TOPICS 2023.09.19 │ 12:00

ペイトン尚未の「並行多元ヒロインズ」
第3回「人魚姫」から考える「お姫様に必要なこと」(中編)

『人魚姫』をテーマにお届けしているペイトン尚未のフォト&インタビュー連載の第3回。中編では、実際に人魚がこの世界に存在していたら、と想像してもらいつつ、人魚姫以外のお気に入りの「お姫様」、そして理想の「お姫様像」について尋ねた。

取材・文/大久保和則 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水

海のどこかに「人魚の世界」があったら楽しそう

――前編では物語に登場する「人魚」について語ってもらいましたが、架空の生き物としての「人魚」に抱いている印象はありますか?
ペイトン 聖徳太子が人魚に会ったっていう伝説があると聞いたことがあって(※編注:滋賀県の観音正寺は、聖徳太子が人魚の懇願を受けて建立したとされる)、そんなに昔のすごい人が会ったっていう伝説が残っているくらいなら、私たちに姿を見せていないだけで、絶対にいるでしょ!と思うんです。海のことって、まだほんの数パーセントしかわかっていないらしいですし。きっと人魚には人魚の世界があって、そこで私たちみたいにお友達とおしゃべりをしていたり、パーティーをしていたりしたら楽しそうでいいなぁと思います。もちろん、会ってみたいなって気持ちもあります。

――海もそうですし、地上にも前人未到の場所がありますからね。
ペイトン そうですよね。ただ、会ってもたぶん話が通じないんだろうなとは思います。言語が違いそうだし、そもそも言葉がないかもしれないし。でも、夢がありますよね。

――「人魚」とともにテーマの要素となった「和」ですが、こちらについてはどのような部分に魅力を感じますか?
ペイトン 「和」といったら、私はまず仮名文字が印象的です。仮名文字って、日本独自の文化じゃないですか。高校の授業で「仮名文字で書かれた『竹取物語』が(現存する)日本で初めての物語文」と教えてもらったった記憶があって、でも『竹取物語』は作者が不明なんですよね。日本のどこかにいた、もしかしたら貴族かもしれないし、そうじゃないかもしれない人が、日本で独自に発達した仮名文字を使って幻想的な物語を書いちゃうところがすごいなって思うんですよ。

――『竹取物語』は、宇宙人との交流を描いた「世界最古のSF」という説もありますね。
ペイトン かぐや姫は、月の人ですもんね。書いた人には月に行きたいという願望があったのかもしれないですけど、そういった思いを仮名文字で表現してくれたから、文法や言葉は変わっても、現代の私たちが読むことができる。それは本当に誇らしいことだと思いますし、だから仮名文字がすごく好きです。

数ある中でもとくに好きな「お姫様」は?

――人魚姫やかぐや姫の他にも、お姫様が登場するファンタジーはたくさんあります。好きなお姫様はいますか?
ペイトン 「眠り姫」がすごく好きです。小さい頃に『眠れる森の美女』をDVDで見て、理想の女性だなって思いました。優雅で、王子様のキスで目覚めるまでは3人の妖精と一緒に暮らしているんですけど、自分をしっかり持っていて、自立していることが作品から伝わってきたんです。ただ守られているだけの女性じゃないなって。

――なるほど。「お姫様」全般に対する憧れはありますか?
ペイトン 憧れますけど、実際になったら絶対に大変だろうなって(笑)。小さい頃は純粋に、キラキラしたドレスを着て、ティアラをつけて、シンデレラのようなガラスの靴を履いていて、すごくきれいで、かわいくて、美しくて……というイメージを抱いていました。だから、心からいいなあって思っていたんですけど、今「あなたはこれからこの国の姫です」と言われたら、「絶対無理! 困る!」って返します。庶民が楽しすぎて(笑)。

――公務もいろいろあって、大変そうですよね。
ペイトン 自分の国の人々のことを第一に考えて行動しなきゃいけないですし、そのために自分が犠牲にならなきゃいけないこともある。だから、絶対に強い女性じゃないといけないと思うんです。そういった覚悟をしっかりと持っている人しか、お姫様にはなれないなって思います。ただ、私はお姫様ではないですし、なる予定もないですけど、誰かを守れる強い人ではありたいんです。

――では、理想のお姫様像は誰かを守れる強い女性?
ペイトン そうですね。お姫様だからって守られるだけの存在じゃない。ときには自分で人々を守ったり、相手に立ち向かえる人。普段はお食事を用意されて、お着替えを手伝ってもらうのが当たり前で、ひょっとすると学校に通わなくてもお城の中でお勉強を教えてもらえるかもしれないけど、でも、しっかり自立していて、たとえば剣とかを使って戦えるとカッコいいなーって。強く、優しく、美しく。この三拍子が揃っているお姫様がいいですね。戦う姿を演じるためには、きっと実際に剣を扱う技術も必要だと思うので、いつかそういう技術を身に着けて、「戦えるお姫様」を演じてみたいなと思います。

2023年も残り3分の1、今年の後半にやりたいこと

――この記事が公開されるのは9月なので、今年も残り4カ月もないという時期に差し掛かっています。今年中にプライベートで挑戦したいことはありますか?
ペイトン ジェルネイルをやってみたいです。私、爪が弱くて、もともとあんまり伸ばしたくないんですけど、ジェルネイルをしている人を見ると「めっちゃかわいいやん!」と思っちゃって(笑)。大学生になったお友達が、ジェルネイルの写真をたくさん見せてくるんです。「見てー。かわいいでしょー」って(笑)。そんな風に世の女子はネイルに敏感だし、気を使っているので、私も見習って今年中にジェルネイルをしたいと思います!

――なるほど。他にはありますか?
ペイトン もうひとつあって、もっと映画館にたくさん通えたらいいなと思っています。夏に公開された『君たちはどう生きるか』はもう2回見たんですけど、この記事が公開される頃にはさらにもう何回か映画館に足を運んでいると思います。この作品を見て感じたことはいろいろあるのですが、その中のひとつが「映画館で映画を鑑賞する素晴らしさ」なんです。大迫力だし、音も含めて自宅のテレビで見るのとは情報量が全然違うなとあらためて感じたので、これからはもっと映画館に通って、いろいろな作品に触れたいなと思っています。endmark

撮影協力

アク和リウムGA☆KYO

<住所>
東京都港区台場1丁目7-1 アクアシティお台場

<営業時間>
11:00時~20:00時(平日)
11:00時~21:00時(土曜、日曜、祝日)
※最終受付は閉店時間30分前までとなっています
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