「あのころ見た光」とはタイプが全然違う、もうひとつのお気に入り楽曲
――「あのころ見た光」は2018年に発表された楽曲ですが、どういうタイミングで出会ったのでしょうか?
伊達 最初はどこで聞いたんだろう? 高校生のときに出会ったと思うんですけど、リリースされてすぐに聞いたわけではなくて。当時、通学中にサブスクで別のアーティストさんの楽曲をお目当てに聞いていたら、その次に流れてきたのがこの楽曲で、すごく刺さりました。
――緑黄色社会というアーティストもそこで知った感じですか?
伊達 いえ、それ以前からお名前は知っていて。たしかCMか何かで使われていた楽曲を聞いて「あ、いいな。なんていう人が歌っているんだろう」と思って調べた記憶があります。学校でも流行っていて、聞いている友達も多かったですね。
――前編で「家で歌っていた」という話がありましたけど、他によく歌う楽曲はありますか?
伊達 同じ緑黄色社会さんの中だと「嘘つき」という楽曲で、これはもう最近リリースされたものなんですけど、「あのころ見た光」とは打って変わってゆったりとしたテンポのバラードなんです。ちょっと切ない曲調なんですけど、でも温かいんですよね。
昔から好きなアーティストの歌い方を試してきた
――「あのころ見た光」は自分に気合を入れたいときに歌う、とのことでしたが、「嘘つき」はどんなときに歌うのですか?
伊達 お仕事で歌うときの呼吸のコントロールについて、「難しいな」と考えていた時期があったんです。そんなときに「こんな楽曲が歌いこなせるようになったらカッコいいな」と思いながら聞いていて、自分でも歌っていました。夜にひとりで(笑)。
――子供の頃からお家でいろいろなアーティストの歌を歌ってきた、とこれまでに何度か聞いてきましたけど、そのレパートリーのひとつに緑黄色社会も入っている、ということですね。
伊達 そうですね。好きなアーティストさんを見つけては「この歌い方のクセがカッコいいな」とか「どうやったらこういう歌い方ができるんだろう」と思いながら試してみて「今は難しいけど、明日はできるようになっているかな」なんてワクワクしながら歌っていました。それはもう歌の道に進むとか、そういうこととは関係なく、ずっと昔からの趣味で。とくにカラオケで誰かの前で披露するわけでもなく、ひとりでやっていましたね。
高校生からどれくらい「憧れの自分」に近づけたか
――この楽曲の歌詞には「憧れていた自分になれたかな」というフレーズがあるのですが、楽曲に出会った高校生のときと比べて「憧れていた自分になれた度合い」を表すと、どれくらいですか?
伊達 100%を超えていると思います。ずっと心の中で「こんな風になりたいな」って、誰にも言わずに思っていたことをやらせていただいているので。でも、高校のときに思い描いていた姿と比べたら完全に100%を超えているんですけど、今の自分と「憧れの自分」とを比べると、またちょっとパーセントが変わってくるかなと思いますね。
――なるほど。立場が変わると、目指したい自分の姿も変わりますよね。高校生当時、自分の将来について考えるときに、焦りなどはありましたか?
伊達 ありました。最初は、自分が将来こういう職業に就きたいとか、この大学や学校に行きたいとか、はっきりとした目標のようなものがなくても、まわりの子たちもみんなそんな雰囲気だったので、それが当たり前なのかなと思っていたんです。でも、徐々に焦りや不安が大きくなっていったという感じですね。
――「たぶん、このままじゃダメなんだろうな」と思いつつ、何をやったらいいのかわからない、という年代ですよね。
伊達 そう、「何がわからないのか」がまずわからないんですよね(笑)。そんな中でクラスにひとり、ふたりと進路が決まっていく子たちが出てきて、気がついたら自分のいつも隣にいる子も決まっていて、いよいよ焦る、という感じでした。できる子たちに対しては「あの子はやっぱりしっかりしてるよね」みたいな視線で見てしまって「自分とは違うなー」って思うくらいなんですけど、普段、「そうだよねー」と言い合っていた仲よしの子が、ある日「こういうこと、やってみたいんだよね」とか話しているのを目の当たりにすると「あれ、私は何をしているんだろう? 大丈夫かな」と、急に不安になりましたね。