TOPICS 2026.07.22 │ 12:00

『ぬきたし THE ANIMATION ビジュアルファンブック』発売記念 キャラクターデザイン・くまたが語る制作秘話②

7月21日に公式ビジュアルブックが発売された『ぬきたし THE ANIMATION』。本作の中核に深く関わったキャラクターデザイン・総作画監督のくまたを迎え、制作の裏側を深掘りするインタビュー。後編となる今回は、本編全11話の作業中に意識したことや、放送を終えた今だからこそ感じていることについて聞いた。

取材・文/太田祥暉(oriminart)

削れない要素が多い作品だった

――本作で、それぞれのキャラクターをどのような意識で描いたのかはビジュアルファンブックでのコメンタリーで聞くとして……。プロップデザインにも名前がクレジットされていますね。
くまた この世界観に合わせてプロップを描ける方があまりいなかったので、やむを得ず序盤は自分が中心になってプロップを描いていたんです。キャラクターデザイナーが描いて、製作委員会がチェックをすれば作業時間を短縮できる、という狙いもありました。

――作業時間の話にもつながりますが、『ぬきたし THE ANIMATION』は毎話アクションシーンが描かれるので、作画カロリーも高かったかと思います。
くまた 本作最大のハードルでしたね。自分が総作画監督としてすべてを見られるわけではないにもかかわらず、キャラクター数の多い学園もの、えっちな描写、バトルと作画カロリーが高いものが揃っていて……。どれも削れない要素ですから、バランスよくこなしていくしかありませんでした。とはいえ、要所要所ではここぞ、という方にお願いして、クオリティの底上げを図っていました。たとえば、第1話の銃が映るシーンは、『リコリス・リコイル』にも参加されたじゅり〜さんにお願いしています。とてもいい仕上がりになって安心しました。

――くまたさんはオープニングアニメーションとエンディングアニメーション、そして第1・2・3・6・10話に総作画監督として参加しています。
くまた 第11話はノンクレジットですが、1カットだけ総作画監督を担当しています。作画監督としてTP修正(トレスペイント修正)も行っていましたが、作業が並行していたこともあり、第4話はまったく触れませんでした。第2、3話もほとんど触れていないのですが……。なので、今振り返ると、いちばん手応えがあるのは第1話なんです。作画修正をほとんど全カットに入れられたので、納得のいく画(え)になりました。また、第10話は要点のみの参加でしたが、初めてのふたりの本番シーンは力を入れましたね。第11話の桐香と文乃も、カッコよく描けて満足しています。

OVAはハメドリくんで隠したくなかった

――えっちなシーンについては、どのような意識で描いたのでしょうか?
くまた 楽しんでいましたね。いかんせん、普段エロアニメに参加したことがないメンバーでの制作でしたから、ノウハウがない分、面白い映像にはなったと思います。第1話の作業中に、どの辺が放送で隠されるのか把握できたので、OVAなどでは楽しく作業できました。OVAはハメドリくんで隠したくなかったので、なるべく構図を駆使して性器を隠すようにしました。行き過ぎたところはしっかり隠されちゃいましたが、かなり気合を入れて作業をしたので、ちゃんとえっちになったはずです!

――その他、くまたさんはコンテをチェックする作業もしていたそうですね。
くまた 原作ファンとして、この世界観でその動きや見せ方がOKなのかNGなのかをチェックしていました。また、影付けをカッコよく見せたいカットを、あらかじめコンテに直接影を描きこんだりしていましたね。

――影付けはキャラクターデザインの段階から意識していたのですか?
くまた そうですね。『ブルーアーカイブ』や『Fate』シリーズなどもそうですが、アニメ塗りだけどリッチに見えるゲーム系のイラストを参考にして、撮影にあまり頼らないでもカッコいい画にしたかったんです。この方針はあらかじめ、撮影監督の嶋(哲哉)さんにもご相談していました。

初めてのキャラデザ・総作監だから全力を注げた

――そんな『ぬきたし THE ANIMATION』の放送からもしばらく経ちましたが……。くまたさんは『ぬきたし THE ANIMATION』制作中は、本作の作業にほとんどかかりっきりでしたよね。
くまた 『SYNDUALITY Noir』にも少しだけ参加していましたが、それ以外は『ぬきたし THE ANIMATION』にかかりっきりの3年間でした。本編の制作が終わっても、版権イラストがまだ続いてはいるんですが。この制作中に30歳になって、魔法が使えるようになったのか……と感慨に浸っていたんですけど(笑)。

――(笑)。
くまた 30代に突入する節目を『ぬきたし THE ANIMATION』に捧げたというのも、面白い経験になりました。とはいえ、いちばん面白かったのは、主演のおふたりが結婚したことですけど!

――淳之介役の柳晃平さんと奈々瀬役の石上静香さんが放送直前に結婚、という。
くまた 主演は結婚するし、自分は初めてキャラクターデザイン・総作画監督ができたしと、いろいろな経験ができた作品になりました。自分のことに限れば、初めてだからこそ作品を良くするために全力を注ぐことができたので、濃密な思い出になりましたね。

――それこそ、くまたさんのアニメーター人生におけるターニングポイントになった作品といいますか。
くまた 間違いないですね。えび先生(えびかれー伯爵)とも「これがお互い代表作になるだろうから、コケたら自分らの人生終わりだね」なんて言って励ましあっていましたね(笑)。なので、本当に話題になってよかったです。AT-Xさんの契約者数も増えたようで、ありがたい限りです!

――そんな『ぬきたし THE ANIMATION』の反響を受けて、今回、公式ビジュアルファンブックを刊行することができました。
くまた 本作を面白いと感じてくれた方は、ぜひ原作ゲームもプレイしていただきたいです! 原作ゲームを『ぬきたし2』までプレイすると、エンディングアニメーションの感想が変わると思います。その感想をぜひX(旧Twitter)で呟いてくださると、とてもうれしいです。また、原作ゲームからテレビシリーズでは、どこを残して、どこを削ったのかを比較するのも楽しいと思います。そのうえで、テレビシリーズは原作ゲームの面白さをかなり綺麗なかたちでコンパクトにまとめることができました。これからも愛してくださればうれしいです。endmark

くまた
1994年生まれ、福岡県出身。本作で初めてキャラクターデザインを担当。主な参加作品に『ゼノンザード THE ANIMATION』(原画)、『お兄ちゃんはおしまい!』(メインアニメーター・プロップデザイン)など。
商品情報

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