TOPICS 2026.05.29 │ 12:00

劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』 蓮井隆弘監督インタビュー②

劇場版『名探偵コナン』の最新作『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』が現在絶賛上映中だ。本作は神奈川・横浜を舞台に、白バイ隊員の萩原千速が謎の黒いバイク「ルシファー」と激しいチェイスを繰り広げるバトルミステリー。ここでは、本作で劇場版初監督を務めた蓮井隆弘さんをお迎えして、圧倒的なアクション演出の裏側やキャラクターの魅力を深掘り! 後編は、千速と重悟の絶妙な距離感や、長寿シリーズを成り立たせる制作の裏側に迫る。

取材・文/岡本大介

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

千速と重悟が初期の佐藤・高木刑事の関係に近づく可能性も!?

――メインキャラクターである千速は大きなバイクと華奢なキャラクターのギャップがとてもスタイリッシュでしたが、映像的なこだわりはありましたか?
蓮井 そういう風に感じてくださったということは、いいバランスが作れていたのかなと思います。僕がバイクに乗っている姿を「カッコいいな」と感じるのって、人間がメカを操っている感じだったり、メカと一体となって疾走しているところなので、そこはバイクと人間の大きさがいちばんカッコよく見える塩梅に調整しています。実際には、女性があのくらい大きいバイクにまたがると、もっとギャップが出るんです。そこは少し抑え気味にしていますね。

――バイクアクションが目立つ作品ではありますが、その裏ではキャラクターたちのドラマも光っていました。
蓮井 個人的には、今回の劇場版はキャラクターをしっかりと描くことを重視しているんです。前編でも少し触れましたけど、もともとアクション大作にするつもりはなくて。バイクシーンが印象には残りますけど、尺的にはそこまで占めているわけではないんですよ。それよりもしっかりとキャラクターの魅力や活躍、関係性を描くことがもっとも大切だと思っていますね。

――千速に恋心を寄せる重悟もキーパーソンのひとりです。このふたりについて、描いてみて新しい発見はありましたか?
蓮井 重悟は原作でもわりと初期からいるキャラクターですけど、驚く部分もありましたね。おそらく劇場版だけを追い続けてきた人だと「重悟ってこんなにいろいろな感情を出すんだ」と、かなり驚くんじゃないかなと思います。

――一見するとコメディ担当っぽいですが、締めるところは締めるカッコ良さがありますね。「お姫様抱っこ」のときも、千速の頬がちょっと赤くなるなど、ふたりの距離感も素敵でした。
蓮井 重悟の気持ちは明確なんですけど、千速の内心はまだ明らかになっていないという状況ですよね。おそらく千速自身も明確に自覚していないと思いますし、そこは今回も変わらずで、今後に期待って感じですね。

――監督的には、あのふたりは今後どうなると思っていますか?
蓮井 青山先生から聞いたわけではないので自分なりの解釈ですけど、千速は自分のことを「美人」だと自覚していて、それを利用して重悟をからかっているところがありますよね。ただ、それは恋心や恋愛の駆け引き的なものではなくて、同僚として接しているようにも見えるんです。千速というのはそれくらい恋から遠くてサバサバした人だと思っているので、歩みは遅いでしょうね。そこが突破できれば、初期の佐藤刑事と高木刑事に近い感じで関係が展開していくのかもしれません。

長く続くシリーズでもテンプレートはない

――ゲスト声優のふたり、横浜流星さんと畑芽育さんのお芝居についてはどうでしたか?
蓮井 横浜流星さんは二面性があるキャラクターだったので、そこの幅をかなり意識して作ってくださいとお伝えしました。声優経験はあまりないとおっしゃっていましたけど、見事でしたね。2回録らせていただいて、2回目のときにかなりまとめ上げてもらった感じです。

――畑さんは初挑戦だったそうですね。
蓮井 そうお聞きしていましたが、最初からリテイクもほぼなく、すぐ終わりました。設定も20代だったので、そのままハマっていて、すごく上手にやっていただきました。

――レギュラーキャラの活躍についても聞きたいのですが、本作ではコナンはもちろん、蘭の見せ場もありました。描き方で気を使ったところはありますか?
蓮井 メインキャラクターは『名探偵コナン』として描く以上は欠かせない存在です。今回はおなじみのキャラも少なめなので、シナリオ上でそれぞれ役割を持つようにお願いしました。蘭に関しては、ともすると保護者として大人びてしまうことも多いので、高校生っぽくというところに気を使いました。

――初めて劇場版の監督をして、率直にどうでしたか?
蓮井 いい意味でとても大変でしたね。これだけ長く続いているシリーズですので、セオリーというか、テンプレート化されている部分がほとんどだと思っていたんですけど、実際にはそんなことはなくて。そこも含めて毎回試行錯誤して作られているんだなっていうのをあらためて実感しました。劇場版シリーズとしての「お約束」がないわけではないですけど、かと言って「前がこうだから今回もこう」ではなく、時代の流れに臨機応変に対応しながら作られている。パターン化していないからこそ、飽きられずにこれだけ続いているんだなとも思いました。

――最後に、これから映画を見る方へメッセージをお願いします。
蓮井 映画館ってすごく進化しているじゃないですか。通常の上映形態で見ていただいたあとは、4DXなどの体験型の視聴体験をしてみてほしいです。とくに今回のバイクシーンはすごくうまくハマっていると思うので、オススメです。endmark

蓮井隆弘
はすい・たかひろ 1990年生まれ。アニメーション演出家、監督。『モブサイコ100』シリーズなどで演出を務め、『真・侍伝 YAIBA』では監督を担当。『名探偵コナン』シリーズでは劇場版第26作『黒鉄の魚影(サブマリン)』で演出を担当。本作が劇場版初監督となる。
作品情報

劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』
大ヒット上映中

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