TOPICS 2022.10.27 │ 12:00

普通の人には「異文化」すぎる アニメ『異世界おじさん』セガネタ大解説②

第2回 ちょっとディープなセガゲームの世界 Disk1

アニメ『異世界おじさん』でおじさんが語るゲームネタは、セガハードを知らない人には異文化すぎて「ある意味、異世界」。知らなくても当然楽しめるけど、少しはわかったほうがより楽しい……。そんなわけで、ちょっとしたセガ通になれる異世界(異文化)セガゲー話をお届けしたいと思います。

文/菅(Suge)・元BEEP!メガドライブ、セガサターンマガジン編集部員

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

そもそもセガハードの強みとは

セガユーザーは、ゲームに対しての考え方がストイック。セガは当初アーケードゲームでブイブイ言わせていたメーカーなので、「歯ごたえのある難易度のほうが絶対面白い!」「100回ミスしてやり方おぼえたら、次は勝てるようになって超楽しい!」と開発陣も遊び手側の考え方も、だいたいこんな感じです。なので、ボタン同時押し技、コマンド入力、装備の即時切り替えくらいは普通にこなせて当たり前だし、ゲームが突然別ジャンル(アクションなのにシューティング面が挟まるなど)になっても「楽しい!」と乗り越えてくれる。これがセガユーザーの強みだと思います。

あとは「ソニック」の人気もあって海外でめちゃくちゃウケていたセガハードは海外ゲームの移植作も多く、海外ゲーム慣れしていたファンは濃いめのキャラクター、ゴア表現、尖った世界観のゲームへの耐性が極めて高かったこともおぼえておいてください。

……と、おじさんが好きなゲームの傾向、なんとなくわかっていただけたでしょうか。セガはそんなゲームばかりじゃないよ、という意見もあると思いますが、ここはグッとこらえてください。

「セガサターンソフト読者レース」集計の舞台裏

(第1回でも触れた)読者(ゲームファン)による10点満点形式の投票で順位点(オッズ)が決まる、当時としても類を見ない試みだった「読者レース」。同コーナーの見どころは、なんといっても熱意あふれるファンコメントの数々。このゲームのココが良い、ココは微妙だった……と、読者レースは各人の「ゲーム論」が飛び交う場でもありました。セガハードのファンはゲーム愛が高じるあまり、この手の「ゲーム論」が本当に好きなんです。なので、自分の好きなゲームにも厳しい目が向きがちです。中でも、とくに厳しいのは「アクションゲーム」のファン。

他のジャンルだと「自分としてはココは残念だけど、ココが良すぎるので10点!」といった意見も少なくないのですが、アクションゲームのファンはゲームへのこだわりが強すぎるのか、やや辛口気味の点になる。おじさんが好きな『ガーディアンヒーローズ』は197位という結果になりましたが、最終オッズは8.5991と、決して低くない水準にありました。ではなぜ、その順位だったのか……。

じつは当時、サターンゲームの8点台は激戦区(77位~394位)で、わずかなオッズ差で順位が大きく変動していました。また、ファンの分母が多いゲームほど10に近いオッズの維持が困難になる、そういった傾向があったように思います。万人を満足させるゲーム作りというのは難しく、ターゲット層が「広く浅い」ものよりは「狭く深い」ものほど、安定した高オッズを維持しやすい。分母が大きいゲームだと、極端な話「ゲームが難しすぎてクリアできないから●点」といった乱暴な意見も増えてくるわけです。もちろん、評価基準は人それぞれなので、コメントとしては誌面に載りにくい意見も込みで、読者レースは進行していきました。

サターンの頃だと基本、誰もがクリアできるRPGやアドベンチャーゲームはその点有利……と思えば、人によっては「○○(※お気に入りのキャラクター)の個別エンドがなかったので●点」となるので油断は禁物です。

おじさんは「トレジャー」が好きすぎる

トレジャーはおじさんが大好きな『ガーディアンヒーローズ』の制作会社で「そうやすやすとクリアはさせてくれないが、やり込むとめちゃくちゃ楽しい」ソフト作りで知られる職人気質のゲームメーカー。おじさんの恋人(?)・七瀬楓(ななせかえで)が登場することでおなじみの『エイリアンソルジャー』もこのトレジャー製で、その「尖った」ゲーム性(内容がほぼボス戦のみ)は、生粋のセガファンも驚いたほど。

発売時期はハードがメガドライブからサターンに移る過渡期の頃。「メガドライブを今まで遊んできた人なら、このくらいできる!」と、ある意味セガファンを「信頼」して作った遠慮のない高難易度ぶりは、ベリーハードとベリーイージーしかない難易度設定からも察していただけると思います。

敵首領のやらかしで命を落とし、セブンフォースの生体頭脳として蘇生・利用されてしまう、不幸すぎる七瀬楓・14歳。

ちなみに作中では兵器「セブンフォース楓」の姿が主で、彼女の人間体はゲームで一瞬だけ登場するシーンを元に描かれたもの。このシーンで流れた曲は楓戦のものであり、おじさんにとって思い出深い一曲といえるでしょう。

余談ですが、セブンフォースという名の兵器は、過去にトレジャーが出した傑作アクションゲーム『ガンスターヒーローズ』にも登場。多関節の変形ボスといえばセブンフォースとファンには認知されている存在で、セブンフォース楓の戦闘形態のひとつはBEEP!メガドライブ誌で募集した「変形パターンコンテスト」の受賞作が採用されていたりします。楓さんの境遇を考えるとこのコンテスト、ワリと外道の所業ですね? おじさんがこのことを知ったら、どう思うことやら……。

次回は『異世界おじさん』でセガゲームに興味を持った人に向け、作中に登場したゲームネタに関する、よもやま話をお届けしたいと思います。endmark

作品情報

TVアニメ『異世界おじさん』
好評放送・配信中

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