古谷　ララァほど主人公と面識のない運命の女性もいないですよね（笑）。サイド6の湖畔で少しだけ会話はありましたが、それ以外はクルマを牽引してもらったときにチラッと会ったくらいですから。もうこれなんかコンビニですれ違ったレベルでしょう（笑）。でも、戦場ではシャアが入れないレベルで戦いながら意思の疎通をしていたわけで、これほど不思議な関係もないと思います。アムロにとってはそれほどの女性を自分で殺してしまったことがトラウマになって、その後も長いあいだ悩まされることになるのが特徴的ですよね。『機動戦士Ζガンダム』ではそれが理由で宇宙に上がれないと告白していたし、『逆襲のシャア』になってもララァの夢を見ることで、その呪縛が継続していることがわかる。せっかく共感できる自分と同じニュータイプに出会えたのに、その人を自らの手で殺してしまう。運命の女というよりは、アムロにとってはかけがえのない仲間だったんじゃないかなと思うんですよ。

ララァとの関係で面白いのは、シャアを含めた三人の関係性です。ララァはシャアに好意を抱いていて、シャアもそれは同じです。一方のアムロは好意とは違う。アムロはシャアとララァを取り合いするつもりはなかったと思うんです。でも、シャアは明らかにララァを取られると思っていた。シャアにとっては「母親になってくれる人」だと言うくらいですから、相当な思い入れですよね。でも、アムロにしてみれば、ララァを戦争の道具にしたのはシャア自身だろうと。この掛け違いがアムロとシャアが平行線になってしまう要因だと思うんです。アムロはララァに対して恋愛感情を持っていなかったのに、シャアはニュータイプ的な相互理解と恋愛感情を一緒くたにして捉えているフシがある。僕の中でも、マチルダさんのときのような恋愛感情をララァに対しては意識していなかったし、正直ね、ララァと付き合っても面白くないんじゃないかなと（笑）。だってお互いのことが先回りしてわかっちゃうんだから、隠し事ひとつできない。それってシンドイよねって思うんです。

潘恵子さんはこの当時は新人だったと思いますが、『聖闘士星矢』や『ビデオ戦士レザリオン』など相手役として共演することが多かったですね。井上瑤さんと同じように星占いをされているんですが、この当時はまだやっていなかったんじゃないかな。神秘的な雰囲気があって、そういう意味ではララァに似ているところがあります。潘さんは『1000年女王』などの毅然としたヒロインを演じることも多かったし、年齢も僕と同じだから活躍するタイミングも同じだったということなんでしょうね。