TOPICS 2023.10.10 │ 12:00

伊達さゆりの「手さぐりの旅」 第11回 歌声が自分を奮い立たせてくれる
緑黄色社会さんの「あのころ見た光」(前編)

声優・伊達さゆりのお気に入りや、心に残っているものを取り上げながら自らを語るフォト&インタビュー連載。第11回のテーマは、先日開催された自身のバースデーパーティーでも披露された、緑黄色社会の「あのころ見た光」。イベントで歌唱することになった経緯や、21歳の自分に向けて伝えたいことを尋ねた。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水

撮影後もまだ視界に太陽の光が残っている

――記事が出る頃にはもう少し秋めいていると思うのですが、今回の撮影時はまだまだ夏の日差しが残っていて、非常に暑い中での撮影でした。
伊達 一面の原っぱが、東京なのに東京じゃない感じでおどろきました。あとは、久しぶりにいっぱい日を浴びたなって思いました。まだ視界に太陽の光が残っています、ぼんやり(笑)。

――意外とこの連載では公園で撮影をすることがなかったんですけど、公園に関する思い出はありますか?
伊達 実家の近くに公園があって。小さい公園なんですけど、よくそこに行って、友達と遊びまわっていました。

――東京に来てから「ここの公園に行ってみた」とか、行ってみたい公園はありますか?
伊達 意識して公園に行くことはないんですけど、仕事に行く途中で通りかかって、小さな子供たちが遊んでいるのを見ることはありますね。一度だけ、レコーディングの帰り、夜の10時半くらいだったんですけど、なんとなく家に帰りたくなくて、誰もいない公園のベンチに座っていたことがあります。

――夜の公園って、ときどき妙に行ってみたくなるときがあります。
伊達 うん。憧れみたいなものはありましたね(笑)。

歌っていると、支えてもらっているような気持ちになる

――今回はテーマとなる楽曲に、緑黄色社会の「あのころ見た光」を挙げてもらいました。ピックアップした理由を教えてください。
伊達 この記事が上がる頃にはもう終わっているのですが、バースデーパーティー(『伊達さゆりBirthday Party 21st ~好きな色に着替えて~』)を9月末と10月の初めに開催しまして、イベントのライブパートで歌う楽曲なんです。

――緑黄色社会は以前にも好きなアーティストとして挙げていましたよね。
伊達 そうなんです。シンプルに歌声や楽曲が大好きで、だからいつか絶対にこの連載で挙げようと思っていました。この楽曲は歌詞に「twenty-one」というフレーズが出てくるんです。どういう意味なんだろうと思って調べたら、メンバーの方のひとりが21歳の頃に作ったものがベースになっていると知って、私と同い年のときだ!と思って。歌詞も、もがきながら光を追い求めて進んでいくような内容が素敵だなと感じました。「光」とかそういう単語がすごく好きで、「光をまとう」みたいなイメージにも憧れがあったので、今日のメイクでもバチバチにラメを入れてもらいました。あとはやはり21歳になってから最初に出る連載記事なので、そういったことも考えて今回、挙げさせていただきました。

――まさにこのタイミングでしか挙げられない楽曲ですよね。楽曲を教えてもらったときのメモに「お家で歌ったりもしました」とあったのですが、具体的にどんな部分がお気に入りなのですか?
伊達 まずはもうボーカルが気持ちよくて。あの疾走感のあるメロディに全力で応えるような、「喉、全部開いてます!」という感じが大好きです。それでいて芯があって、どこか優しさや温かみのある歌声で。でも、自分が家で歌うのはちょっと落ち込んだとき、「今日はなんだか思うようにいかなかったな」と思ったときで。そういうときに歌うと、すごくストレス発散になるというか、スカッとするんですよね。

――家で歌うときは、カラオケトラックを流しながら歌うのですか?
伊達 いえ、必ずこのボーカルと一緒に歌うんです。デュエットしているような感じになるんですけど、そうすると、なんだか背中を支えてもらえているような気持ちになって。あとは、自分の心を奮い立たせるときに歌うのがこの楽曲だったので、すごく救われていました。

20歳の最後に、ちょっとだけ未来の自分に伝えたいこと

――先ほど話にも出たように、この記事が公開される頃には伊達さんは21歳を迎えているはずなのですが、20歳を振り返って、どのような1年間でしたか?
伊達 びっくりするくらい、10代と変わらなかったです(笑)。こんなに変わらないことがあるんだって思うくらいで。あれ? 想像していた20歳じゃないなって。皆さんに誕生日をお祝いしてもらった瞬間がいちばん「20歳だ」と実感していたかもしれません。法律的にお酒を飲んでも大丈夫になったというだけで、それ以外は本当に変わらなかったですね。

――変わらなかったのは「いいこと」だと思っていますか?
伊達 うーん……劇的に変わるのもちょっと怖いなとは思っているので、普通というか、よくも悪くもない感じですね(笑)。

――20歳の最後に、この記事が公開されている頃の、21歳の伊達さんにメッセージを送るとすると?
伊達 「余計なことは考えないほうがいいよ」ですかね。感謝とか謙虚さとか、そういう気持ちは自分が伝えているつもりでも、意外と相手に伝わっていなかったりするので、そこは気をつけすぎるくらいでもいいと思うんですけど、「自分はこんな風にありたい」といったことは、考えすぎないほうが楽しんでできるし、継続してその方向に向かって行けるよって。これが唯一、20歳の間に自分が変わったことかもしれなくて。そう思えるようになったのも最近のことなので、これが正しいかどうかもまだわからないんですけど。それでも、もし本当に20歳の自分から少しだけ未来の自分に語りかけられるとしたら、「考えすぎなくていいよ」って。それを伝えたいですね。endmark