TOPICS 2023.07.31 │ 12:00

伊達さゆりの「手さぐりの旅」 第10回 小さな選択の積み重ねが自分を作ると気づいた
阿部真央さんの「どうしますか、あなたなら」(後編)

伊達さゆりのフォト&インタビュー連載。阿部真央の「どうしますか、あなたなら」をテーマにお届けしてきた第10回の後編では、とくに心を打たれた歌詞のフレーズを取り上げながら、今現在、「どうしよう」と悩んでいる心の内を吐露してもらった。じつは1年半ほど前から感じていたという「迷い」とは――?

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水

歌詞を見ていると「甘えなのかな」と思わされる

――「どうしますか、あなたなら」は明るい曲調でMVもコミカルですが、歌詞はなかなか強い調子で聞き手に問いかけるような内容です。印象に残ったフレーズを教えてください。
伊達 1番と2番のBメロ部分、「綺麗な丸をもらえても それ本当に欲しいのか?」や「綺麗な丸は躓けば そのまま止まらず転げるよ」というところは考えさせられますね。丸にたとえているのが一見かわいらしいのですが、めちゃめちゃ深いというか。私にはきっと一生かかってもこんな風には書けないと思いますし、素敵だなと思いました。歌い出しの「『良い自分』で居たいと思うほど 苦しい」というのも刺さるフレーズですね。

――それはやはり、伊達さん自身、普段そのように思うことがあるからでしょうか?
伊達 誰しも思い描く「理想の自分」があると思うのですが、そこに近づけないことがいちばん自分を苦しめているのかもしれない、と感じることはあります。普段は「頑張れよ!」と奮い立たせてくれるよりも、「いいんだよ」とダメな自分を励ましてくれる、一緒に落ち込んでくれるような歌を聞くことが多のですが、こういう楽曲に出会うと、もしかすると「それは甘えなのかな」と感じてしまいますね。

じつは1年半前から続いている「迷い」

――前回(第9回)のインタビューで「飾らない自分でいたい」という話を聞いたあとに、この楽曲の「『良い自分』で居たい」というフレーズなどを見ていて、ひょっとすると伊達さん自身に今、何か迷いがあるのかな、と感じたのですが……。
伊達 はい。迷っています(笑)。ぼんやりした話になってしまうのですが、ひとつだけわかっているのは、これは絶対に自分にしか解決できないことなんだな、ということで。迷っているというか、悩んでいるというか……。大まかに言うと、自分が今、何をいちばんやりたいのかがわからないんです。

――なるほど。
伊達 自分は何が好きで、何に楽しみをおぼえていたんだろうって。じつは、1年半くらい前からなんとなく感じていたことなんです。最初は「すぐに解決する悩みなのかな」と思っていて、自分の中であえて気にしないようにしていました。そういう時期なのかな、くらいで。でも、それが小さくならずにだんだん大きくなっていきました。いろいろな方に相談したり、自分の中で考えて、行動に移してみたりもしましたが、たとえばお休みをいただいたからといって解決する内容ではまったくないですし、自分が前に進んだり、一歩下がったり、時間をかけて考えていかないと、解決しない内容なんだろうなと思っています。

――目の前のお仕事をひとつひとつ、着実にやっていくという解決の仕方はあると思います。逆に、目指したいものを明確にして、そこに進んでいくという考え方もありますね。
伊達 そうですね。お仕事をいただけるありがたみは痛いほど感じていて、だからこそこういう風に考えること自体が失礼だと思ってしまうし、自分が腹立たしい気持ちもあります。でも、考えることをあきらめてしまうのは簡単だから、それでいいのかなという思いもあって……難しいですね。

夏休みといえば、おばあちゃんの家と熱唱の記憶

――そのあたりの心境の変化は、この先の連載でも聞かせてもらえればと思います。話を変えて、この記事は真夏の公開なので、夏休みの思い出を教えてもらえますか?
伊達 両親が共働きで、おばあちゃんの家が近くにあったので、小学生の頃はおばあちゃんの家にずっといました。だから夏休みといえば、まずおばあちゃんの手料理を思い出します。おばあちゃんの家は規則正しいので、いつもお昼の12時にはテレビのニュース番組を見ながらみんなでお昼ごはんを食べていました。

――私も祖父母の家に行くと、だいたいいつもNHKが流れていた印象があります。
伊達 私のおばあちゃんの家でもずっとNHKが流れていました! 当時、聞こえていたニュース番組の音楽は、今でもメロディがすぐに出てくるくらいにおぼえています。あとは庭で野菜を育てているお家だったので、窓からは緑がずっと見えているような環境でした。だから夏には「自然」というイメージがあります。

――中高生になってからの夏休みはどうだったのでしょう?
伊達 小学生の頃からそうだったのですが、夏休みはだいたい家に閉じこもって熱唱していました(笑)。昼間は両親がいなかったので、「誰にも聞かれない!」とばかりに歌っていました。東京に来て急にやらなくなってしまったので、物足りなさを感じることもありますね(笑)。

――東京の夏と宮城の夏とで違いを感じることはありますか?
伊達 体感気温はそこまで変わらないのですが、個人的には東京のほうが湿度が低く感じますね。東京のほうが前髪の巻きが取れにくいんですよね。

――なるほど、伊達さんのトレードマークの前髪にはそんな秘密が(笑)。
伊達 そうなんです。笑われちゃうかもしれないですけど、湿度のバロメーターになっているんです(笑)。endmark

撮影協力

百舌の蔵
住所/東京都新宿区荒木町12−5
営業時間/11:00時~不定(木曜、土曜、日曜、祝日定休)