TOPICS 2024.06.30 │ 12:00

伊達さゆりの「手さぐりの旅」 第18回 生まれる前の時代の空気が詰まった
JUDY AND MARYさんの「クラシック」(後編)

JUDY AND MARYの「クラシック」をテーマにお届けしてきた、伊達さゆりのフォト&インタビュー連載の第18回。後編では、楽曲の魅力やYUKIへの印象を掘り下げるとともに、「つねにハラハラしていた」タイミングがあったという自身の2024年上半期を振り返る。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水 衣装協力/RoseMarie seoir

楽曲のテンポから感じる、時代の違い

――「クラシック」は今でも聞きますか?
伊達 はい。今日も撮影に向かう前に聞いてきました。

――テーマに挙げてもらったときに歌詞を確認して、短いなと思ったんですよね。
伊達 私も思いました。こんなに短かったんだ、と。メロディもすごく好きで、とくにサビの3行目、「愛しい人 震える想いを のせて」の「のせて」の部分で音程が上がるんですが、「そこ上がるの!?」という驚きがあって、初めて聞いたときから巻き戻してそこだけ繰り返していた記憶があります。あと、テンポも意外とゆったりなんですよね。リズムが心地いいのと勢いがある曲調なので、もっとアップテンポだった印象があったんですけど。

――私は発表当時リアルタイムで聞いていましたが、やはりアップテンポな楽曲という印象でしたね。
伊達 今が速いのかな。時代は全然違いますけど、松田聖子さんの楽曲とか、めちゃめちゃゆったりと感じますよね。でも、あれが普通だったってことですよね。当時の方にAdoさんの楽曲とかを聞かせたらびっくりするのかもしれないですね。

――たぶん、ひっくり返ると思います(笑)。今はそれだけ1曲につぎ込まれている要素というか、手数が多いということなんでしょうね。
伊達 たしかに。その分、昔の楽曲のほうがキャッチーというか、2~3回聞くと「サビはこんな感じだったよね」となんとなく耳コピできちゃうのが素敵だと思います。頭の中でずっと流れているようなメロディやフレーズは、なかなか作れないですよね。

変わらないでいることから感じる凄み

――YUKIさんの歌声に惹かれたと前編で話していましたが、YUKIさんのソロ楽曲で好きなものはありますか?
伊達 「大人になって」という楽曲を聞いたことがあって、そのとき私はまだ「ジュディマリのYUKIさん」の歌声しか聞いたことがなかったのですが、なんだか不思議な感覚になりました。声の魅力はあのジュディマリさんの頃と変わらないまま残っているんですけど、あのかわいらしい声だからこそ、歌詞の重みや深みが、より胸に迫ってくるように感じました。長くこの世界で活躍されている方の歌詞や歌には、やっぱりすごく響くものがあるなと思いますね。なんとなく、お母さんを見ているような感覚になるんです。

――「お母さん」ですか?
伊達 ジュディマリさんをリアルタイムで聞いていたYUKIさんと同世代か、それより少し年下の人たちが大人になって、同じだけの時間を歩んできたYUKIさんの歌声を聞いたら、どんな気持ちになるんだろう、って。私はジュディマリさんが解散したときですらまだ生まれていないので想像するのも難しいんですけど、メイクがナチュラルな感じに変わっても、変わらない歌声を聞いていると、母親を見ているような感じなんです。うん、やっぱりそれがいちばんぴったりくる感覚ですね。

――なるほど。実際のお母さん……ちょっとややこしいですが(笑)――からYUKIさんの思い出や印象を聞いたことはありますか?
伊達 「ずっと変わらないの」と言っていますね。「長くやってきているのにずっとかわいくてチャーミングで、どうしてこんなに変わらないんだろう? でも、そこが好きだ」と。私はリアルタイムで追いかけていないので「そうなんだ」としか言えないですし、「変わらないことの難しさ」もまだわからなくて。ただ、人やいろいろな物事は変わっていくのが自然だと思と思いますし、だからこそいろいろな人から「変わらない」と言われ続けているYUKIさんの凄みは、なんとなくですが想像できる気がします。

――伊達さんが今のYUKIさんの年齢になる頃、自分があんな風になっているかも、と想像したりはしますか?
伊達 いやー……想像できないですね。絶対に無理だと思います。今、一瞬考えてみたけど無理でした(笑)。若い頃からたくさんの苦労やプレッシャーを乗り越えて、いろいろな景色を見てきた方だからこそ身につけられる雰囲気なんじゃないかと思います。

「時間と脳の容量が足りない」気分を味わった、今年の上半期

――この記事が出るのは2024年もちょうど折り返しあたりですが、今年の上半期を振り返ってみていかがでしたか? とくに5月はイベントやライブ、テレビ出演などが重なって大変だったのではと想像していたのですが。
伊達 そのあたりは怒涛の1カ月でして、初めて時間と脳の容量が足りないかも、と思っちゃいました(笑)。本当にいろいろなものが5月に集中していて、焦っている間に終わっちゃった1カ月だったなと思いますね。でも、楽しいからやりきれたという感じでした。スマートフォンを見た時間がめちゃめちゃ少なかった気がします(笑)。

――心の準備も追いつかないし、おぼえておかなきゃいけないことも追いつかない。
伊達 そうですね。5月に開催するものの準備に追われていた4月の終わり頃がいちばん大変だったかな。まずこれをおぼえて、次は違う場所で別のことをおぼえて……という状態で、テレビ収録の現場では今までと違った緊張感を持った瞬間もあり、つねにハラハラしていました。ずっとアドレナリンが出ていたというか、「やらなきゃ!」と思いつつ、その感情をどこに向けたらいいのかわからない!?みたいな。でも、乗り越えてみるとすごくいい経験になったと思いますし、ありがたかったですね。endmark

伊達さゆり
だてさゆり 9月30日生まれ。宮城県出身。Apollo Bay所属。『ラブライブ!スーパースター!!』一般公募オーディションを経て、澁谷かのん役で声優としてデビュー。他の出演作に『英傑大戦』(池田せん役、他)『アサルトリリィ Last Bullet』(石塚藤乃役)など。趣味は歌を歌うこと。特技はよさこい。 Twitter/@SayuriDate  Instagram/sayuridate_official
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