TOPICS 2024.04.16 │ 12:00

伊達さゆりの「手さぐりの旅」 第16回 「音」に意識を向けるきっかけをくれた
girl next doorさんの「Infinity」(前編)

声優・伊達さゆりのお気に入りや、心に残っているものを取り上げながら自らを語るフォト&インタビュー連載。第16回のテーマに取り上げたのはgirl next doorの「Infinity」。前向きできらびやかなアッパーチューンから「ギャル」をイメージしての撮影中のひとことをきっかけに、抱いていた「ギャル」に対する憧れを打ち明けてもらうことになった。

取材・文/編集部 撮影/松本祐亮 ヘアメイク/三反理沙子 スタイリング/佐野夏水

じつはずっと憧れていた「ギャル」

――今回もまたこれまでにない伊達さんの姿が収められたのではないかな、と思うのですが、撮影を終えた感想から教えてください。
伊達 今までいろいろな場所で撮影させていただいてきたのですが、今回はとくにコンパクトな撮影場所だったのが印象的でした。これまでは屋内でも移動しながらシチュエーションを変えたり、そこから屋外に出たりと動き回っていたイメージがあるのですが、今回は移動が少なかったですね。でも、小道具やライティングの加減で別の場所で撮ったような感じが出ていて、これまでにない不思議な感覚でした。

――今回は「近未来+ギャル」という撮影テーマを立てていたのですが、撮影中「じつはギャルになりたかった」と言っていましたね。
伊達 なりたかったですね。ギャルの何に憧れていたかというと、うまく説明できないのですが、私の中で「ギャル」と聞いて思い浮かぶのは、ストレートの髪を茶や金など派手な色に染めて、メイクをがんがんに盛っている女の子です。高校のときにそういう髪型になりたくて、髪は染めないんですけど「こういう髪型にしたいです」と美容院で写真を見せたりもしていたんですよ。でも、やっぱり髪を染めているから「ギャルっぽさ」が出るのであって、黒髪のままだと全然思い描いていたギャルにならなくて。だったらメイクで少しでもギャルっぽさが出せないかなと思って、そこからメイクに興味を持つようになりました。

――まわりにギャルがいたり、そういったキャラクターに憧れていたわけではなく、「ああいう格好をしてみたい」と思っていたのですね。
伊達 そうですね。ギャルっぽい友達や知り合いがいたわけでもないですし、そういった方の動画を見ていたわけでもないです。どなたか特定のアーティストさんに憧れていたのかな?と今考えてみても、とくに思い当たらないですね。

人の目を気にしない前向きさがほしかった

――なぜギャルに憧れていたのだと思いますか?
伊達 これは私の一方的なイメージかもしれないですが、ギャルって自分の感覚や興味が第一で、いい意味で人の目を気にしないというか、とにかく前向きに見えるんですよ。私だったら不安になるような状況でも「なんとかなるっしょ」とか「何そんなことでクヨクヨしてんの」というような雰囲気があって。見た目から入れば自分もそうなれるかもしれない気がしたんです。ちょっときつい印象の見た目をメイクや髪型で作れたら、強くなれるんじゃないかなって。きっとそんなところに憧れていたんだろうなと思いますね。うん、絶対そうだと思います。

――逆に言うと、その頃は自分に自信がなかった?
伊達 小さい頃、それこそ幼稚園くらいのときの私は活発で「我が道をただ進んでいく」というような感じの子だったんですけど、それから中学、高校と上がっていくにつれて、それがどんどん落ち着いていったんです。反動というか、そんな風に考えるのが恥ずかしいと思う年頃だったのかな……。何かきっかけがあったわけではないのですが、小さな頃とは逆に自分の殻に閉じこもりがちになりました。閉じこもっていることも隠そうと思って、さらに閉じこもって、みたいな。そういう私にとって、ギャルってカッコいい人たちだな、と思えてきて。でも、本当に身近にギャルがいたら、そんな私に活を入れるだろうな、なんてことを想像したりもしました。

ガラケーからの音を聞きながら大声で歌っていた思い出

――第16回のテーマは、きっとリリース当時(2009年)のギャルたちも聞いていたであろう、girl next doorの「Infinity」を挙げてもらいました。どのようにして出会った楽曲だったのでしょうか?
伊達 その頃よく見ていた『アタシんちの男子』というTVドラマの主題歌で、それがきっかけで好きになりました。当時の私はまだ小さかったので、ドラマのストーリーを楽しんでいたというよりも、主人公を演じていた堀北真希さんがひたすらかわいくて大好きで、ほぼ堀北さん目当てで見ていたんですけど(笑)。エンディングでこの楽曲が流れるのですが、いつもすごくいいタイミングで流れるんですよ。それもあって、ずっと耳に残っていて。ドラマのストーリーはまだよくわからなかったのに主題歌ははっきりと覚えているので、それだけ楽曲に心を惹かれていたのだと思います。

――よく家で好きな楽曲を歌っていたとこれまでにも語っていますが、「Infinity」を歌っていた記憶はありますか?
伊達 当時、母が使っていたガラケーに着うたをダウンロードして何度も聞いていたんです。お母さんとお出かけして一緒に家に帰る途中、ガラケーを耳にあてて聞きながら、人通りの少ないところでは大声で歌っていました。たまに母に「もうちょっと静かにして!」としかられたり(笑)。

――それだけ歌っていて気持ちがよかったということですね。
伊達 そうですね。大音量で流していたので、自分の声はよく聞こえなくて、上手とか下手とかも気にせずに歌っていました。endmark

関連情報

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