もしも自分のドキュメンタリーを撮りたい、と言われたら……?
――ここまで「年下のアーティストを好きになったのは初めて」という話を聞いてきましたが、伊達さん自身、お仕事の現場で「後輩」に出会うこともそれなりに増えてくる頃だと思います。
伊達 今まではほとんどの現場で自分がいちばん後輩の立場だったので、先輩方にいろいろなことを教えてもらって「ありがとうございます」と言ってここまできましたが、たしかに自分より後輩・年下の方たちと接する機会も増えてきました。でも、私はコミュニケーションをとるのがあまり得意じゃないから、なんて声をかけていいかがわからないんですよね。自分に説得力があれば、きっとお話できることも多いんじゃないかなと思うんですけど……。
――中編で「説得力のある人になりたい」と言っていたのは、そういう意味も含めてだったのですね。
伊達 もし、自分が後輩の立場だったら、うまくいかなくて落ち込んでいるときに私みたいなすっからかんな人に「大丈夫だよ!」と言われても「あなたに何がわかるの?」と思ってしまうんじゃないかと。だからどうしても踏みとどまってしまうし、自分から声をかけるのはなかなか難しいですね。
――僕が見たかった青空は、メイキングやドキュメンタリーで舞台裏の様子が見られるのが印象的だということでしたが、もし、伊達さんの活動に密着したドキュメンタリーを作りたいと言われたらどうしますか?
伊達 まず、本当かどうか疑います。「ドッキリじゃないですか?」って(笑)。家族にも「これ、本当だと思う?」と聞くかもしれないですね。たぶん家族は「そんなのドッキリに決まってるよ」と言うと思うんですけど(笑)。でも、もし本当にそういうお話があったら、う~ん……「30年後にお願いします!」とお返事します。そうしたら今よりはもうちょっとお話できることが増えているかもしれない。
――30年も経ったら、伊達さんは50歳を超えているわけですが……。
伊達 そうです。それまで頑張るので30年いただけたらすごくうれしいです(笑)。
――きっとオファーした側も忘れていると思いますけど、でも、もしおぼえていたら受けるしかないですよね。30年も待っていてくれたら。
伊達 本当にそれだけ待っていてもらえたら泣いちゃうかもしれないです。30年じゃなく、もっと長い間待ってもらっていてもいいです。それまでに頑張るので(笑)。
3日に1回は考える「自分がオーディションを受けていなかった世界線」
――もし、自分が世に出たオーディションとは別のオーディションを受けて合格していたら……と想像することはありますか?
伊達 別のオーディションを受けて別の活動をしていたら……と考えるよりも、オーディション自体を受けていなかったら何をやっていたのかな、と考えることが多いです。それこそ3日に1回くらいの頻度で、めちゃくちゃ考えます(笑)。それは別に今、何かに困っているとか、迷っているからとかではなくて、地元にいた頃からの友達と連絡を取り合ったときに、この大学に行っていたのかもしれないなとか、そういうことを想像するんです。両親にちゃんと親孝行できているのかな、とか。オーディションを受けていなかったら今でも絶対に宮城に住んでいたと思うのですが、宮城で何をやっていたんだろう? 宮城の中で実家を離れてひとり暮らしをしていたのかな、とか。そういうことはすごく考えます。
――たとえば、僕が見たかった青空のオーディションを受けてメンバーのひとりになっている……なんてことを考えたりは?
伊達 それはまったくないですね。今のお仕事をしていなかったら、普通にファンのひとりとして握手会に行ったりしていると思います。なんなら今でも行こうとしているので(笑)。
21歳の最後に、22歳の自分に伝えたいこと
――この記事は9月の公開予定で、バースデーイベント(『伊達さゆり Birthday Party 22nd 〜ぼくに僕からのプレゼント~』)の前に出る予定ですが、こんなところを楽しみにしていてほしい、といったポイントはありますか?
伊達 今回、イベントのためにオリジナル楽曲「1up!」「ラブソング」を作ったんです。すでに配信されているので、皆さん当日までにおぼえてきていただけるとうれしいです。初めてグッズでペンライトも作らせてもらって「お、やっぱり歌ってくれるんだ」と察してくださったファンの方も多かったみたいなのですが、今回は初めてカバー曲以外の楽曲をお届けできます。バースデーイベントも今年で3回目なので、もちろん楽しみたい気持ちもあるけど、この日のために準備してきた大切なものを一気に爆発させる日でもあるので、そういうワクワクを大事にして私自身も臨めたらな、と思っています。「ザ・パーティー!」みたいな感じで、皆さんにも楽しんでいただけたらうれしいです。
――そしてバースデーイベントが迫っているということは、これが21歳最後の記事になります。去年(第11回)にも聞きましたが、21歳の自分から22歳の自分に伝言しておきたいことはありますか?
伊達 私、去年はなんて言ってしましたっけ?
――「余計なことは考えなくていいよ」「自分はこんな風にありたい」と考えすぎないほうがいいよ、と。
伊達 その頃の私、何があったんだろう(笑)。でも、22歳が近づいてきて、ようやく「私って、20代だ」と思えるようになってきました。これまでは正直、まだ10代の感覚のままでいたんですよね。でも、そろそろ「20代なんだ」という自覚が出てきたような気がしていて。22歳の私には……礼儀をちゃんとしてください、人として当たり前のことをちゃんとしてください、と伝えたいです。
――接していると、そんなに気にしなければいけないところがあるようには思えないのですが……。
伊達 いやー、全然できていないです。もちろん、笑顔でいることや、きちんと挨拶ができることは大切だけど、それよりも大事なことが大人にはあるでしょうと思うんです。
――そのあたりはおいおい聞いていきましょう。……あ、部屋が汚いのをなんとかしたいとか?
伊達 あー……部屋が汚いのはもうなんというか、「個性」として輝く日を待ち望んでいる状態ですね(笑)。
【開催情報】
『伊達さゆり Birthday Party 22nd 〜ぼくに僕からのプレゼント~』
開催日時:2024年9月30日(月) 開場18:00/開演19:00
会場:大宮ソニックシティ 大ホール
チケット情報:https://apollobay.jp/
『伊達さゆりBDパーティー』開催記念楽曲 好評配信中!
配信URL:https://lnk.to/SayuriDate_BirthdayParty_22ndWE