最近取り入れたルーティンは「ハチミツ」
――前編、中編で聞いてきたスポーツの話題に関連して、ステージで歌ったり踊ったりするのもスポーツに近いと思うのですが、伊達さんが練習やステージに立つときに行っているルーティンなどはありますか?
伊達 最近始めたばかりなのですが、マヌカハニーの瓶を差し入れでいただくことがあったので、それ瓶ごと持っていって、合間のタイミングで少しずつ舐めています。実際に効果が出ているのかはわかりませんが、「ハチミツを舐めたから大丈夫」という安心感が得られたり、喉の血行がよくなるというお話も聞いたことがあったので試しています。自分に合ったルーティンが見つかれば、「これをやったから大丈夫」と自分を落ち着かせられると思うので、いろいろなことを試しています。
――なるほど。他にはたとえばどんなことを?
伊達 本当に些細なことです。肩を10回まわすとか、肩甲骨を寄せるとか。背中の筋肉を鍛えるために、お水の入ったペットボトルを両手に持って背中に寄せるストレッチをしたり。あとは白湯を水筒に1リットルくらい入れて、こまめに飲んでみたり。あまり効果がなかったなと思ったら、別のことを試します。「明日はこれをやってみよう」というストックがあればいいのですが、アイデアがなくなると焦ってしまいます。そういうときは、何か探してみるのですが。
ステージ直前に聞いている音楽と、練習中に聞く音楽
――「ヒカレ」以外に気分を高めるために聞く音楽はありますか?
伊達 いわゆる「持ち歌」の中で、その日は歌わない楽曲を聞くことはあります。ステージで披露する予定の歌を聞くと、気持ちがいっぱいいっぱいになってしまうんです。もちろん、確認のために聞き返すことはあるのですが、ステージに立つ直前は、あえて持ち歌以外の楽曲を聞きますね。以前はリラックスできそうな楽曲をよく聞いていたのですが、最近はアップテンポのものを聞きたくなることが多いです。そのあたりは自分の中で変化してきました。他にはインストゥルメンタルやサウンドトラック、海外の楽曲など、BGM感覚で聞けるものを選ぶことが多いです。
――サントラはどんな作品のものを聞くのですか?
伊達 スタジオジブリ作品ですね。いろいろなサントラを聞きあさってみたのですが、ひとまわりしてやっぱりジブリ作品の音楽が好きだなと思うようになりました。自分が主役になれる楽曲という気がするんですよね。
――練習のときに聞く曲は、ステージに立つ前に聞くものとは違いますか?
伊達 練習のときは自分が歌う楽曲を聞きますね。なんとなくですが、練習で聞き込んでおいて、本番前はあえて聞かないようにしておきたいのかもしれません。もちろん、ずっと自分の歌を聞いているわけではなく、休憩するように別の方の歌を聞くこともあります。気持ちをリセットしたいという思いもありますし、ずっと同じものを聞いていると、ゲシュタルト崩壊的にかえって楽曲のことがわからなくなってしまうので、あえてキーの低い楽曲やピアノだけの楽曲を聞いたりします。
「私を客観的に見る私」がいる
――練習や本番におけるルーティンは自然と身についていったのでしょうか?
伊達 自然とやるようになりました。リハーサルのときは、私以外のみんなもそうだと思うのですが「楽しい!」と思うよりも自分と向き合う時間が多いので「どうしようかな」と考える時間もたくさんあるんです。そうなると、自分の持ち歌とはあえて距離を置きたくなることもあれば、「今聞きたい!」となるシーンもそれぞれあって。
――共演者の方とリハーサルの間に話し合ったりすることはありますか?
伊達 だんだん、みんなそれぞれ好きなことをするようになってきたと思いますし、私も自然とそう振る舞うようになっていった気がします。私の場合、休憩の間など「何をしてもいいですよ」という時間をもらうと、かえって何をしようかと迷っていました。「いつも誰かの視線がある」という意識は、このお仕事を始める前からずっとあって、これはたぶん自分で自分のことを見ているんですよね。もうひとりの自分、みたいな人がずっと「それでいいのか?」というようなことをささやいてくる。そういう思いが小さな頃からあります。たとえば、休憩時間に「お腹が空いたな」と思っておにぎりを食べようとすると、「おにぎりを食べていていいのか?」とか「練習しなくていいのか?」と思わせてくる自分がいるんです。
――「まわりの人はおにぎりなんか食べていないぞ」と。
伊達 そんな風に考えて、ひとりで勝手に窮屈になってしまうことがあるんです。でも、きっとこれは自分の行動に自信がないからなんですよね。似たような意味でやりがちなことに、初めて行く駅で降りたときに、A出口が正しい行き先だったけど、B出口の途中まで来てしまって、気づいたらすぐに戻ればいいのに、人の目が気になってB出口までそのまま行ってしまう、ということがあって。恥ずかしくて戻れないんですよ。
――似たようなことをやる人はけっこういる気がします。まわりから「こいつ、道を間違えたな?」と思われるのが嫌なんですよね。
伊達 自分がまわりの人の立場ならば何とも思わないのに、自分が間違うと「どうやって来た道を戻ろう?」と考えてしまうんですよね(笑)。
――この記事の公開は3月末の予定なので、すっかり暖かくなっている頃だと思うのですが、「春」について伊達さんが思うところを聞かせてください。
伊達 大好きな季節です! やっぱり春と秋は好きだという方が多いと思うのですが、寒い冬のあとにやって来るからこそ、開放的になれるんじゃないかと思います。小さな頃からぽかぽか暖かいのが好きで、家から学校までの通学路にさりげなく咲いている桜を見るのが楽しみでした。桜は、散り際も魅力的だとよく言われますが、私は満開の桜が大好きです! まだ20歳なので、咲いているのがいちばんでしょ!と思います(笑)。満開の桜を見ていると、マンガやアニメの中に入ったような気持ちになりますね。
- 伊達さゆり
- だてさゆり 9月30日生まれ。宮城県出身。Apollo Bay所属。『ラブライブ!スーパースター!!』一般公募オーディションを経て、澁谷かのん役で声優としてデビューを果たす。他の出演作に『英傑大戦』(池田せん役、巻姫役)『アサルトリリィ Last Bullet』(石塚藤乃役)など。趣味は歌を歌うこと。特技はよさこい。 Twitter/@SayuriDate Instagram/sayuridate_official
食と緑の空中庭園
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