ぼたんはつねに相対している人の最善を願っている子
――いよいよ『上伊那ぼたん』の放送も終盤となりましたが、キャストの皆さんはイベントや動画収録などで会う回数も多かったのではないでしょうか?
鈴代 ふたりずつとかは多いんですけど……。
寿 6人で会うのは久しぶりなんですよね。
河瀬 先行上映会のタイミングでは、私だけ横浜で踊り狂っていましたし(笑)。
鈴代 どうにか集まるタイミングを……と思っていたので、こういった取材の機会をいただけて大変ありがたいです。
――せっかくの機会ですので、皆さんに放送されたエピソードやその収録を振り返っての思いをお聞きしたいです。まず、第1話は鈴代さん演じるぼたんと、青山さん演じるいぶきの関係が紡がれ始めるきっかけのエピソードでした。
鈴代 立ち上がりの第1話ですし、どのようなテンポ感で進んでいくのかドキドキしながら迎えた収録でしたね。
河瀬 皆さん、初回の収録って緊張しました?
鈴代・青山・寿・天海・富田 した〜。
寿 オーディションのときに、音響監督の(明田川)仁さんから何も言われなくて。
鈴代 私もディレクション待ちの時間が長くて焦りました。長考のあとにニヤニヤされて「これはヤバい!」と思ったんです。
寿 そんなことが頻発していたので(笑)、第1話のときは「本当にこの方向性でいいのかな?」と悩んでいたんですよ。
青山 最初はどうしても、他のキャストがどんなお芝居を持ってくるのかわからないまま、テスト収録が始まりますからね。その芝居感やテンポを受けて試行錯誤する時期なので、かなりドキドキしながらの収録でした。
鈴代 とはいえ、第1話から休憩時間にはわちゃわちゃとしていましたね。
寿 スタッフさんも仲がよく、『上伊那ぼたん』愛のある人たちが作品を作っていることが私たちにも伝わってきたので、そこも後押しになったかもしれません。
鈴代 朝からの収録だったので夕方前には終わっていたんですけど、あれが夕方収録だったら……。絶対にそのまま皆さんで飲みに行っていましたね(笑)。
――そんな序盤のエピソードの中で、特に印象深いシーンはどこですか?
河瀬 第5話の、いぶきとぐじょせん(郡上)の会話ですね。言いたいことはいろいろあるけれど、自分が傷つかないための盾を出してしまうぐじょせんが、もう……。収録現場にこそいなかったのですが、胸にグッと来るものがありました。
寿 演じていた私も、あのシーンは印象深かったですね。いぶきがぐじょせんのタバコを手に取って試してみるものの、すぐに「けぶい」と口にするじゃないですか。この三文字に吉能ちゃんがいろいろな思いを詰め込んでくれたことに驚きました。演じている瞬間はぐじょせんへの感情移入が強くなるので気づかなかったんですけど、冷静に考えるとあのお芝居はすさまじいなと。
青山 大人の会話ですよね。どのコマを進めるのか、緻密な心理戦が行われていて……。そんなことをおっしゃる美菜子さんのお芝居には、郡上先輩にはいろいろな面で敵わないなと思わせる説得力を感じました。でも、もとはと言えば、とてつもない魔性っぷりの女がいるわけで……。ねぇ、なんでイチゴウイスキーを勧めた!?
鈴代 一対一で話しているときは、その人のことをよく見ている子だと思うんです、ぼたんは。郡上先輩と相対しているときには、いぶきのことより郡上先輩に集中していて、ただ郡上先輩にとっての最善を願っているんです。そこが憎めない部分だと思っていて。第5話のあのシーンは、いぶきのことが好きでたまらないであろう郡上先輩の気持ちが、美菜子さんのお芝居によってよりにじみ出ていて「幸せになってくれ」と気づいたら願っていました。
「絶対に余計な音は立てるな」という緊張感があった
鈴代 私は第5話だと、いぶきがぼたんとバーに来ているとき、トラウマについて話すシーンが記憶に残っています。というのも、あのシーンはスケジュールの都合で、吉能と一緒に収録できなかったんですよね。なので、吉能の音声を聞きながら、後日収録に臨んだんですが、そのお芝居に飲み込まれそうになって。過去のものとして乗り越えたいんだけど、まだ引きずられている。そこに新しく、受け止めてくれるような存在であるぼたんが現れた。そんな感情がごちゃ混ぜになっているシーンだからこそ、グッと来たんですよね。
天海 そういえば、序盤の収録時にいぶきのしゃっくりとぼたんのげっぷを聞いて、演じ分けが素晴らしいなと感じたんですよ。「けぷ」と「ひっく」って、音だけなら似てしまうところを、鈴代と青山で差別化を図っていて……。リアルめな「けぷ」「ひっく」から徐々にデフォルメされていった様子も、プロの声優ってすごいな……と。
青山 うれしい!
