TOPICS 2024.12.28 │ 17:00

ペイトン尚未の「並行多元ヒロインズ」第16回
セレブになった世界線の「マッチ売りの少女」(前編)

声優・ペイトン尚未がさまざまな「ヒロイン」に扮し、憧れや理想を追求するフォト&インタビュー連載「並行多元ヒロインズ」。第16回のテーマは「セレブになったマッチ売りの少女」。「原作」とは大きく異なるテーマにどのようにアプローチしたのか。好きな童話やアンティークの話題とともに語ってもらった。

取材/編集部 文/大久保和則 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水 衣装協力/星箱Works

今度は自分が困っている人を助けられるように

――今回は「セレブになったマッチ売りの少女」というテーマでの撮影でした。『マッチ売りの少女』の原作は悲しい物語ですが、数あるバリエーションには「心ある人に助けられて幸福に過ごす」という結末に改変されているものもあるようで、そこから想像を膨らませてみました。
ペイトン セレブになったということは、大成功して社長になったりしたのかな、と妄想しました。それでいて成功してもきっと、マッチは手放さないだろうな、と。『マッチ売りの少女』がハッピーエンドになるパターンもあると知ったときは、「素直によかったな」と思いましたね。原作の最後は、おばあちゃんに会えたことは幸せなのかなと思いつつ、読み終えるとやはり複雑というか……小さい子に読み聞かせる童話としては、ちょっと悲しすぎる気がしてしまうので。

――撮影のときは、どんなことを意識していましたか?
ペイトン 幸せをつかんだあとなので、とにかく表情から喜びが伝わるようにと考えました。原作のマッチ売りの少女はまだ幼い女の子だと思うので、ちょっとあどけない感じが見えたほうがいいのかなって、無邪気さも意識しました。

――少女の面影を意識したのは「成功している途中」というイメージがあったからですか?
ペイトン そうですね。成功したけど、まだ満足はしていないというか、今度は自分が困っている人や貧しい人を助けられるように、と思っている前向きなマッチ売りの少女ちゃんを見たかったんです。

今回出会ったのは「長介」と「短介」

――他に撮影で印象に残ったのはどんなことですか?
ペイトン 久しぶりにマッチを持ちました。小学校の授業でアルコールランプに火をつけるために一度だけマッチを擦ったことがあるんですけど、それ以来です。そのときはすごく怖かったことをおぼえています。今回の撮影では火をつけることがなかったものの、久しぶりだから質感ぐらいはおぼえておこうと思って、先端のザラザラしている部分を触ってみたりして、マッチをたくさん感じました(笑)。

――他に火を使うことで思い出に残っていることはありますか?
ペイトン 小学生の頃に学校の行事で芋掘りをして、掘った芋を焚き火で焼いて、みんなで食べたことがあります。それは今でもよくおぼえていますね。

――今回はマッチ以外にもいろいろな小道具が登場しましたが、そちらで印象に残ったものはありますか?
ペイトン 2頭のお馬さんが印象的でした。尻尾の長さが違っていて、長いほうが「長介」で、短いほうが「短介」。その場で私が命名しました(笑)。そのお馬さんの頭を撫でたりしたんですけど、マッチ売りの少女もお人形遊びとかが好きな子であってほしいなと思ったんです。そういう小さな女の子がするようなおままごと的なシーンが撮れたのもうれしかったです。

――撮影スタジオには古いアコーディオンやギター、バイオリンの他にもたくさんのアンティークが置かれていました。これまでにも「古いもの好き」という話は聞かせてもらっていますが、あらためてどういうところに魅力を感じますか?
ペイトン たとえば、100年前に作ったものが今も形として残っているのは、それだけで本当に貴重で価値があると思うんです。それに今こうやって見たり触れたりすることができて、きっとこれからも残っていくんだなと想像できるところに魅力を感じます。今は身のまわりの道具はたいてい機械で大量生産されていますけど、昔のものは手作業で作られていることが多いですよね。「これ、どうやって作ったの?」と思うものもありますし、そういうところも面白いです。

