――まず『グリッドマン ユニバース』の制作が決まったときの気持ちと、台本を読んだときの感想を聞かせてください。
宮本　純粋にうれしかったです。同時に『SSSS.DYNAZENON』ではアンチが成長していたので、時間軸はどうなるんだろう？というワクワクがあったんですけど、台本を読んで「そうきたか」という感じでしたね。『SSSS.GRIDMAN』の自然な感じと『SSSS.DYNAZENON』の派手さとか勢いがある感じが合わさっているのが、お祭りみたいで胸熱だなとも思いました。

若山　私も世界観がどう交わるのか気になっていたので「そういうことか、やられたー」みたいな印象でした。『グリッドマン』の世界がまだ広がっていけるっていう確信も持てたので、すごく素敵な世界観だと思いましたね。
上田　お話もそれぞれが綺麗に終わっていた分、続きが想像できなかったので、台本を読んでいてすごく楽しかったです。じつは、今作の制作決定を伺った当時は、アカネは出ないんだろうなって思っていたんです。六花とちゃんとお別れして、現実世界で生きていく決意を固めたアカネですから、ここに戻ってくることはないのかなと思って。
宮本　私も、アカネとアレクシスはいなくなったと思って『SSSS.GRIDMAN』の収録を終えていたので、『グリッドマン ユニバース』でまた会えたことがすごくうれしかったです。裕太との距離が近づいたのも『SSSS.GRIDMAN』で不完全燃焼だった部分が完全燃焼したと思っていて、残っていた伏線を全部回収しているのがすごいなって。
上田　たしかに、みんなの心のしこりが全部解消されていくかのようなお話だよね。アカネも『SSSS.GRIDMAN』で六花とはお別れできたけど、アンチとはちゃんと言葉を交わすことがなくて、そのしこりは私自身にも残っていたので、今回アンチとのやりとりがしっかりあったのは救われた気持ちになりました。六花に対しては、言葉じゃなくてアクションだったのもグッときました。
宮本　あの指のシーンは素敵でした。髪の毛の描写もずるいよね。
上田　ずるいよね。台本を読んでいるときも感動したけど、絵のお芝居が本当に素晴らしかったと思います。

――『SSSS.GRIDMAN』のおふたりは『SSSS.DYNAZENON』の夢芽にどういう印象を持っていましたか？
宮本　儚（はかな）げだけど強気というところがすごく好きです。さらに、蓬と出会うことによってかわいらしい一面がどんどん見えてきて、いとおしいキャラクターだなと思っていました。
上田　ヒーロー感もヒロイン感もあるところが素敵だよね。お姉ちゃんのことを通じて、他のメンバーより死を近くに感じているからなのか「できることはやれるうちにやらなきゃ」と思える強さがあって、それが蓬のことを迎えに行くようなヒーロー感につながっているようにも思いました。でも、蓬たちとコミュニケーションを取っていくうちに弱さも見えてきて、蓬に引っ張ってもらうヒロインになるシーンが出てきたりとか、互いに支え合う関係を作り上げていく感じが、格好よくもあり、かわいくもありという印象でした。
宮本　恋愛上級者だと思います。
若山　あれが!?（笑）
宮本　六花、裕太側からしたら大人だなって。
若山　たしかに、なんか思わせぶりなことをするのはうまいかもしれないけど（笑）。

――若山さんの『SSSS.GRIDMAN』ヒロインに対する印象はいかがでしょう？
若山　六花は根がすごく素敵で、媚（こ）びたりしなくてもいろいろな人に好かれるキャラクターだと思っていて、だからこそちょっと斜に構えたところがある夢芽とは仲よくできないと思っていたんです。でも、『グリッドマン ユニバース』では、六花さんの根が素敵っていうところと、夢芽も『SSSS.DYNAZENON』で成長したっていうことで「実際に会ってみたら壁なんかなかった」っていう打ち解け方ができました。アカネは不安定さというか、危なっかしい感じが夢芽に近いと思いますし、私自身もアカネに感情移入できるところがたくさんあります。

――劇中でアカネと夢芽は出会いませんでしたが、もし会ったとしたら、どんな会話を交わすと思いますか？
上田　何を話すんだろう？（笑）
宮本　アカネはずっと「うっそー」って言っているとか（笑）。
若山　夢芽は「あ、神様なんですか」みたいな（笑）。もしかしたらアカネさんは夢芽みたいなタイプが嫌いかもしれないですし、わからないです。
上田　アカネは自分にコンプレックスがあって、本音を言いすぎて嫌われるのが怖い子だと思うから、ちょっと壁を作って接すると想像します。
若山　夢芽も、自分からは近づいていかないと思うんです。夢芽は『SSSS.DYNAZENON』での出来事を通じて、変に自分に自信がついてしまったと思っていて、その結果、相手に合わせたり、自分を曲げたりすることはしなくなっているんじゃないかなと。

――変な自信がついてしまった要因は何でしょう？
若山　間違いなく蓬でしょうね（笑）。六花さんとの会話はちょっと探り探りしゃべっていたのに「付き合ってます」っていうところだけ、すっごい自信ありげに言っていますよね。蓬にはとりあえず認められているという確信が、本質的に自分を認められているかは置いておいて、「何となく自分を認める」ことにつながっているんだと思います。