TOPICS 2023.03.10 │ 12:00

劇場総集編『SSSS.DYNAZENON』公開記念 南夢芽役・若山詩音&飛鳥川ちせ役・安済知佳対談①

2023年3月10日(金)より2週間限定で公開される劇場総集編『SSSS.DYNAZENON』。ここでは2021年発売の書籍「SSSS.DYNAZENON & GRIDMAN ヒロインアーカイブ」に収録された南夢芽役の若山詩音と飛鳥川ちせ役の安済知佳の対談の一部を掲載。本作をめぐる「恋」と「友情」について聞いた。

取材・文/宮 昌太朗 リード文/編集部 撮影/村上庄吾 ヘアメイク/小田切なお(若山)、上田忍(安済)

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

みんなが悩みを乗り越える姿に感動しました

――まずは最終回まで見た、率直な印象を聞かせてください。
若山 いろいろな場面が思い浮かぶんですけど、とにかくエモーショナルで熱くて、繊細で素敵な物語だったと思います。ひとつひとつが本当に丁寧に作られていて、この作品に関われたのは幸せだなって。
安済 最初からいろいろな人間関係が見え隠れしていた作品だったと思うんですけど、最後はみんなそれぞれ、真っすぐな道を選んだことに驚きました。誰かがおかしな方向に行くこともなく──というか、ガウマさんが欠けてしまったといえば欠けてしまったんですけど、でもみんながひとつ悩みを乗り越えて、これからの人生を歩んでいくんだなって。そのストレートな物語の流れに、ちょっと感動して(笑)。演じた身としても「そっかそっか、よかったね」「頑張ったね」と感動しました。

――なるほど。では、最初のオーディションの印象から伺おうと思います。若山さんは夢芽役で受けたのでしょうか?
若山 最初のテープオーディションが夢芽役で。そのあとスタジオオーディションに進んだんですけど、とにかく全力を出し切ろうと思っていたので、自分の持っているものを全部ぶつけて。……なので、自分では手応えも何も、まったくわからなかったです(笑)。
安済 私もテープオーディションがすごく印象的で。というのも、ひとり芝居とフリートークをそれぞれ1分というお題だったんです。「そこも審査されるのか!」って、いろいろ考えましたね。フリートークでは何を話したの?
若山 フリートークは歌を唄いました。
安済 歌⁉ って、それはトークじゃないじゃん(笑)。
若山 たしかに(笑)。最初に「自分はこういうことを大切にしています」みたいなひと言を話して。
安済 自分の信条を話して。
若山 それから、「歌を唄います」って。
安済 ちなみに、どんな曲を唄ったの?
若山 あいみょんさんの「貴方解剖純愛歌~死ね~」だったっけな。歌詞がエグめの曲を(笑)。
安済 あはは、面白いな~(笑)。
若山 安済さんは何を話したんですか?
安済 これは本当にたまたまなんですけど、フリートークで榎木淳弥君の名前を出したんです。彼は私の母方の親戚なんですけど、その母から「榎木家には代々、ものもらいを治すおまじないがある」という話を子供の頃から聞いていて(笑)。で、初めて小学生でものもらいになったときに、母にそのおまじないをかけてもらったんです。仏壇の前に目を閉じて座らされて、何かやっている気配は感じるんだけど、よくわからない(笑)。で、「明日には治っているから」と言われたんですけど、朝起きたら本当に治っていたんです。
若山 ええーっ、すごい!
安済 で、その話を現場で会った榎木君にしたんですよ。「代々榎木家に伝わっているおまじないだから、知ってるよね」って聞いたら、「何それ?」って言われて(笑)。しかも、その翌日に榎木君がものもらいになったという。

――込み入った話ですね。
若山 それを1分で収めたのはすごい(笑)。
安済 しかもそのフリートークを録ったとき、榎木君が『SSSS.DYNAZENON』のオーディションを受けているのを知らなくて(笑)。共演者を教えてもらったときに「榎木淳弥君がいるじゃん!」って。めちゃくちゃ面白かったです。

――あはは。安済さんは何役でオーディションを受けたのでしょうか?
安済 テープオーディションの時点では、夢芽と香乃とちせでした。夢芽はちょっと青臭いというか、自分のなかで戦っている感じとか言動が謎めいてるところが面白くて、演じていて楽しかったですね。で、香乃に関しては、これまで私はミステリアスな役柄が多かったので、マネージャーと話して「この役も受けておこう」って……。

自分の心をさらけ出せない夢芽と謎めいたちせ

――あはは。ちせの第一印象は?
安済 これまであまり演じたことがない役柄だったので、挑戦するような気持ちでしたね。だからオーディションに合格したと聞いて、うれしいと同時に「13歳かぁ~」という(笑)。ただ、収録が始まる前に監督から「幼さはあまり押し出さなくても大丈夫です」と言われて、少し安心しました。

――そこから役が決まって収録が始まったと思うのですが、若山さんから見て夢芽の第一印象というのは?
若山 最初はとにかくミステリアスというか、不思議ちゃんっていうイメージがありました。クラスでも浮いていて、約束をしたのにその約束を破るってことを繰り返していて、この子は何を持っているのか、ちょっとわからないなって。ただ、そこから少しずつ紐解いていくと、この子は他人とコミュニケーションをとるのが苦手なんだな、というのが見えてきたんです。自分が思っていることをうまく表に出せないから、まわりからはミステリアスに見えているのかなって。
安済 うんうん。
若山 心の凸凹が表に出てこなかったからこそ、ああいう言動になっていたのかなと思うと、かわいく思えてきて。今は高校生の、等身大の女の子として見ることができていると思います。

――演じていて面白かったところは?
若山 先ほど少し話しちゃったんですけど、夢芽は自分の心の芯から表面まで、たぶん1キロくらいあるんですよ。
安済 遠いなあ(笑)。
若山 だから、心で思っていることがまったく表に出ない。出てきたとしても平坦になっちゃうんですけど、なかではちゃんとグツグツしているんですよね。そこにちょっと親近感が湧きます。

――若山さん自身、他人とのコミュニケーションが得意なほうではないんですか?
若山 そうですね。自分の思っていることを言葉にするまでの間に、自分のなかのフィルターがあまりにも多すぎて表になかなか出せないところがあります。
安済 えーっ、そうなんだ! まったくそんなイメージなかったな。
若山 見えていなかったのなら、それでオッケーです(笑)。
安済 臆せずみんなと話しているイメージしかなかったけど。
若山 めちゃくちゃ臆していました。
安済 本当⁉ いつも笑っている印象がある。というか、見ているとすごく「笑わせたい!」って思っちゃうんだよね(笑)。endmark

作品情報

劇場総集編『SSSS.DYNAZENON』3月10日(金)2週間限定上映中
『グリッドマン ユニバース』2023年3月24日(金)全国公開!

  • Ⓒ円谷プロ Ⓒ2023 TRIGGER・雨宮哲/「劇場版グリッドマンユニバース」製作委員会