TOPICS 2022.11.01 │ 12:00

鮮烈なデビューから1年、20歳の素顔
伊達さゆり フォト&インタビュー②

雑誌『Febri AUTUMN 2022』誌上で20歳と声優デビュー1年を迎えた自身を語ったインタビュー。後編では、地元への思いと「歌」を模索し続ける日々について。前編に続き、新規フォトとともにお届けする。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水 衣装協力/ふりふ 新宿店(tel 03-3349-5827)

※インタビュー内容は『Febri AUTUMN 2022』に掲載されたものの再掲です

本当はすごく寂しいんだと思う

――子供の頃に思い描いていた20歳と、今の自分にギャップはありますか?
伊達 めちゃめちゃあります。子供の頃は「20歳になればたいていのことはできるようになっているはずだから」と安心していたのですが、実際に20歳を目前にして、できないことだらけだ……と。最近は、何でもできる人より「できないことはあるけれど、私にはこれがあるから大丈夫」と言えるような強みをひとつでもいいから持っていたいなと思うようになりました。そんな自分になれたら、子供の頃に思い描いていた「20歳」を超えることができるのかな、と思います。

――身近にいる中で、いちばん「大人」だと思う人は誰ですか?
伊達 母です。私を産んだとき、母はまだ20代前半で「さゆがあと何年経ったら、お母さんがさゆを産んだ年齢だよ」と小学生の頃から聞かされていました。だから私も、そのくらいの年齢になれば、結婚して子供を産んでいるんだろうなと思っていました。実際にその年齢まであと数年になって、そんな心の準備ができているかと聞かれたら「無理です!」と即答します(笑)。今になって、母もたくさん迷いながら私や弟を育ててくれたんだとわかるようになりましたし、そう考えると、自分はもっとしっかりしないといけないなという気持ちになりますね。

――地元で一緒だったお友達と今の自分を比較して、思うところはありますか?
伊達 私の場合、大学に進学するつもりが、オーディションに合格して、人生が一瞬で変わってしまいました。自分の夢に近づいていくのはもちろんうれしかったのですが、仲良くしていた友達や大好きな家族と会えなくなるのはこんなにも寂しいことなんだな、と知りました。地元にいた頃はひとりで何かをするのが苦手で、上京するときには母からもすごく心配されました。今では「ひとりで行動するのが好き」といろいろなところで語っていますが、本当は誰かと一緒にいたくて寂しいんだけれど、それを悟られたくないから「ひとりが好き」と笑顔で話しているのかもしれない。東京に来てから、オフの日はひとりで部屋の中で過ごすのが当たり前になって、1年半のうちに、自分でも本当の気持ちがわからなくなってしまった気がしています。

――情勢的にも特殊なタイミングでの上京でしたものね。
伊達 もともと人付き合いは「狭く、深く」というタイプなので、東京に来てから新しい友達があまり作れていないんです。だから、地元に帰って仲がよかった友達と一緒にご飯を食べたり、テーマパークに行ったり、逆に東京に招待したりもしたい。でも、なかなかタイミングが合わなくて。だからやっぱり、本当は寂しいんだと思います、すごく。

趣味は「歌うこと」だけど……

――半年ほど前、Febriのインタビューで、歌について悩んでいると話していましたね。
伊達 半年前の時点では、少し出口が見えていた気がしていたのですが、また沈んでしまうこともあって。波のように、一日単位で浮き沈みがあるんです。日々の調子ではなく、考え方が変化するので「一度クリアできたから、この先も大丈夫」というようなことがなくて。「うまくいった」と喜んだあとに「本当にそれで合ってる?」と自問自答して、結局、自分の中で足踏みをしてしまうんです。

――それは自分が歌う曲だけではなく、音楽を聞くときも変わらないですか?
伊達 今まで好きで聞いていたはずの曲が聞けなくなる時期があって、具体的に何かはわからないけれども何かが違う、と遠ざけてしまうことがあります。それが、次の日になると人が変わったかのように「やっぱりあの曲が聞きたい!」と思っていたりする。20年近く生きてきて、初めて自分がわからなくなって、怖いと感じることもありました。
――そもそも伊達さんが歌うことに真剣になったのは、いつからなのですか?
伊達 真剣になったのは、このお仕事を始めてからです。それまでは自分が気持ちよく歌えて、楽しければいいという考え方でした。今でも趣味は「歌うこと」と言っていますが、何かの拍子に口ずさんでいても「またこの歌い方になってる」とか無意識に考えてしまうようになったので、果たして趣味と言っていいのかなと思うこともありますし、少なくとも歌っていて「楽しければいい」と思うことはなくなりました。自分が理想とする歌い方ができて、歌うことへの怖さがなくなったら、自信を持って趣味だと言えるようになるのかな、と思います。

Febriで始まった連載

――もしも今、10年前の自分と、10年後の自分に話しかけられるとしたら、どんな言葉をかけたいですか?
伊達 10歳の私が、今の私と同じ未来をたどるのであれば「楽しみにしていてね」と言いたいです。人前で歌ったり踊ったりするお仕事をしてみたいけれど、きっと無理なんだろうな、と気づき始めたのがその頃でした。だから「ずっとその夢を持っていて大丈夫だよ」と声をかけてあげたいです。10年後は……30歳か(笑)。オーディションに合格した2年前の一日ですべてが変わって、想像していなかったところに今いるので、30歳になる頃にはもっとびっくりするようなことが起こっているのかな、と思います。その頃には、何か楽しいと思える趣味をひとつでも持っていてほしいです。ひとりでも楽しく過ごして、みんなといるときも明るく笑っているような人になっていてほしいので、そのために必要な行動力がついているかを聞きたいですね。

――この記事が出るよりもひと足早く、Febriで連載が始まりました。意気込みを聞かせてください。
伊達 今まで他のインタビューなどで語ってこなかったことが、じつはめちゃめちゃあります。体感的にはこれまで自分の20%くらいしか表に出してこなかった気がしていて。でも、自分でひたすら考えて、それを話すことはすごく好きで、そういう自分に気づけたのもこのお仕事を始めたおかげでした。「伊達さゆりって、じつはこういう人です」という一面をお見せするのはもちろん、私自身が知らない自分を見つけられればと思っています。今は落ち込んだり悩んだりしていても、明日になれば笑っているかもしれない。何年も経ってから見返して「こんなときもあったよね」と思えたらいいなと思いますし、その過程が文章として残って、私がどう成長していくかを皆さんに見ていただけるのが楽しみです。endmark

伊達さゆり
だてさゆり 9月30日生まれ。宮城県出身。Apollo Bay所属。『ラブライブ!スーパースター!!』一般公募オーディションを経て、澁谷かのん役で声優としてデビューを果たす。趣味は歌を歌うこと。特技はよさこい。
関連情報

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