TOPICS 2023.11.13 │ 12:00

伊達さゆりの「手さぐりの旅」 第12回 日向坂46さんの「青春の馬」から受け取った
まっすぐなメッセージ(前編)

声優・伊達さゆりのお気に入りや、心に残っているものを取り上げながら自らを語るフォト&インタビュー連載。第12回のテーマに挙がったのは、日向坂46の「青春の馬」。高校時代に出会い、今でもよく耳にしているという楽曲の魅力について尋ねた。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水 撮影協力/オクタボスタジオ代々木

青春のイメージは「キラキラ」と「影」

――今回はテーマ楽曲にあわせて「青春」をキーワードに撮影をしましたが、終えてみていかがでしたか?
伊達 「青春」って、今までの連載でありそうでなかったテーマだなと思いました。さわやかでキラキラした部分と、そうじゃない影の部分とがひとつになっているのが青春なんだろうなって、ぼんやりと思っていたんですけど、今回、それが写真にあらわれているのがうれしかったです。楽曲のMVが青を基調とした映像だったので、お衣装も青系のものを用意してもらって、それを身にまとえたのも楽しかったですね。

――撮影場所はアトリエやセレクトショップなどが入っているビンテージマンションの一角だったのですが、どんな印象でしたか?
伊達 もし、自分が近所に住んでいても、きっと景色の一部に溶け込んで通り過ぎている建物だと思うんです。でも、中に入ってみると、お店が並んでいたりして「こういう場所があるんだ」と驚きました。外見からはなかなか想像がつかないというか、奥が深いなと思いました。

気になるけど入れなかったあのお店……

――東京は人口が多いだけあって、街を歩いていると「こんなところにこんなお店が」と思わされることが多いですよね。とくに地方から移ってきた人から見ると。
伊達 そうですね。意外なお店というと、カレー屋さんにハマっていたことがあって――辛いものは苦手なんですけど(笑)、喫茶店のカレーとかをすごくおいしく感じる時期があったんです。ほんの一時期、2週間くらいなんですけど。

――本当に一時期ですね(笑)。
伊達 はい(笑)。それで、カレー屋さんが集まっている場所に出かけて「今日は何を食べようかな」と歩いていたら、ポツンとおしゃれなアクセサリー屋さんがあって「 え、どうしてここに!?」とびっくりした思い出があります。きっといろいろな事情があると思うんですけど、カレーとアクセサリー屋さんが結びつかなかったんです。

――カレー屋さんの密集地帯にアクセサリー屋さんがあった。
伊達 そう、本当にカレー屋さんの激戦区みたいなところにあったんですよ。でも、私、新しいお店に入るのってすごく緊張しちゃうので、結局入れなくて。カレー屋さんとかラーメン屋さんとか、普段よく食べるようなもののお店だと入りやすいんですけど、そんなお店ばかりだと思っていたら突然「なんで?」というお店が目の前に飛び込んできて。すごく気になったんですけど。

回り道しないメッセージが心に刺さった

――第12回のテーマとなった日向坂46の「青春の馬」ですが、どういった理由で挙げたのか教えてください。
伊達 今まで挙げてきた楽曲は、この仕事を始めてからとくに好きになったり、落ち込んで励ましてほしいときに聞くものが多かったんですけど、「青春の馬」は高校生の頃からずっと聞いていて。試験勉強で疲れたときとか、これまでに挙げたものとはちょっと違うポイントで奮い立たせてもらってきた楽曲なんです。今でもずっと聞いているので、それだけ自分の深いところに刺さっている楽曲なんだなと思います。

――なるほど。
伊達 あと、MVが大好きなんです。日向坂46さんは坂道(シリーズ)さんの中でもとくに笑顔を大切にされているグループだと感じているのですが、そんな皆さんがひとつになって、もがきながらも前に進もうとする姿がとにかく印象的で。

――楽曲に出会ったのはどんなタイミングだったんですか?
伊達 まわりに坂道さんが好きな友達が多かったので、私もそれに影響されて日向坂さんの楽曲を聞くようになったんですけど、これはいつだったかな……。でも、最初に触れたのはMVでした。たしか表題曲ではなかったんですよね。

――4thシングル『ソンナコトナイヨ』の2曲目に収録されているので、いわゆるc/w曲ですね。
伊達 そうですよね。 だからテレビ番組などで披露されることが少ない楽曲だったんですけど、意外とそういうタイプの楽曲を好きになることが多くて。ちょっとレア感があるほうがお気に入りというか。それでいて歌詞は直球の応援歌なんですよね。回り道をしていない、泥臭いメッセージがMVと相まって胸に迫ってくるんです。

――たしかに、そう言われるとc/wでこそ輝く楽曲という気がします。MV以外に、歌詞やメロディで「ここがお気に入り」というポイントはありますか?
伊達 歌詞だと「何度も間違えて/結局遠回りして/疲れた体が何か覚えてるはず」というフレーズですね。何度も間違えて「無駄だったんじゃないかな」と感じた経験が、あとあと「無駄じゃなかった」と思えたことが何度もあります。思っていた通りのかたちとは限らないんですけど、ふとした場面で返ってくるんですよね。「そうあってほしい」という希望もあるんですけど。それをキラキラしているアイドルさんが歌ってくれたことで、より強く心に刺さりました。endmark