TOPICS 2024.01.17 │ 12:00

伊達さゆりの「手さぐりの旅」 第14回 言いたくても言えない気持ちを代弁してくれた
杏沙子さんの「着ぐるみ」(前編)

声優・伊達さゆりのお気に入りや、心に残っているものを取り上げながら自らを語るフォト&インタビュー連載。第14回のテーマに挙がったのは、シンガーソングライター・杏沙子の「着ぐるみ」。ポップでユーモラスな曲調でありながら、エッジの効いた歌詞が特徴的なこの楽曲との出会いや第一印象を尋ねた。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水 衣装協力/ehe∀ : design by LISAKUBOTA

ずっと憧れだった今回の髪型

――今回は街歩き的な雰囲気から離れて、屋内でポップでユーモラスなイメージを狙った撮影だったのですが、撮影を終えての印象を聞かせてください。
伊達 ひとつの空間にいろいろな世界観が詰め込まれていた場所でしたね。カラフルな衣装が好きなので、着ていてすごく楽しかったです。ギュギュッと小物や飾りが詰め込まれた感じの場所だったので、衣装の派手な感じがどうマッチするのかなと思っていたんですけど、写真を見たらすごく綺麗に溶け込んでいましたね。

――伊達さんがこういう髪型をするのは初めてですよね。
伊達 はい! 初めてやらせていただきました。パーマのかかったお人形チックな髪型って、私にとって「理想の女の子の髪型」で憧れだったんです。でも、自分では作れない髪型なので。ヘアメイクさんに「お人形さんみたいな雰囲気でどうですか?」と提案してもらい、ドンピシャにかわいい感じにしていただけて、うれしかったです。

――これまで1年以上連載を続けてきて、今回ふと思ったのですが、撮られているときってどんなことを考えているんですか?
伊達 意識していることが徐々に変わってきている感じはあるんですけど……。「もっと世界観に合うような表情ができたらいいんだろうな」といつも思ってはいるのですが、表情豊かに見えるのが好きなので「どうやったら面白くなるかな?」と考えていることが多いかもしれません。

――「面白い」ですか。
伊達 たとえば、ひとつのカットでも、ずっとキメの表情というわけではなくて、その中で目線をあえて外してみたり、ちょっとユーモアのある表情を入れてみたり。そうすることによって、見ている人に「ふふっ」と笑ってもらえたらいいな、と思っていたりしますね。

――それは、撮影の現場を経験していく中でだんだん出てきた考え方なのでしょうか?
伊達 そうですね。以前までは、笑顔だったり、ちょっとすました表情だったりが多かったんですけど、Febriさんだけじゃなくて、いろいろな現場でお写真を撮っていただいて、完成した誌面などを見ているうち、「もうちょっとおふざけ的な要素を入れてもかわいいんじゃないかな」と思うようになったんです。さっきも言ったように、私自身、面白く見てもらえるのが好きなので、そういった要素を加えることでより「らしさ」が出せるのかな、と思うようになりました。

第一印象は「着ぐるみがテーマの歌なんて珍しい」

――第14回は杏沙子さんの「着ぐるみ」という曲をテーマに挙げてもらいました。楽曲と出会ったのはどんなタイミングでしたか?
伊達 杏沙子さんの「アップルティー」という楽曲があるんですけど、それが高校の頃、クラスで流行っていて。友達が休み時間に教室で流しながら踊っていたんですよ。私も「かわいい楽曲だな」と思って、そこから杏沙子さんを聞くようになりました。『フェルマータ』というアルバムに収録されているんですけど、そのアルバムが大好きなんです。

――『フェルマータ』には「アップルティー」も収録されていますが、今回のテーマに「着ぐるみ」を選んだのはどういった理由なのでしょうか?
伊達 他にも大好きな楽曲はたくさんあるんですけど、この楽曲はアルバムの1曲目に入っていて、まずタイトルがかわいくて目を惹いたんですよね。あまり見ない感じのタイトルですし、「着ぐるみ」がテーマの歌なんて珍しいと最初は思ったのですが、とてもポップなメロディで、歌詞にも身近な単語が使われていて、スッと自分の中に入ってきました。それでいて聞き込んでいくと、歌詞の意味も高校生当時の自分にすごくマッチしているように思えてきて、強く印象に残っているんです。

もし、自分が着ぐるみに入るとしたら……?

――楽曲が「着ぐるみ」というタイトルなので聞いてみたいのですが、着ぐるみに関する思い出はありますか?
伊達 着ぐるみの中に入ったことはないんですけど、やっぱりテーマパークでよく見るイメージですよね。動物の着ぐるみや、アニメのキャラクターの着ぐるみがあったりして。ただ、私の場合、小さな頃に「実在していると思ったら、そんなことなかった」と知ってしまった思い出があって(笑)。

――ああ、「中の人」の存在を早く知ってしまったんですね(笑)。
伊達 やっぱり最初に理解したときにはショックがあって(笑)。一気に現実を突きつけられたというか。「中の人」の方のミスとかではないんですけど、偶然、そういうことを聞いてしまうタイミングがあって「どういうこと?」と思いつつ、自然に「ああ、そういうことか……」とわかってしまったんですよね。

――自分で着ぐるみ着てみたいと思ったことはありますか?
伊達 小柄なほうが向いていると聞いたことがあって、友達とテーマパークの話題になると「入ってみなよ」とよく冗談で言われていた思い出はありますね。喜んでいいのかどうかわからないですけど(笑)。けっこう大変なお仕事だと思うのですが。

――かなり体力が必要だとは聞きますよね。着るとしたら、どんな着ぐるみがいいですか?
伊達 ヒーロー系のものがいいですね。身体のシルエットが比較的ちゃんと見えるもので、動きで見せたい。そういうのにちょっと憧れがあります。endmark