小さな入り口の先にあった、秘密基地のような光景
――今回の撮影場所は高円寺のHATTIFNATT(ハティフナット)というお店なのですが、高円寺には以前、来たことがあると話していましたね。
伊達 はい。1年くらい前に古着に興味を持った時期が一瞬だけありまして(笑)。そのときに古着屋さんの情報を検索してみたら、高円寺のお店がたくさんヒットしたので足を運んでみました。でも、それ以来行っていなくて、今回が2回目です。
――お店の中に入ってみての印象はいかがでしたか?
伊達 ドアが小さいというお話を事前にうかがっていたのですが、実際に来てみると、ドアを開けて中に入るというよりは、トンネルをくぐるような感覚でした。そういったところも含めて「秘密基地感」がすごくある場所だなと。テーブルや柱も木目がはっきり見えて、素材感を大事にされている印象でした。あとは壁に描かれた絵を見ていて保育園というか、学童というか……そんな場所に来たような気持ちになりましたね。
――たしかに、撮影の様子を見ていて「幼稚園の先生みたいだ」と思いました(笑)。
伊達 衣装ともあいまって、そう見えるのかもしれません(笑)。
将来の夢は「保育園の先生」だった
――幼稚園や保育園に対する思い出はありますか?
伊達 私の両親はどちらも働いていたので、0歳から6歳まで保育園に通っていました。そのおかげで0歳からの幼なじみとは今でも仲がよくて、ずっと連絡を取りあっています。もうお互い何も隠すことのない仲なので、ずっとこの先もこの縁は大切にしていきたいなと思っています。
――「0歳からの友達」というのは、字面からしてインパクトがあります。
伊達 中学までは全員一緒の学校で、高校でバラバラになり、大学も別々で、地元に残る子もいれば、そうじゃない子もいて。高校の頃、コロナ禍で学校に登校できなくなったときに、幼なじみたちと電話で話すことが多くなりました。4人くらいでグループ通話をして、そこからまたさらに仲よくなったことがあって。別々の高校に進んで疎遠になりつつあったのですが、そのタイミングでまたキュッと距離が縮まって、今もその仲が続いています。
――保育園や幼稚園の先生に憧れたことはありますか? 「もともと保育士や幼稚園の先生になりかたった」という声優の方も多かったりしますが。
伊達 小学校から中学校の頃までは、将来の夢に「保育園の先生になりたい」と書いていました。母やおばあちゃんから、私は「手がかかる子だった」と聞かされていたんです。それこそ、保育園に送り出すときに母にしがみついて離れなかったり(笑)。そんな私がすごく小さな頃からお世話になっていた場所だから、ぼんやりと「保育士を目指そうかな」と思っていました。中学2年の頃だったかな、職場体験があって、そのときも迷わず保育園を選びました。
――体験してみての感想は……?
伊達 3日間くらいの職場体験だったのですが、1日目で「私は保育士に向いていない……」と思い知りました(笑)。わんぱくだった昔の私みたいな子が何十人もいて、もう「大変」という言葉では収まりきらないなと思いましたね。
明るいけれど、どことなく切なさ、寂しさを感じる楽曲
――第13回はMINT mate boxの「君のことで悩みたい」という楽曲を挙げてもらいました。これまでの連載の中でもとくに「知る人ぞ知る」チョイスという気がしますが、どのようなタイミングで出会ったのでしょうか?
伊達 高校の頃、もっといろいろな音楽を聞きたいなと思いつつ、なかなか探す手段がわからない時期があって。そんなときにInstagramで「朝の支度が楽しみになる楽曲ランキング」みたいなテーマで投稿している人たちがいたんです。そこで紹介されていたMINT mate boxさんの「メイクキュート」という楽曲が気になって。「メイクキュート」というタイトルの響きがかわいいなと思って聞いてみたら、その通りすごくかわいくて! メイクをしている女の子の思いがそのまま歌詞になっているんです。ちょうどその頃、メイクにもすごく興味があっていろいろ調べたりしていたので、あっという間にお気に入りの楽曲になりました。
――具体的にどんな部分を「かわいい」と感じましたか?
伊達 何よりもボーカルの方の声がかわいくて、すぐに大好きになってこのバンドの楽曲を聞きあさりました。アップテンポなものからバラード寄りのものまで、楽曲の幅は広いのですが、アップテンポなものでもロックすぎないというか、すべての楽曲が心地いいバランスなんですよね。だから、どの楽曲を聞いても心に響くし、「もう一度聞きたい」という気持ちになるんです。
――そんな中で「君のことで悩みたい」という楽曲を選んだのは、どんな理由なのでしょうか?
伊達 私はアルバムを聞くとき、まず曲順のまま通して聞いていくタイプなんです。この「君のことで悩みたい」は『ideal』というアルバムの最後に入っている楽曲なのですが、イントロを聞いてなんとなく「アンコールで使われる楽曲なんじゃないかな」と思ったんです。明るい曲調なのですが、お別れが近づいてきている雰囲気というか、どことなく切なさや寂しさが感じられて、まずそこに心が惹かれました。あと、歌詞に「○○したい」というフレーズが多くて、そこがまたかわいらしいなと思いました。直接言葉にすると恥ずかしいから歌詞にしました、みたいな健気な感じがあって、胸に刺さるんですよね。
HATTIFNATT 高円寺のおうち
住所/東京都杉並区高円寺北2-18-10
TEL/03-6762-8122
営業時間/12:00~21:00(毎週月曜、第3火曜定休)
※イートインのラストオーダーは20:00です