれていたんだ」と思ったりするのですが、さすがに伊達さんはまだそんな風には感じないですよね。
伊達 それでいうと、私は社会科や公民などをちゃんと学んでおけばよかったなと思いました。あの頃ちゃんと勉強していたら、世の中のことや、今見ているニュースなどももっと頭に入っていたのかな、と思うんです。今になって、あの授業はすごく大事だったんだなと感じています。

――逆に、これは得意だった、ということはありますか?
伊達 プールのあとの授業って、すごく眠くなるじゃないですか。でも、そういうときに私だけが目が覚めているということが何回かあって。先生も「まぁプールのあとは疲れて寝ちゃうよな……」とあきらめていたら、「あれ、ひとり起きてる!?」と気づいて、そこで褒めてもらえることが多かったです。勉強とはまったく関係ないんですけど(笑)。なんとなく、貴重な瞬間を見ていたい気持ちがあったんですよね。話し声もしない、非日常的な不思議な光景を見ながら「ドラマや映画みたいだな」と窓際の席でたそがれていました(笑)。

幻に終わった「軽音楽部に入る夢」

――SHISHAMOというバンドの魅力はどこだと思いますか?
伊達 中高生のみんなが思っていることや考えていることに寄り添ってくれるバンドなんですよね。だから卒業しても楽曲を聞くといろいろなことが思い出せるし、思い出とともに浸ることができるんです。私以外の友達もみんな聞いていましたね。

――楽曲を聞いているとまずボーカルに心をつかまれるんですが、リズム隊(ベース、ドラム)のふたりもすごくカッコいいんですよね。
伊達 カッコいいですよね! それでいておちゃめな部分もあって。「中庭の少女たち」のMV中でメロンパンをかじっているシーンなんかがまさにそうだと思うんですが、演奏を始めると一気に雰囲気が変わって、そのギャップも魅力だなと思います。

――バンド活動に対する憧れはありましたか?
伊達 じつは私、最初は高校に入ったら軽音楽部に入ろうと思っていたんです。中学の部活の先輩が高校で軽音楽部に入っていたので、「軽音楽部ってどんな感じなんですか?」と話を聞きに行っていましたし、親にも「高校に入ったらエレキギターを買うんだ!」と言っていたんですけど、いつの間にかその夢が消えていましたね。結局、茶道部というまったく違う道に進みました(笑)。それから一度、ギターを弾かせてもらう機会がありましたが、難しすぎて「これだけ頑張って練習してもここまでしか弾けないのか……」という感じだったので、もし、高校でギターを始めていても続けられなかったと思います。

――ボーカル専任になっていたかも?
伊達 かもしれないですね(笑)。でも、ギターを弾きながら歌うのは、すごくカッコいいなと思いますし、今でも憧れます。ただ、やるのは大変なので、ひとまず自分は見ているだけでいいかな、と(笑)。

――実際に伊達さんはバンドセットで歌った経験もありますが、生バンドならではの感覚はありますか?
伊達 一緒にステージに立った子たちも言っていたのですが、その瞬間の感情が乗せやすいなと感じました。歌う私たちの感情だけでなく、演奏している方々のテンションも音色に乗ってくるのかな、と。音同士でコミュニケーションを取ることができるのがすごく素敵だなと思いました。

「頑張らずに頑張る」がちょうどいいバランス

――20歳の誕生日当日にはバースデーイベントを開催するなど、ここ数カ月はとくに密度の濃い期間だったと思うのですが、振り返っていかがですか?
伊達 ファンの方からお手紙やSNSを通じてメッセージをたくさんいただいたのですが、その中に「頑張らずに頑張って」という言葉があって、とても印象に残ったんです。というのも、「自分は今、頑張っているんだろうか?」と考え込んでしまう時期があって。「休むことも努力のうちだよ」と家族に言われたりもしたのですが、実際に休んでいると「本当に休んでいても大丈夫かな?」とかえって落ち着かなくなってしまったり。そんなときに「頑張らずに頑張る」は、ちょうどいいバランスだなと思ったんです。心や身体を休めることは次につながる準備期間だから大丈夫、と言ってもらえているような気がして。

――伊達さんの場合、なかなか数値化されないお仕事なので、どこまで「頑張る」べきなのかを見極める難しさがありますね。
伊達 限界まで頑張ってしまうと、その次にやりたいことができなくなってしまったりもするので、自分自身が楽しんで打ち込める余地を残しておくことが大事なんだと思うようになりました。それもあってか、最近は家族から連絡をもらっても、「頑張ってね」より「楽しんできてね」といったニュアンスの言葉が多くなったんです。楽しむのが、自然と「頑張る」につながる気がしているので、この言葉は大事にしていきたいなと思います。endmark

伊達さゆり
だてさゆり 9月30日生まれ。宮城県出身。Apollo Bay所属。『ラブライブ!スーパースター!!』一般公募オーディションを経て、澁谷かのん役で声優としてデビューを果たす。趣味は歌を歌うこと。特技はよさこい。
撮影協力

3331 Arts Chiyoda
住所/東京都千代田区外神田6-11-14
電話/03-5817-8988
開館時間/10:00~21:00(内部で行われる展覧会の時間はそれぞれ異なります)
アクセス/銀座線末広町駅4出口徒歩1分

2022年12月10日(土)~12月25日(日)
『ポコラート全国公募展 vol.10』開催
『ポコラート全国公募』は障がいのある人、ない人、年齢・経験にかかわらず、
自由な表現の場を生み出すべく 2011 年よりスタートした全国公募です。
※詳細はポコラートの公式HPで順次公開いたします。