Febri TALK 2023.02.10 │ 12:00

VaVa ラッパー/トラックメイカー

③キャラソンの良さを初めて理解した
『アマガミSS』

ラッパー/トラックメイカーであるVavaに、人生に影響を与えたアニメ3作を聞くインタビュー連載。最終回で選んでもらったのは「‎Sekai feat. Koedawg」のリリックにもタイトルが登場する恋愛オムニバスアニメ『アマガミSS』。中高が男子校だったVavaにとって、そのハーレム的世界はどのように映り、どのような影響があったのだろうか。

取材・文/森 樹

行動ひとつで人生が激変することがある

――3本目に挙げてもらったのは、Vavaさんの楽曲「‎Sekai feat. Koedawg」のリリック(歌詞)にも登場する『アマガミSS』です。こちらもゲーム原作ですね。
VaVa ゲーム実況を見るのが好きなのですが、YouTuber/ゲーム実況者の加藤純一さんが『アマガミ』の配信をやっていたのが面白くて。「これは自分でやったほうがいいかも」と思ってゲームを買いました。ただ、結果的にはゲームよりも先にアニメを見てハマりましたね。

――アニメが先だったんですね。
VaVa はい。僕は男子校に中高6年間通っていたのもあって、女性に対してまったく別の生き物のような気持ちが強かったんですよ。教室で友達と女の子の話をするとしたら、当時流行っていたAKB48のメンバーがプリントされたクリアファイルを見ながら「どの子がタイプ?」っていう内容で盛り上がるくらいしかなくて(笑)。僕が実際に女性と付き合うのも20歳を超えてからですから。

――思春期の時代を男性社会で暮らしていたと。
VaVa だから、いわゆるハーレムアニメを見るのが怖かった(笑)。というのも、もし、そこで満足してしまったら、生身の恋愛に進めなくなるんじゃないかという不安があったんです。

――その世界で完結してしまうことへの恐怖感というか。
VaVa そうですね。もちろん、そこで満足している人がいても全然いいと思いますし、それを否定する気はまったくないのですが、当時、マンガで『To LOVEる-とらぶる-』とかも読んでいたので、自分にはハーレム系は刺激が強すぎて(笑)。だから、『アマガミSS』を見たのも大人になってからですね。

――実際に見て、どのような感想を持ちましたか?
VaVa すごく救われましたね。自分は男子ばかりの学生生活にコンプレックスを抱いていたんですよ。『アマガミSS』のような学生生活がしたかったので、本当に「うわぁ~!」と叫びながら見ていました(笑)。そしてこの作品も、登場人物に何らかのコンプレックスがあって、それを主人公が埋めようとしていくところに共感できました。

――こういう甘酸っぱい学生生活を送りたかったという気持ちが、アニメを見たことで昇華されたところがあったと。
VaVa ありましたね。この作品の好きなところは、各ヒロインのストーリーを「●●編」と分けてきっちりと描いているところですね。これってゲーム原作ならではというか、独特なスタイルじゃないですか。メインヒロインとのストーリーだけじゃなくて、サブヒロインのストーリーも省略せずに映像化している。

――それぞれのヒロインの扱い方がフラットですよね。
VaVa 登場するすべてのヒロインにストーリーがあるから、「ここでこの子と話したから、その後、こういう世界がある」という出会いの重要性も伝わってくる。たとえば、僕が今日、今からご飯を食べに行くのか、ひとりで家にいるのか、もしくは居酒屋で知らない人と話をするのか、その行動ひとつで人生が激変することがある。そういう時間の使い方を意識するのが大事だと実感できたんです。

――なるほど。
VaVa しかも、そういった日々の生活の中に、好きな子と会える時間があるとするなら、何事にも頑張れるじゃないですか。僕、大学は共学だったんですけど、好きな子がいるときは、自分なりに身だしなみを整えたりしましたし、音楽を作り出す原動力にもなったりしたわけです。そのときの気持ちを『アマガミSS』は思い出させてくれましたね。

『アマガミSS』で描かれる青春を追体験してほしい

――たしかに好きな人のために頑張る、というピュアな気持ちを思い出させてくれる内容ですね。
VaVa そうなんですよね。あと、この作品で美少女ものに初めて熱くなったこともあって、ヒロインを演じる声優さんだったり、キャラソンだったりの良さがものすごくわかるようになったんです。僕は『アマガミSS』のキャラクターでは七咲逢(ななさきあい)が好きなんですけど。

――CVを務めるのはゆかなさんですね。
VaVa そうです。ゆかなさんが歌う七咲のキャラソンで「SIMP-RISM」という曲があるのですが、ゆかなさんの歌声に「もうどうとでもなれ!」と思うくらいの可愛さがあって(笑)。そういう気持ちになったときに「あ、キャラソンの世界というのはこんなに楽しいものなんだな」と理解することができました。

――たしかにキャラソンは、そのアニメの世界観にどれだけ没入できるかで評価が変わるところがありますね。
VaVa もちろん、『アマガミSS』も男の子の願望が過ぎるというか、付き合ってもいない男女で山奥にある温泉に行く時点でファンタジーだと思うんですけど(笑)、僕は別にそこで醒めることもなく、非常に興奮するというか、盛り上がることができたんですよね……。

――楽しみ方としてはいちばんいいかもしれません。
VaVa 「こういうアニメみたいな女の子はいない」って人は言うかもしれませんが、僕は絶対にいると信じていますね。

――学生時代に見ていたら、そのあたりの印象も変わっていたかもしれませんね。
VaVa いや~、どうなっていたんでしょうね。アニメで主人公が女の子と会話するシーンを教材にしていたかもしれない。

――ちなみに七咲さんが好きな理由は何かあるのでしょうか?
VaVa 外見的に好みなのはありますね。あと、綾辻詞(あやつじつかさ)さんとも共通しているのは、ふたりともネコみたいな性格なんです。普段はツンツンしているけれど、ふたりきりになると甘える……そういうのにやっぱりやられちゃいますね。七咲さんのほうが口調や声、性格がより好みで。あと、水泳を頑張っているじゃないですか。男子校だったので、女子の水着姿を見る機会なんてひとつもなかったので(笑)。なので、男子校出身とか、引きこもりがちな人とかにはぜひ見てもらって、こういう青春を追体験してもらいたいです。endmark

KATARIBE Profile

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ラッパー/トラックメイカー

ヴァヴァ ラッパー/トラックメイカー、プロデューサー。BIM、in-dらが所属するクリエイターチーム「CreativeDrugStore」のメンバーで、気鋭のヒップホップレーベル・Summitに所属する。これまでにソロとして3枚のフルアルバムをリリースしており、最新作は今年6月に発売された『VVARP』。『オッドタクシー』では、PUNPEE、OMSBとともに劇伴音楽を手がけている。