いつかは「必殺技」を叫びたい

――『マッチ売りの少女』は童話ですが、ペイトンさんはどんな童話が好きですか?
ペイトン 迷いますね。アンデルセン童話とかグリム童話とか、いっぱいあるじゃないですか。迷うけど、私はやっぱり『不思議の国のアリス』が小さな頃から大好きです。あの世界観というか、次に何が起こるかわからない、先が読めない展開というか。不思議なことが当たり前に起こっちゃうストーリーにワクワクするし、ちょっと怖いし、ゾクゾクする夢の中をさまよい続ける物語が、すごく魅力的に映るんです。今も、たまに映画などを見返して楽しんでいます。

――他に何度も見ている童話モチーフの作品はありますか?
ペイトン 私が知っているものだとどうしてもディズニー関連になってしまいますが、『シンデレラ』や『眠れる森の美女』、『白雪姫』などはどれも大好きですね。中でもお気に入りは『眠れる森の美女』のオーロラ姫なんですけど、夢があるなと思うのはシンデレラです。シンデレラは「いつか王子様が迎えに来てくれる」と信じ続けて願いがかなう物語なので、夢があって素敵だなって思います。

――男の子が主人公ですが、1953年に公開されたディズニー版の『ピーター・パン』は印象的な作品ですよね。
ペイトン いいですよね! 小さな頃、アメリカのおばあちゃんのお家で見せてもらいました。何度も見たので、当時はセリフもかなりおぼえていましたね。すごく古い作品なのに、今見ても映像が色あせない。すごすぎますよね。当時の人たちがどんな反応をしたのか、見てみたいですもん。やっぱり「何これ!?」と思っていたのかな。

――男の子役はやってみたいですか?
ペイトン めちゃくちゃやりたいです。事務所のスタッフさんにも「男の子役のオーディションも受けたいです!」とお願いしています。家でもでひそかに練習しているんですよ。男の子役もできる女性声優さんはたくさんいらっしゃいますが、私もいつか、つかみたいです。今の私は「アイドルの女の子役」というイメージが強いと思うし、それはもちろんすごくうれしいんですけど、「男の子役もできるんだ!」と思っていただきたいです。

――どんな男の子役を演じてみたいですか?
ペイトン 少し前に朗読劇で男の子を演じたんですけど、コミカルで声のトーンも高めの、軽い感じで話すような男の子として演じたんです。それが自分にとっても印象に残ったのと、応援してくださっている方から「よかったよ」と感想をいただくことも多かったので、みんなからいじられつつも愛されている、かわいい癒し系の男の子をまた演じてみたいです。あとは王道の「やってやるぜ!」みたいな熱血系の男の子も演じてみたいですね。やっぱり必殺技を叫んでみたい(笑)。

――朗読劇で男の子を演じたときは、難しかったですか?
ペイトン 難しいよりは、楽しい気持ちが強かったです。念願だったということもありますが、女の子役とはまったく違う声で演じるので、観客席の皆さんの反応を見るのも面白くて。私自身も新鮮でボルテージがグッと上がっていく感覚がありました。本当に楽しかったです!endmark

ペイトン尚未
ぺいとんなおみ 7月1日生まれ、埼玉県出身。ソニー・ミュージックアーティスツ所属。2020年に『BATON=RELAY』(高橋京子役)で声優デビュー。その後、『ラブライブ!スーパースター!!』(平安名すみれ役)に抜擢され、劇中にスクールアイドルグループ「Liella!」のメンバーとしての活動を開始。2023年3月1日、ソロアーティストとして1stシングル『魔法』をリリース。 Twitter/@_Naomi_Payton_  Instagram/_naomi_payton_
中編(②)は12月29日公開
関連情報

ペイトン尚未 2nd LIVE 『泡沫』Blu-ray発売記念 応援上映イベント

【会場・開催日時】
<東京>
日程:2025年2月8日(土) 開場 17:30/上映開始 17:50
会場:ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場

<大阪>
日程:2025年2月11日(火・祝) 開場 10:30/上映開始 10:50
会場:109シネマズ大阪エキスポシティ

<愛知>
日程:2025年2月11日(火・祝) 開場 17:30/上映開始 17:50
会場:109シネマズ名古屋