TOPICS 2023.08.02 │ 12:00

悪役好きなファイルーズあいが語る
TVアニメ『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。』①

乙女ゲーム『君と一筋の光を(以下、キミヒカ)』の冷酷非道な女王・プライドに転生していることに気付いた主人公が、悲劇的な未来を回避するため奮闘するTVアニメ『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。(以下、ラス為)』。主人公のプライドを演じるファイルーズあいのインタビューの第1回では、善と悪の両面を持つプライドについて語ってもらった。

取材・文/福西輝明 

優しいプライドを演じるのは難しかった

――『ラス為』という作品に触れて、まずどんなところに魅力を感じましたか?
ファイルーズ 「悪役令嬢」を題材にした作品は世にたくさん出ていますが、その中でも『ラス為』は主人公であるプライドの「覚悟」がしっかり描かれた作品だと感じました。8歳で前世の記憶を取り戻したプライドは、将来自分が引き起こすはずだった悲劇的な未来を回避したいという思いから、自分にできることを考えて、実行し、大切な人との絆を紡いでいきます。その努力が描かれているところが素敵だと思いましたね。その丁寧な描写が、最悪な未来を変えることができるという説得力につながっているんです。

――プライドには記憶が戻る前の冷酷非道な一面と、記憶を取り戻したあとの優しい一面があります。実際に演じてみてどのように感じましたか?
ファイルーズ 私は性格が悪いキャラクターなど、振りきったお芝居ができる役柄のほうが得意なので、優しいほうのプライドは難しい……と思いながら演じていました。たとえば、義弟のステイルに「好きなようにしていいのよ」という場面でも、圧が強いと「プライドの言う通りにしないと……」と思わせてしまいます。そうではなく、ステイルが自分から心を開きたくなるような優しいお芝居にしなければいけない。その塩梅(あんばい)が難しかったですね。

プライドの「常人とは一線を画した悪の姿」に惹かれる

――では、悪逆非道なプライドを演じる際はノリノリで?
ファイルーズ 収録中、共演者やスタッフの皆さんから「楽しそうだねー!」と言われるくらい、ノリノリでやっていました(笑)。悪役キャラが大好きなので、高笑いや人の神経を逆なでするようなしゃべり方は、演じていてとても楽しくて。ただ、プライドはシーンによって優しい面と外道な面のふたつを演じ分けなくてはいけないので、その切り替えをうまくするにはどうすればいいのか、自分なりに研究して収録に臨みました。そういう意味では、プライドは私を声優として一歩成長させてくれたキャラクターだと言えますね。

――悪役のほうのプライドは極悪非道な女性ですが、どういう部分に悪役としての魅力を感じますか?
ファイルーズ 同情の余地が一切ないところですね。私は悲劇的な過去のせいで悪に堕ちてしまった「ワケアリの悪役」よりも「純粋な悪」というキャラクターが好きなんです。その点、記憶を取り戻す前のプライドはあれだけ家庭環境に恵まれていて、両親も素晴らしい人格者なのに、とんでもない悪人に育ってしまった。その「常人とは一線を画した悪の姿」に惹かれます。そんな悪逆非道な人物だからこそ、『キミヒカ』のプレイヤーもプライドがゲーム中で断罪される展開にスッキリするんでしょうね。

優しいプライドは無鉄砲さと勇気の危ういバランスが魅力

――一方、優しいプライドの印象は?
ファイルーズ プライドは、普段は丁寧で気品のある言葉遣いをしていますが、中身は18歳の乙女ゲーマーなんですよね。モノローグではそういう一面が垣間見えて親近感がわきました。第4話ではプライドは13歳、中身は23歳になりますが、まだ少女でありながらも大人の視点で物事を見て考えられるのって、ある意味無敵だなと。
そして、なにより正義感と行動力がすごい。あの世界における一般的な考え方では、王族の女性が戦場に立つなんてありえないことだと思うんです。でも、プライドは部下を助けるために戦場に立ち、獅子奮迅(ししふんじん)の活躍を見せました。そんな無鉄砲さと勇気が危ういバランスで成立しているところに、魅力を感じますね

――作中でプライドはさまざまな人たちの心をとらえていきますが、彼女のどんなところが人々を惹きつけるのだと思いますか?
ファイルーズ 人間は危機的な状況に陥ったら、まず自分のことを考えるものだと思うんですよね。たとえば、自分の飲み水や食料を確保しようとか、自分が寝る場所を探そうとか。でも、プライドはどんなに危機的な状況でも、自分よりもまわりの人を優先するんです。そして相手の見た目や年齢、性別、地位といったもので差別しない。自分の国の民そのものを愛している。そんなプライドの慈愛に満ちた心が、人を惹きつけ、「あの方のためなら命も捨てられる」という忠誠心につながるのだと思います。endmark

ファイルーズあい
ふぁいるーずあい 7月6日生まれ。東京都出身。ラクーンドッグ所属。主な出演作は『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』(アナーキー)、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』(空条徐倫役)、『チェンソーマン』(パワー役)など。
作品概要

TVアニメ『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。』
2023年7月6日(木)よりTOKYO MX、MBS、BS11ほかにて放送開始!

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