TOPICS 2023.04.27 │ 12:00

伊達さゆりの「手さぐりの旅」第7回 アイナ・ジ・エンドさんの表現力に心打たれた
「はっぴーばーすでー」(後編)

アイナ・ジ・エンドの「はっぴーばーすでー」がテーマとなった伊達さゆりのフォト&インタビュー連載の第7回。締めくくりとなる後編の話題は、アイナ・ジ・エンドの表現者としての魅力や、心惹かれる要因になったという「声」について。そして、自分の「声」に対する印象にも言及してもらった。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水 衣装協力/pays des fées

些細なことを表現に結びつける力に憧れる

――前編・中編から断片的に語ってもらっていますが、あらためてアイナさんのここが魅力的だ、と感じる部分を教えてください。
伊達 アイナさんの楽曲の歌詞を読んでいると、最初は「何について書いているんだろう?」「日常のどんなシーンから発想して書いているんだろう?」と、すごくいろいろ考えてしまいます。だからインタビューを読んでみたくなって、そこで「こういうシーンについて書いていたんだ!」と納得することが多いのですが、本当にちょっとした人間の行動や気持ちを楽曲にしている方だな、という気がするんです。たとえば、そこ(インタビューをしている部屋)にドアがありますが、誰かがドアノブを回してガチャッと開ける、そのワンシーンで歌詞が書けてしまうような方なんだろうな、と。もしかしたら、アイナさんには世界がスローモーションのように映っていて、だからほんの些細なことでも表現に結びつけられるのかもしれない。そんな風に思えるのがすごく魅力的で、衝撃を受けました。

――伊達さんもこの連載の第1回で「心に残った言葉を書きとめている」と言っていましたが、それは続いていますか?
伊達 最近はあまりやっていないかも(笑)。しばらく距離を置いています。普段、過ごしてるなかで「これは書きとめておこう!」と思えることがなかなかないんです。もちろん、特別なことがあれば自然と印象には残るのですが。たとえば、今日、このスタジオに来て階段を登っているときのギシギシという音を聞いて、異世界に迷い込んだように感じたことなど、些細であっても自分の心が動いたことは、やっぱり大事にしたいなと思いました。きっと私には私にしか感じられないこと、できないことがあって――それはみんなそうだと思うのですが、自分にしか表現できないことのきっかけは身のまわりの至るところに転がっているはずなので、「素敵だな」と思ったことは書きとめておかないとな、と思います。

声に惹かれて好きになったアーティストは初めてかも

――アイナさんに興味を持ったきっかけは声だったとのことでしたが、他に声に惹かれて好きになったアーティストはいますか?
伊達 誰だろう……? アーティストさんを好きになるきっかけは、曲が好きだったり歌詞が好きだったりいろいろあるのですが、「声が好き」から入ったアーティストさんはあまり思い浮かばないです。好きになるきっかけは多いので、それだけ好きなアーティストさんもたくさんいるのですが、声から好きになったのはアイナさんが初めてかもしれないです。たくさんの方と一緒に歌っていても、すぐに「アイナさんのパートだ」とわかるような声をされていますよね。すごくうらやましいという気持ちもありますし、魅力的だなと思います。

――自分の声を分析的に聞こうとしたことはありますか?
伊達 ないですね!(笑) 他の方にも自分から聞いたことはないです。たまにレコーディングのときなど、「あなたの声はこういう特徴があるね」と言われて「そうなのか」と思うことはありますが、誰かと声について語り合ったことはないです。でも、なんとなく怖くて聞けないでいるのかもしれないです。めちゃくちゃ知りたいんですけど。

やっぱり自分の声を冷静に聞くのは難しい

――お仕事柄、自分の声を聞く機会は多いと思うのですが、そういうときに感じることはありますか?
伊達 初めはめちゃめちゃしんどかったです(笑)。いまだに、自分の第一声を聞くと鳥肌が立ちそうになります。恥ずかしさなのか……たぶん、自分の声があまり好きじゃないんですよね。だけど、そんな私の声に興味を持って応援してくださる方もいらっしゃいますし、そう言っていただけるからなんとかこのマインドを保てている、というのはあります。でも、やっぱりテレビから自分の声が聞こえてくるとゾワッとしちゃいますね(笑)。

――そういえば、歌手や声優の方に話を聞いていて、「自分の声を気に入っている」という方には出会ったことがない気がします。スポーツ選手なら「足の速さに自信がある」とか「速い球が投げられる」とアピールする人も多いのに。
伊達 たしかに、自分の声に自信があるという方はあまり見ないかもしれないです。声は生々しいからかな? あるいは数値化できないからですかね。「足が速い」ならタイムでわかりますけど、声の好き嫌いはどうしても聞いてくれる人の主観になりますし。でも、だからこそ誰かに「あなたの声が好き」と言ってもらえたらうれしいですね。endmark

伊達さゆり
だてさゆり 9月30日生まれ。宮城県出身。Apollo Bay所属。『ラブライブ!スーパースター!!』一般公募オーディションを経て、澁谷かのん役で声優としてデビューを果たす。他の出演作に『英傑大戦』(池田せん役、巻姫役)『アサルトリリィ Last Bullet』(石塚藤乃役)など。趣味は歌を歌うこと。特技はよさこい。  Twitter/@SayuriDate  Instagram/sayuridate_official