目指してもギャルにはなれなかったと思う
――前編で「ギャルへの憧れ」を語ってもらっていましたが、自分が本当にギャルになった姿を想像することはありましたか?
伊達 いやー……目指しても本当のギャルにはなれなかったと思います。どこか猫をかぶった「ギャルになれている自分が好き」みたいな、中途半端な存在になっていた気がしますね。
――撮影ではギャルっぽいポーズもとっていましたが、なりきってみての印象は?
伊達 撮影してもらっているうちに、細かいことは気にしないほうがいいな、と思いました。余計なことを考えないほうが画になるというか、「適当」でいるのがしっくりくるんですよね。それが素敵だなと思いました。
――「infinity」のMVはチアがモチーフになっていることもあってポンポンを持ってもらったのですが、チアの経験はあったりしますか?
伊達 じつは、ほんのちょっとだけなんですけど、やったことがあるんです。それこそ小学校に入る前に、ポンポンを持ってちょっと踊ってみた、くらいの経験なんですけど。仲よしだった友達がいて、その子と一緒にやっていました。ポンポンを持ったのはそれ以来ですね。
――久しぶりに持ってみた印象は?
伊達 なんだか小っちゃいな、と思いました。当時もこのくらいのサイズのものを持っていたと思うんですけど、子供の頃は身体も小さかったので、ポンポンが大きく見えていたんですね。
――ギャルの他にもうひとつ、今回の撮影では「近未来」というテーマを盛り込んでいたのですが、子供の頃に「未来」と聞いて想像していたイメージや、「こんなものが将来できていたらいいな」と思っていたものはありますか?
伊達 小さい頃は『ドラえもん』をよく見ていたので、当時はタイムマシンなんて10年、20年後には普通にできているんだろうなと思っていました。あとは空にカプセルみたいな車が飛んでいたり、未来にはそういうものが当たり前にあると思っていたんですけど、まだできていないので、想像していた「未来」がやってくるまで生きたいですね。その世界をこの目で見てみたいです。
なぜかずっと忘れられないでいる、子供の頃に見上げた風景
――「Infinity」がリリースされた2009年には、もうiPhoneが販売されていたんですよね。
伊達 え! 全然わからなかったです。もっとあとかと思っていました。
――そういう意味では、音楽配信やSNSなど、今の日常につながる変化が始まった頃だと思うのですが、当時、小学1年だった伊達さんは他にどんなものに夢中になっていましたか?
伊達 友達に合わせようと一生懸命だったかもしれないです。といっても無理して合わせていたわけじゃなくて、好きだと感じるものを自分で見つけることがあまりなくて、友達から教えてもらって好きになることが多かったです。交換ノートもゲームも、友達がきっかけで始めました。ゲームは今でも好きなんですけど、友達がやっていて「面白そうだな」と思って借りたり、追いかけて同じソフトを買ってもらうことが多かったです。
――その頃の小学生に流行っていたゲームというと……?
伊達 ニンテンドーDSにハマっていましたね。『おいでよ どうぶつの森』や『とんがりボウシと魔法のお店』という、自分が魔法使いになってお店を大きくしていくゲーム。あとは『たまごっち』のDS版とか。全部、友達から教えてもらいました。
――以前、「自分が好きなものをなかなか他人に打ち明けられない」と話していましたが、当時からその傾向があったのですね。
伊達 そうなんですよね。自分から「これ知ってる?」とはなかなか言えなくて。ハマってくれなかったらどうしようと思っちゃうんです。
――小学生の頃の風景で、記憶に残っているものはありますか?
伊達 小さい頃、アパートの2階に住んでいたんですけど、そのベランダから見た景色が忘れられなくて。なんでだろう。私が住んでいたアパートの前には大きいマンションが建っていて、いつも「すごいなぁ」と思いながら見上げていました。
バックに鳴っている音が気になった初めての楽曲
――楽曲の話題に戻って、「infinity」を子供の頃にすごく好きになった理由は何だと思いますか?
伊達 ボーカルが魅力だったことはもちろんあるのですが、バックに流れているオケに爆発音のような弾けた音がいっぱい入っているんですよ。そこがたぶん、小さな頃の私の心に引っかかったんだと思います。冒頭から「始まりました!」というような壮大な感じがあって、さらに音数もすごく多いので、聞いているだけでライブに行っているかのような気持ちになります。言葉ではうまく説明できないのですが、「私、曲を聞いているんだ!」という感覚があるんです。
――当時の伊達さんは小学校に入ったくらいの年齢なので、まさに自覚的に音楽を聞き始めた当初の記憶ですね。
伊達 そうかもしれないですね。それまではただリズムやメロディが心地よかったり、なんとなく歌詞がいいなと感じていたのだと思うのですが、歌声だけじゃなくてバックに鳴っている音を聞いてみよう、と思った初めての楽曲だったと思います。楽器を習ったりもしていなかったので「ピアノの音だけを追いかけてみよう」というようなことをやったことがなくて。でも、この楽曲に出会って「後ろですごい音が鳴っているけど、なんていう楽器なんだろう?」と考えるようになりました。
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