天海 なかなかしゃっくりとげっぷを使い分ける機会もないと思いますけど(笑)、そんな場面に遭遇したらふたりのお芝居を思い出そうと思います。
河瀬 いぶきがお酒の説明をするシーンだと、台本にはセリフだけが書かれているところに、よぴちゃん(青山)がしゃっくりを入れ込んでいて。尺を計算しつつ入れ込む技がすごいなと聞いていて驚いたんですよ。
富田 『上伊那ぼたん』は全話通して息を呑むシーンが多かったんですよね。自分のセリフがなくてブースの後ろに座っていたときも、何があっても絶対に余計な音は立てるな、という緊張感がありました。それくらいあのお芝居は素晴らしくて。
青山 ちょっと、ここまでの録音データ、あとでいただいてもいいですか!?(笑)
――そんないぶきとぼたん以外だと、序盤のエピソードでは、天海さん演じるあかねの「リモコンが見当たらないんだよなぁ〜」と歌うシーンも印象的でした。
寿 あれはオーディションからやっていたの?
天海 そうですね。テープオーディションではもっと抑えた感じではありましたけど、スタジオオーディションでは「もうやってしまえ!」と全力で演じたんです。その方向性がまさか本編でも採用されるとは……。自分の芝居に合わせて、ギターのコードも作ってくださったそうで、とてもありがたかったです。
鈴代 音楽をやっていそうな人の声だったよ。「やっぱ好きだな、アナログの感じ」も含めてとても大好き。
河瀬 わかる!
天海 ありがとうございます……!![]()
- 鈴代紗弓
- すずしろさゆみ アーツビジョン所属。主な出演作に『ぼっち・ざ・ろっく!』(伊地知虹夏役)、『綺麗にしてもらえますか。』(金目綿花奈役)、『正反対な君と僕』(鈴木役)、『真夜中ハートチューン』(霧乃イコ役)など。
- 青山吉能
- あおやまよしの 81プロデュース所属。主な出演作に『ぼっち・ざ・ろっく!』(後藤ひとり役)、『フードコートで、また明日。』(山本役)、『転生悪女の黒歴史』(イアナ・マグノリア役)、『春夏秋冬代行者 春の舞』(姫鷹さくら役)など。
- 寿美菜子
- ことぶきみなこ ミュージックレイン所属。主な出演作に『けいおん!』(琴吹紬役)、『ドキドキ!プリキュア』(キュアダイヤモンド/菱川六花役)、『響け!ユーフォニアム』(田中あすか役)、『やがて君になる』(七海燈子役)など。
- 天海由梨奈
- あまみゆりな 81プロデュース所属。主な出演作に『空色ユーティリティ』(茜遥役)、『帝乃三姉妹は案外、チョロい。』(帝乃一輝役)、『左ききのエレン』(三橋由利奈役)、ゲーム『ヘブンバーンズレッド』(東城つかさ役)など。
- 富田美憂
- とみたみゆ アミューズクリエイティブスタジオ所属。主な出演作に『アイカツスターズ!』(虹野ゆめ役)、『かぐや様は告らせたい』(伊井野ミコ役)、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』(院田唐音役)、『終末ツーリング』(アイリ役)など。
- 河瀬茉希
- かわせまき アーツビジョン所属。主な出演作に『ゾンビランドサガ』(紺野純子役)、『くまクマ熊ベアー』(ユナ役)、『mono』(駒田華子役)、ゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』(桐生つかさ役)など。




























